i want to ride my bicycle
とにかく何か書きたくて仕方がない状態なので、最近あった悲しいことを記す。
自転車を盗まれた。
しかも買ってちょうど1週間で。
現在私は休職中の身であり、毎日休養という名目でひたすら気ままに怠惰に過ごしている。
元来出不精なもので、なるべく日光に当たるべく外に出かけようと心掛けてはいるのだが、ここ最近の猛暑で更に外出が億劫になったのもあり、1週間のうち一歩も外に出ない日のほうが多い。
人間とは不思議なもので、毎日体を動かさずにいると急速に体力が落ちてくる。
以前は何の苦労もなく歩けていた道のりを今改めて歩いてみるとしんどくてしんどくてしゃーない(仕方ない)のである。
引きこもり生活以前は体力だけが自慢みたいなところがあったので、こりゃいかん、何か外出のきっかけを設けなければ、そもそも何で私はこんなに外に出なくなってしまったのかと思索を巡らせたところ、そういや今自転車持ってないなと気づいた。諸事情で数か月前に自転車を手放していたのであった。
私は自転車に乗るのが大好きなのである。
高校生の頃は片道30分かけて自転車で学校へ通っていた。
通学路の高低差が凄まじすぎて、道のりを基に消費カロリーを計算したところ、1日の往復でおにぎり約2個分のカロリーを消費しており、その運動量に自分でも引いた記憶がある。
大学生になっても、雨の日風の日雪の日を問わず毎日滝のような汗をかきながら一心不乱にペダルをこいでいた。
社会人になり一人暮らしを計画する際も、当時働いていた会社へチャリ通勤が出来ることを第一条件に物件を探した。
私はいつも自転車と共にあったのだ。
そして、今思い返すと、メンタルに余裕のなかった時期は必ず自転車から離れた生活を送っていたのである。
ああ、なんて簡単なことを忘れていたんだろう…と、かつて隆盛を極めた己がチャリ筋を一瞥する。
次の瞬間amazonのアプリを開き、検索欄に「自転車」と入力していた。
今住んでいる土地はあまり治安がよくないため、引っ越した当初に購入した初代自転車は、盗まれることを前提にホームセンターで一番安価なものを選んだ。
しかし、この初代、一向に盗まれる気配がなく、気づけば約3年の時が流れていたのである。
これ、ちょっといい自転車買ってもいけるんじゃないの。という思いが湧き上がってくる。
少しの検討時間ののち、ただでさえ落ち込むことが多い最近、見た目が好みのちょっとええチャリ買ってモチベーションを上げないとやってられんわい!!!と半ば衝動買いに近い気持ちで人生初搭乗となるクロスバイクをカートにブチ込み、ほぼ同時に注文ボタンを押した。
その瞬間、やっちまったぜ~~。という気持ちとともに、ひさびさに生まれた物欲と、それを満たせた嬉しさがじんわりと胸の中に広がるのを感じた。
そうそう、これよこれ。
久しく忘れていた感情である。
あ~~これ乗ってどこいこうかな~最近服買ってないから少し遠い古着屋さん行きたいな~~モーニングがべらぼうにうまいあのお店にも開店ダッシュできちゃうぜ~~なんて思いながら、家に届くまでの数日を過ごす。
荷物が届いた日にゃもう心はカーニバル。
速攻で開梱し説明書をしらみつぶしに読みながら(活字中毒なので必要ない項目まで読んでしまう)ちゃっちゃかと組み上げる。
友達にmy new gear…と写真を送りつけたのち、念のため自転車屋さんに持ち込んで最終調整してもらって、これで華々しいチャリ生活の開幕だーーーーーー!!!!!!ドンドンドン‼!!!!!!!パフパフパフーーーーー!!!!!!!!俺は!!!健康に!!!なるんだァーーーーー!!!!!!!!
1週間後ー
私「うわあ」
その時私はアパートの駐輪場にいた。
久々に晴れた日で、用事に出かけようと支度をし、降りて行ったところだった。
ない。
どこにもない。
私のかっこいいチャリンコが。
周囲を見渡す。
というものの私の住むこのオンボロアパートの駐輪場なんて見渡せるほどのスペースもないのだが、何度も何度もあたりを凝視せざるを得なかった。
ないぞ、チャリンコ!!!!!!!!!!!!!!!
次の瞬間、んでやねん!!!!!!と声が出ていた。
これは完全に盗まれた。
駐輪所で立ち尽くすこと約3分。
思考を取り戻した瞬間、「自転車 盗難 戻ってくる 確率」と調べた。
日本で盗難自転車が返ってくる確率は約50%ほどらしい。
こういう時は妙に頭がよく回る。
現状を整理し、どのぐらい勝算があるかを考える。
まず、盗難車両返還のプロセスを確認する。
警察が巡回時に盗難届の出ている自転車と特徴の一致するものを見かけた際に、盗難届に記載されている防犯登録番号もしくは車両番号を照合し一致した際に返還されるとのこと。
ふ~~~~ん。防犯登録番号と車両番号かぁ~~~~……。
……どっちもわかんねぇ~~~~~~~~~~~。
そう、防犯登録をしていなかったのである。
実は届いた当日自転車屋さんで調整と一緒に防犯登録をお願いしたのだが、いろいろな齟齬があり断念、一旦引き返したのである。(99.9割私の落ち度)
そして、頼みの綱である車両番号は今は亡き自転車本体に記載されているのである。
計算するまでもなく、勝算は0。
期待値もクソもない。
自転車を入手して以降、少し所用が立て込んでおり、やっと目途が立った!これで手続きしに行ける!という矢先の出来事であった。
間が悪い。
いくつかの小さな「あの時こうしていれば…」が頭の中を逡巡する。
こういうのが一番精神に来る。
ああもうだめだ俺のどんくささがこの事態を招いたのだ…と一瞬ダメモードに入りかけたが、ふとあることに思い至る。
そもそも盗る奴がいるからこんなことになっているのだ、と。
間違いない。
人のものパクる奴が一番悪いに決まってる。
というか、人のものパクる奴しか悪くないのである。
そもそも防犯登録をしていたところで戻ってくる確率は50%だ。
クヨクヨしていて自転車が返ってくるのであれば体がカビるまでクヨクヨするが、もちろんそんなことはない。
じゃあもうやるべきことは犯人が痛い目に合うことを祈るのみっちゅーわけよ。
夜毎、特別なお呪いでもかけてあげようかな。
(BGM:呪い/山崎ハコ)
と、ネガティブな感情を割り切ったところで、最後に残る問題はただひとつ
自転車への執着心が断ち切れないということである。
自分は一度気に入ったものを手放すのが非常に苦手なタイプの人間だ。
特に今回のような自分の意思の範囲外でこういうことが起こると大きいストレスの原因になる。
解決するとすれば、同じものを買いなおす他ないだろう。
「でも、多少鍵の強化などを行ったところで、盗られたときと同じような状況に戻るだけ」
「別に初代ママチャリでも不自由してなかったし、なんなら買い物とかはママチャリのほうがしやすいから、また安いの買えばいいじゃん、稼ぎも少なくなったんだし」
と自分の中の冷静な部分がずーーっと脳内に語り掛けてくるのである。
これに対して、自分の中の衝動的な部分は「これじゃないとやだーーーーーーーー!!!!!」と大癇癪を起している。ただひたすらに。
ああ~~~…私はどうすればいいのだ~……
もう考えるのめんどくせ~~~
二人でしばきあって最後まで地に足つけて立ってた方に従うので~~~…
…
……
………。
衝動の、勝ち。
というわけで3代目自転車が我が家にやってきました。
名前はびゅんびゅん丸3号です。(初代がびゅんびゅん丸という名前だったので…。)
びゅんびゅん丸3号よ
初代、そして幻の2代目の分も末永くよろしく頼むぜ。
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