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ICFコア・コンピテンシー5:今ここに在り続ける【英語動画まとめ】

こんにちは。英語資料翻訳シリーズ第6弾です。
国内で活躍するコーチ、コーチングをビジネスや生活に生かしたい方に向けて、英語の資料(論文、ブックレビュー、インタビュー、ウェビナーなど)を翻訳 / 要約し、日本語で掲載していきます。

今回も、ICFコア・コンピテンシーの解説動画の翻訳 / 要約をしていきます。今回は、5つ目のコア・コンピテンシー「信頼と安全を育む」です。

全8回の解説動画は、こちらから視聴できます。

ICFコア・コンピテンシーとは、ICFが定めたプロコーチの能力水準の記述のことで、公式サイトによると、以下のように説明されています。

ICFコア・コンピテンシーは、ICFによって定義された今日のコーチング専門職で使用されているスキルとアプローチについての理解を深めるために開発されました。これらのコンピテンシーとICFのコーチングの定義は、ICF資格認定試験を含む資格認定プロセスの基礎となるものです。(中略)
コア・コンピテンシーは、各グループのコンピテンシーを見る共通の方法に基づいて、論理的に組み合うものをグループ化して、4つのカテゴリーに分けられています。それぞれのグループや個々の能力水準は、すべてコーチとして満たすべき核となる不可欠の資質であり、どれも等しく重要で、優劣はありません。

https://icfjapan.com/competency

ICFの認定資格(ACC, PCC, MCC)を取得するためには、コア・コンピテンシーと倫理規定についての180分のテストを実施しないといけないほか、プロコーチとして活動する上で考え方の基盤となる、必要不可欠なものです。


目次


動画について

今回は同シリーズの5回目、ポートランドのパメラ・リシャード氏(MCC)の解説による"今ここに在り続ける(Maintains Presence)"です。

今ここ、コーチングではとてもよく聞く表現ですよね。私がコーチングを勉強したTHE COACHのコースでも何回も出てきた大切なキーワードだったし、コーチングを他の会話と区別する重要な要因になっている概念だと思います。ICFコア・コンピテンシーではどのように扱われるのでしょうか。

以下、インタビュアーの質問と、リシャード氏の回答を要約してQA形式でまとめます。
逐語訳ではありませんので、全体をご覧になりたい方は、youtubeの自動生成翻訳で確認してみてください。


概要

Q:このコンピテンシーはどのようなものですか?

「今ここに在る」とは、他の人間に対して、執着を持つことなく、開放的で柔軟な、思いやりと自信を持った関わり方をする能力のことです。
このコンピテンシーは、コミュニケーションやコアとなるスキルの観点からコーチングが他の職業と一線を画す基盤となるものです。

このコンピテンシーは、コア・コンピテンシーが改訂される前から、PCCマーカーに明記されていました。ですから、特に新しく追加された項目というわけではありません。私たちが25年、30年と続けてきた実践をより論理的に整理し、明確化したものです。これはこのコンピテンシーだけでなく、他のコンピテンシーにも言えることですね。

(インタビュアー)なるほど。ちなみに、改訂版コア・コンピテンシーはすべて動詞から始まるので、より行動重視になっているという見方もありそうですね。

良い実践

Q:メンターコーチの視点から、良い実践では何が観察できますか?

例えば、相手がそこに立ち現れることを誘うような関心の質。クライアントの感情や考えの変化、ハッとする瞬間に気づいたときにそれをただ観察者として見る余白。そして、”それはどういうことですか?"と尋ねることを恐れない自信。このようなものが重要です。
「今ここに在ること」に関してとても重要なことは、コーチが自分自身に、「知らない」ということにOKを出すこと。コーチは知っていることはいくらでもありますが、知らないことの領域に踏み込むことが必要です。

メンターコーチとして録音を聞いたり、アセスメントをするとき、知らないことを許容する余裕はとてもわかりやすく現れます。純粋な好奇心を持って聞き、"こうしてみたら?"など何かをするように指示しないことが大事です。自分が何かをするのではなく、クライアントが何かをするためのスペースを作る、まるで乗り物のような存在でその場にいることを許容する自信が必要です。

悪い例

Q:このコア・コンピテンシーの熟達度が低いと、セッションにはどう現れますか?

第一に、解決に向かおうとするスピードが速すぎることがあります。すぐに “さて、どう解決しますか?”となり、プロセスの中で好奇心が示されなくなってしまいます。まるでチェックリストのようにセッションが進んでしまうこともありますね。

2つ目は、コーチが不安になってしまうこと。面接などでは不安はつきものですが、そういう意味ではなく、質問することに不安を感じてしまったり、沈黙や内省のための余白を設けることを快適にできないことです。余白なく矢継ぎ早に会話がなされると、知らないことに快適に対応していないことがわかります。好奇心が足りないため、十分な余白を作り出せていないのです。

ACC, PCC, MCCにおける違い

Q:ICF資格の各レベルに求められているレベルはどのようなものですか?

先に挙げた、余白がない、沈黙に快適に対応してない、好奇心が足りないなどは、ACCレベルですね。それが必要なことはわかりながら、ただ変化を起こし、解決がしたいという状態です。解決したいということ自体悪いことではないですが、そのための十分な余白を与えていない状態です。

PCCになると、もっと滑らかになります。コンピテンシーを理解してセッションをしているのですが、"よし、ここで好奇心を発揮するぞ"というように意図的にやっているようには見えない状態です。
自然に好奇心が湧いてきて、自然に快適にその場にいられる。例えば、クライアントから"あなたならどうしますか?"と聞かれたときに、答えを教えるのではなく、"わかりません"と答える方が快適という状態です。

MCCはもう少し深遠と言えます。なぜなら、MCCはコンピテンシーを完全に体現していて、もはやコンピテンシーやスキルは意識に上がってきません。MCCにとってコンピテンシーは人間としての普通の反応になっています。
そのため、MCCとPCCの境界線近くでは、区別を評価するのが少し難しいことがあります。しかし、好奇心がコーチの性格を構成する要素であることと、知らないことを許容し内省のため余白を作ることでクライアントが本当の意味で自分のことを表現できることがはっきりわかることが多いです。
このコンピテンシーの領域だけでなく、他にもいろいろな要素が絡んでくるのでちょっと難しいのですが、これが私に言える精一杯かと思います。


まとめ+感想

今ここにとどまることには、好奇心、余白が結びついているのですね。今ここ、好奇心、余白、すべてコーチングするときに重要な点であることは間違いないですが、こんなふうに相互に関係しあっていることを改めて言語化してもらうと、改めて重要性が理解できた気がします。

知らないことって奥が深くて、コーチングの有償セッションを始めたてのときは、やっぱり「せっかくのセッションだから何か持ち帰ってもらわないと!」という思いが強くて、知らないことに好奇心を向けられていかかったと振り返ります。今は、クライアントという人間と純粋に対峙したときに、その人がいう言葉の意味は、辞書に載っている意味や自分が考える意味と必ずしも一致しないだろうと考えていて、その上で、何を意味してその言葉を使っているんだろう?という部分に興味が湧くようになっているかなと思います。たとえば、「恐れ」という言葉でも、その人が体験した恐れは、決してそんな短い言葉で片付くものではないので、そこにはとても広く深い「知らない」が広がっているんですよね。

知らないことに好奇心をあてて、今ここでうつろいゆくクライアントを聴いていると、今ここという時間には無限が広がっているんだなあ〜ということに思いが至ります。そして、"あ、それは今ここではなかった”と考え直し、またクライアントに集中し直したりしています。

みなさんの感想もぜひ、コメントやツイートで教えてくださいね。

コア・コンピテンシーシリーズ、残すところ残り3つになりました。コア・コンピテンシーが終わったら、またIOCの記事の方に戻ります!こういうのが知りたいなどリクエストあれば、ぜひシェアしてください。

*あくまで個人的な活動のため、内容に関してお気づきの点、ご指摘などありましたら、お知らせください🙇‍♂️

💡ICF資格取得(ACC, PCCなど)のための翻訳サービスをやってます!
https://ssttstt.notion.site/ICF-f58fb4f864894151a62aaf9ce51fe23d?pvs=4

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