雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金の上限額引き上げが正式決定。支給済の休業手当増額に対しても遡及適用あり
社会保険労務士のこうぶちです。
以前から報道されていた、雇用調整助成金の1日あたりの支給上限額引き上げ(8,330円→15,000円)が正式決定され、厚生労働省のホームページで発表がありました。
今回のポイントは以下の通りです。
・対象となるのは雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金
なお、小学校休業等助成金についても4月1日以降に取得した休暇に対する助成が同様に15,000円に引き上げられています。
・4月1日から9月30日までの期間を1日でも含む判定基礎期間が対象
判定基礎期間は、賃金の締日翌日から締日までとなります。例えば、毎月25日締めの会社であれば、3月26日~4月25日の間に実施された休業から対象になります。
1)受給額の上限を8,330円から15,000円に引き上げ
企業規模を問わず、全ての事業主が対象となります。
2)解雇せず雇用の維持に努めた事業主への助成率を100%に変更
これまで、100%での助成を受けられるのは、都道府県知事による休業要請を受けて休業を実施し、100%、または1日あたり8,330円以上の休業手当を支払った事業主に限られていました。
今回の変更により、今まで最大94%の助成率だった事業主も、100%での助成を受けられることになります。
3)過去に支給済の休業手当を増額し、従業員に休業手当を追加支給した事業主にも遡及して追加支給が行われる
例えば、4月に60%で休業手当を支払い済の従業員に対し、追加で40%分の休業手当を支給した場合も、遡って追加支給をしてもらえるという事ですね。
また、既に支給申請済、支給決定済の事業主については、追加支給の手続きは不要です。この仕組みは当初10万円以下の端数を切り捨てて支給していたけれども、申請なしで追加支給した持続化給付金と同じような形ですね。
これから支給申請を検討される方へ
今回の変更に伴い、支給申請に使う書類の様式が変更となっています。新たに申請される場合は、最新の書式をお使いいただいた方が手戻りが少なく済みます。
また、上限額を引き上げた分に対して追加支給が行われる事が正式決定したことで、追加での支給を検討される経営者の方が増えるのではないでしょうか。
手続きする上で、色々と準備しなければいけない事はありますが、特に小規模事業主(おおよそ従業員20名以下)についてはかなり簡略化されましたので、支給申請を一度検討頂ければと思います。
参考:厚生労働省のリーフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/11603000/000639422.pdf