「わたしも生きるから、あなたも生きるんだよって無責任に言おう」TeXi’s インタビュー
佐藤佐吉演劇祭実行委員会が、参加団体の魅力を紹介するため稽古中のお忙しい所にインタビューを敢行!第11弾はTeXi’sのテヅカアヤノさんにお話を伺いました!
みんなのオタクとして書いてます
内田:自己紹介をお願いします!
テヅカ:テヅカアヤノです。演出とか脚本とかをやったりしてます。大学の時に「てぃっしゅ」を立ち上げて、21年の1月から今の「TeXi’s」に表記を変えました。
内田:変えたのは何か理由があったんですか?
テヅカ:「てぃっしゅ」だと検索に引っかかりにくかったので変えたんですけど、変えたら変えたで、読みづらかったり、ハッシュタグもつけられなかったり、あと結局検索しにくくて、間違えたなと思っています(笑)。あとは、社会にでるという意味でもしっかりしようと思い変えました。今は、ご家庭の事情で一人長期でおやすみしていて、私と俳優の古川路の二人でやっています。
内田:どうやって作品を作っていますか?
テヅカ:やりたいこと、見たいアクトから考えています。例えば、運動会の「大むかで」をやりたいとか、「オタ芸」をしたいとか、「秘密基地のていで子供用のテントを使いたい」とか。そういうやりたいこととベースにある描きたいことを組み合わせて作っています。戯曲は俳優ありきで書いてるので、稽古しながら書いています。お話聞いてどういう喋り方するのかとか、どういうことならできそうかとかを聞いたり見たりしながら。
内田:この人にこんなことさせたい、みたいな。
テヅカ:そうです。みんなのオタクとして書いてます(笑)。
内田:稽古はどんな風に進めていますか?
テヅカ:アップでラジオ体操を必ずやって、あと「ジャンボリミッキー」を踊ってます。こんなに流行る前からやってました(笑)。4回とか5回分の稽古を使って、本読みをしたり雑談をしたりして、本の修正を繰り返していって、本が出来上がったらミザンス稽古をします。基本的には全部私が決めちゃうことが多いですね。ここで誰に向かってこれをやる、みたいなのを、わーって決めます。そうすると、俳優の生理に合わないやりにくさが絶対出るから、それを相談しながら修正するのを繰り返します。バレエの動きとかも好きなんですけど、別にわたしは詳しいわけじゃないから、バレエができる子に「ここでバレエの所作をやりたい」って言って動きを考えてもらったり。そういうことをずっと繰り返しています。こんな感じにしたいってビジョンを伝えて考えてもらう時もあるし、めっちゃ細かくどのタイミングで何をするか、右手と左手どっちで持つか、まで決める時もあります。やってもらう俳優によって違いますね。細かいとしんどい人もいるけど、大雑把だとしんどい人もいるから。
頭下げるか、諦めるか、めっちゃ頑張る
内田:困った時にどう突破口を開けていますか?
テヅカ:三つあって、頭下げるか、諦めるか、めっちゃ頑張るか、ですかね。
内田:(笑)。
テヅカ:「頭下げる」は、例えば、わたしは制作の業務はできなくて、でも規模感的に制作さんが居ないと絶対無理な事をやっているので、河野さんに頭下げてお願いをして。でも今は河野さんが別の公演で忙しいときは別の方に、とか。今回は、制作補佐でついてくれてる、佐々木さんにお願いします、と頭下げて。「諦める」は、なんだろう、人が去ることは止められないなって思っています。スタッフが去って行ったり、ちょっと休みたいよって言う人を止めることはできないなって。困ったなって思うけど、それはしょうがない事だから。「めっちゃ頑張る」はめっちゃ頑張る(笑)。
内田:めっちゃ頑張る(笑)。
テヅカ:やりゃできる、やらないからできないんだよ、みたいな事を自分にいっています。
内田:何についてなんですか?
テヅカ:助成金の書類とか。
内田:ああ...なるほど…!
テヅカ:でもこれもいろんな人に助けてもらってます。
舞台に立ってる人が”生きてる人だ”と思える瞬間
内田:影響を受けた作品はありますか?
テヅカ: 2015年にKAATでやっていた岩井秀人さんと快快の「再生」 を観たんです。ピンクの蛍光塗料を全身に塗った赤鬼が出てくるんですけど、激しい運動量で、上演中にその塗料が溶けて剥がれ落ちていくんです。あと、出演者が吊り下がってる水をその場で飲んだり。終演したとき、自分が息を止めて観ていたことに気づきました。劇的な体験だったなーって思って。セリフ回しは演劇からは影響を受けていなくて、詩が好きなので、そこからの影響が大きいです。あとは、山田うんさんの「春の祭典」っていうダンス作品を、高校生の時に見たことがあって、それがめっちゃかっこよくて。汗が飛んでくるんですね。そんなの普通嫌なのに、その時は全然嫌じゃなくて。かっこいいってこういうことだよな、みたいなことをそこで感じました。目の前の舞台に立ってる人が”生きてる人だ”と思える瞬間がめちゃめちゃ好きです。
自分ウケ最高
内田:演劇やってて一番好きな瞬間を教えてください。
テヅカ:千穐楽のステージを観ている時ですね。チェックをしなくていいじゃないですか? 純粋な目で観れるから。
内田:お客さんとして観れる。
テヅカ:はい。そもそも自分が面白いと思ってることを書いてるから、自分ウケ最高じゃないですか、結局。きゃっきゃ!みんなすごい!って思いながら観てます。
内田:確かに(笑)。言われるまで気づかなかったですけど、自分の好きなこと書いてるから自分ウケは最高なはずですね。
テヅカ:やりたいことやってんだから最高じゃんって。お客さんの感想ももちろん大事なんですけど、それを聞くよりも好きとか、楽しいのは、最後のステージ見てる時ですかね。それまでのステージは演出家として、もっとここをよくしたい、と思って観てしまうんですが、最後のステージはそういうものから解放されて、全部が報われていく時間だなあ、みんな、ありがとう、すごーい、最高じゃん!って思ってます。
わたしも生きるから、あなたも生きるんだよって無責任に言おう
内田:今回の「Oh so Shake it!」はどんな作品ですか?
テヅカ:やりたいことはいろいろあるんですけど、作品としては「とりあえず生きてみよう」っていうことを伝えたいなって思っています。めちゃめちゃ落ち込んでる時に「死んじゃダメだ」とか言われるのは大変だっていうこともわかるけど、でも、死んだら全部終わりだから、とりあえず生きようっていうことを言う覚悟を決めた回、ですね、今回は。誰かに対して生きようって言っても、それに責任を持つことってできないじゃないですか。人の命に責任は取れない。でも責任取れないからって何にも言わないでいいのか、とか。何もしない優しさももちろんあるけど、演劇で何かをするんだったら、わたしも生きるから、あなたも生きるんだよって無責任に言おうって。「Oh so Shake it!」自体はもともと 2年前ぐらいに書いてた本で、その時は死ぬことの肯定をする作品だったんですけど、そっから視点を変えて、生きようっていうものに今回はしてます。
テヅカ:テーマはお葬式なんですけど、どちらかと言えばゲームっぽいです。
内田:ゲームっぽい?
テヅカ:RPGとかアクションゲームというか。
内田:楽しみです。何かお客さんに伝えておきたい事はありますか?
テヅカ:なんだろう、黒い服を着て観にきてください。客席がオールブラックコーデだったらかっこいいですよね(笑)。みんなで作ってみるみたいで。チケット料金が別に安いわけじゃないから、ご無理なさらず。観にきていただけたら嬉しいです。すごい見たいけど、お金かったら相談してください。DMください。
内田:ありがとうございました!
自分の言葉で話すテヅカさんに創作の喜びを思い出させてもらえたインタビューでした。
可愛い空間、遊ぶ身体、切実さに満ちた言葉たち、TeXi’sの世界をぜひ体感してほしいです。「Oh so Shake it!」は3/20(水)より北とぴあカナリアホールにて。黒い服を着て、参列しましょう!