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「演劇の神秘をピラミッドパワーの中に込めています。」宇宙論☆講座 インタビュー

佐藤佐吉演劇祭実行委員会が、参加団体の魅力を紹介するため稽古中のお忙しい所にインタビューを敢行!第7弾は宇宙論☆講座の五十部裕明さんにお話を伺いました!

佐藤佐吉演劇祭2024参加団体インタビュー
ゲスト:五十部裕明(宇宙論☆講座)
聞き手:内田倭史・前田隆成(佐藤佐吉演劇祭実行委員会)


強みといえば音楽

前田:自己紹介をお願いします。
五十部:僕は元々、音楽をずっとやっていて、ミュージカルをやりたくて宇宙論☆講座を始めました。強みといえば音楽の要素しかないのでずっと生演奏をやって、そこでクオリティを担保しています。最初の方は演劇の知り合いがいなかったので、ミュージシャンたちを集めて、台本を配ってセリフを練習してミュージカルを作っていました。最近は演劇の人の知り合いもできてきて、演劇の方向に、少しずつ足を踏み入れつつある、といった感じです。
内田:王子小劇場での公演はもう3年くらい前ですかね?
五十部:王子小劇場で公演をやったのが、2021年の6月で、あれが初めて”劇場”と名のつくところでやった公演ですね。あの時は、稽古場に何回か当時の職員さんたちが面倒を見にきてくださって、稽古が終わった後、外の公演で打ち合わせをして、それでやっと上演にこぎつけた、みたいな感じでした。あれから3年弱の時間が経ってるので、僕らも劇場で公演をやるっていうことの勝手はわかって来てると思います。ただ、今回は会場が北とぴあのカナリアホールで、普通の劇場とも勝手が違うだろうから、そこはちょっと心配もありますね。

演劇の神秘をピラミッドパワーの中に込めています

内田:宇宙論☆講座はどんな風に活動しているんですか?
五十部:メンバーが何人もいるんですけども、基本的には制作業務は僕が全部やっているので…毎回バタバタバタですね。
内田:前回公演のときXで発表していた「なぜ今回、宇宙論☆講座はSNSでぜんぜん広報していないのか」とかも面白かったですよね。全部正直で。
五十部:はい、去年末に前回公演をやっていたんですが、多分公演をやったってことを知らない人も多いし、終わったっていう報告もしてないので、本当にやっていたのか?と怪しい感じになってます。制作がいないのが今すごいウイークポイントですね。そこだけどうにかしたらもう「いいな!」っていう状態なんです。僕自身はそういう作業がすごく好きで楽しくやっているんですが、全部やってると手が足りないなっていうのが現状ですね。
内田今回のチラシも素晴らしいアイデアですが、これは誰が?
五十部:小学2年生の子が考案しました。
内田:小学2年生?
五十部:娘なんです。
内田:おお!
五十部:娘が、A4のコピー用紙をこうやって折るとこれができるよって。
内田:思いつきそうで、誰もやってないですもんね。あ、これ完成すると中身が見れなくなるんですね!
五十部:そうなんです。演劇は劇場に行かないと見れないぞっていう、演劇の神秘をピラミッドパワーの中に込めています。折り込んだ後に、どうしても公演情報を知りたくなった人はピラミッド底面のQRコードを読み取ってください。
前田:よくできてますねえ!
五十部:公演のロゴと団体のロゴと、あと佐吉祭のロゴが過不足なく、刻まれているっていう。
内田:確かに。
五十部:発想したのは小学生。
内田:表面の写真もめちゃめちゃいいですよね。
五十部:これも小学2年生が撮ってくれたんです。
前田:すごい!

創意の方向で煮詰まったら、理屈に切り替えればいい

内田:どういう風に作品を作っていますか?
五十部:まず作品のテーマ曲を作りますね。テーマ曲にその作品の全部が詰まっています
前田:音楽からなんですね。
五十部:全部そうですね。そこだけが、僕らがお客さんからお金を取れるところだと思っているので(笑)。多分みんな何かしら、これでお金が取れるぞっていう部分があると思うんですけど、音楽って技術の部分が大きいので、そこは自信を持てるところです。音楽を作る時は結構、システマチックに理屈で作っています。
内田:へー!
五十部:その時々のやりたいことに合わせて、技術のストックを組み合わせてつくってますね。
前田:意外ですね!
内田:創作の中で困った時はどう突破口を開けていますか?
五十部:作品を作る時に、理屈で作れる部分と理屈じゃなくて創意工夫によって作れる部分があると思うんですが、創意の方の比重がでかい状態で作っていくと、可能性が多すぎたり、思いつかなくてどうしようって煮詰まることがあると思います。そんな時は、理屈を使っちゃえばいい。僕らで言えば、音楽の力を借りればいい。そういう突破の仕方をしています。創意の方向で煮詰まったら、理屈に切り替えればいい。とりあえず演奏したり歌ったりする。そうしているうちに、「これはもう音楽的に大丈夫だから、自信は取り戻せたぞ!」みたいな感じになる。逆に、理屈でどうにもならなくなったら、創意工夫のところで、できることをとにかく考えるっていう風にすると多分突破できる。
内田:あー!理屈と創意の両方を使うんですね!
五十部:はい。なので煮詰まるとかっていうのはあまり無いですね。時間が足りなくてやばいみたいなことは往々にしてあるんですけど(笑)。
内田:なるほど(笑)。

自分が作った曲にセリフを乗っけてみたい

内田:演劇をやっていて一番好きな瞬間はどこですか?
五十部:曲ができて、それを一番初めに演奏した時の新鮮味っていうのがあるんです。例えば台本で言うと最初に読み合わせした時の空気感みたいな。その後、完成度は上がっていくんだろうけど、一番最初に読んだ時の新鮮味はその時にしかうまれない、みたいな。あれが稽古場で生まれる瞬間、つまり新曲を初めて稽古場でやって、そこにセリフを乗っける、あの瞬間が一番感動するんですよね。それは人に見せてないところで起こってしまうんですけどね。
内田:稽古場でしか起こり得ないんですね。
五十部:なので、究極は本番でだけ「全部やる」っていう感じでやりたいんですけどね。曲を初めて演奏して、セリフもその場で初めてっていう本番をワンステージだけ。
内田:ミュージカルを自分で作りたいなと思ったのにはきっかけがあるんですか?
五十部:これは明確にありまして。演歌のイントロでセリフが入るっていうのがよくあるじゃないですか。あれが一番グッとくるんです。演歌歌手、もしくは前説の人とかが、A メロの歌い出しぴったりのところまでに、情感を込めて、いい具合に曲に語りをのせる、あの語りが音として一番好きなものなんです。歌やインストも好きなんですけど、曲に歌ではなくて語りが入った音っていうのが一番好き。
たとえば、昔のヒーローソングとかで、曲の間奏に技の名前とかナレーションが入っていたり、ああいうのが好きなんです。そうするとやっぱり自分が作った曲にセリフを乗っけてみたいという風になるわけです。
内田:確かにいいですよね!情景豊かな曲の世界に引き込まれていく感じ。
前田:「それでは歌ってもらいましょう、〇〇です」みたいにタイトルコールがバチっとハマると気持ちいいですもんね。
五十部:そうなんです!あれだけが、 1 時間続いたらすごく良くて、ずっと泣けるんじゃないかって思って。

この回には絶対に誰も来ないでいただきたい

前田:今回の作品について教えてください。
五十部:今回はタイトル「宇宙論☆講座 the BEST & the WORST」の通り、今までのよかったシーンをただやるっていう公演です。これは公演回数が10 回ぐらいたまらないとできないから、次できるとしたらもう相当先になるかと思っていて、せっかく演劇祭に呼んでいただいたのでこういうスペシャルなことをやろうと思っています。
内田:スペシャル公演!
五十部:あとこれだけは言っておきたいのですが、3月17日(日)に「早朝観劇回」があるんですけど、
前田: 9 時半開演ですね。
五十部この回には絶対に誰も来ないでいただきたい、という。
前田:えええ!来ないでいただきたい!?どうしてですか?
五十部:人が揃わないと思うので。
一同:(笑)
内田:たしかに。9 時半に王子に来るのはかなりしんどいですからね。
五十部:北とぴあのカナリアホールが開くのが 9 時なんですよ。
前田:じゃあほとんどお客さんと一緒にスタートになりますね。
五十部:僕らもお客さんと同じタイミングで王子駅から一緒に歩いて劇場入りすることになるかと…。
内田:このタイムテーブルにしたのはなにか理由があるんですか?
五十部:これはあの、間違いです。ミスです。
前田:観に行きましょう(笑)。
内田:伝説のステージになりそうですね。
五十部:少なくとも全員いるっていうことは、絶対ないのかなと思います(笑)。
内田:(笑)。ありがとうございました!

稽古場写真はないそうです。

音楽を武器に暴れ回る宇宙論☆講座。チケット料金が言い値の「早朝観劇回」、床に寝っ転がって観劇できる「横臥観劇回」など、ここでしか体験できないものが盛りだくさんです。北とぴあで宇宙論☆講座のミュージカルを浴びましょう!

公演詳細

宇宙論☆講座
作曲家の五十部裕明(いそべひるあき)が率いる音楽団体です。
五十部のソロユニットとして、ラーメン音楽劇「ラーメン」(2018年上演)、「生ビールミュージカル」(2019年上演)など発表したのち、2020年に団体化・旗揚げしました。
「やばい音楽劇」「インスタ映えする音楽劇」「音楽を悪用する音楽劇」をキーワードに、独自のミュージカルを企画し上演しています。
また最近では、音楽事務所WACKとタッグを組んでパルテノン多摩の裏の廃校に超本格おばけ屋敷を建設するイベント「宇宙論★講座のおばけ屋敷」開催や、戯曲賞の設立(第1回宇宙論★講座 戯曲賞「マジでくそみたいな演劇の台本コンクール」)など、その活動の幅は多岐にわたっています。

佐藤佐吉演劇祭2024参加作品
『宇宙論☆講座 the BEST & the WORST』
〇会場:北とぴあ カナリアホール
〇作・演出:宇宙論☆講座
〇出演:宇宙論☆講座の人たち&客演の人たち
〇詳細はこちら
https://uchuuronkouza.wixsite.com/best-and-worst(公演特設サイト)
https://en-geki.com/sakichisai2024/uchuronkouza.html (演劇祭特設サイト)


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