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試みの地平線を懐かしく読んだらドラゴンボール7つ集て童貞を取り戻したいともった話(エッセー)

ホットドックプレス(HDP)を懐かしく思う世代は現在何歳くらいの人だろうか。少なからず45歳手前の私たち世代はHDPと聞くと懐かしい青春の記憶なのではないか。

そしてHDPにあった試みの地平線を覚えているだろうか?ハードボイルド小説作家の北方謙三氏が若者の赤裸々な悩みに答えていくそんな雑誌のコーナーだったアレだ。

そのコーナーにおける悩みには、初体験をどうすればいいか、自分のアソコのサイズが小さいのではと悩んでいるといったパーソナルな悩み、また恋愛や人間関係の悩み、将来に対する悩みなど思春期の若者が持つであろう様々な悩みに対して北方謙三がハードボイルドに答えていくそんなコーナーだった。
そんな試みの地平線をのちにロスジェネ世代と呼ばれる当時の私たちは移りゆく価値観の中である種のネタ的な娯楽として、またある種の大人になるべく身につけていく教本として読み漁ったものだった。

最近ひょんなことからこの試みの地平線が懐かしくなり単行本化されてないものかとAmazonを検索して入手した『試みの地平線 伝説復活編(講談社)』を読んでみた。

現在の私はもちろんまだまだ若輩ではあるものの、恋愛や結婚や親となる体験などあの頃よりもはるかに人生を進め、成熟した一人の人間となっているはずだ。そんな自分が今この本を読むことで当時悩んでいたことや感じていたことを懐かしく思い出せるのではないかと思ったからだ。

そして、自宅に宅配された夜に早速手に取り読み始めた。結果、、30分と読み進められなかった。

手に取った直後は当時の若者(当時の私世代)の赤裸々な悩みに、10代の頃ってこんなこと悩んでたのかという興味も湧いた。そして何より、読んでいると10代の自分の悩みを思い出す以上に、大人になった自分がそのような若者の悩みにどう答えるだろうかという視点で読んでいる自分に気がつく。しかし、読んでも読んでも若者の悩みも、北方謙三氏の回答ももはやどうでもよくピンとこないものだったのだ。

質問も回答もどうでもいいと感じたのはおそらく若者の質問自体もありふれたもののように感じるし、その回答もそういう意見もありだよね程度のものと感じたからだ。一方で回答する側の歳となった自分が若者たちにするである回答は、「そんな悩みは今しかできないのだから思いっきり悩みなさい」という回答に尽きるからだった。

人生をこれから始める若い時代の自分たちははいつも世の中に対して不安や疑問があり、何かにもがいていた。時に迷いがあり、時に向こう見ずだった。しかし、今この年で思うのはそういったことは短期で見れば「悩み」となるけれど時間軸を変えて人生の一部としてみれば、自分で判断できる大人になる上での過程でしかないことを今私は知っている。そして現在の自分もまだその過程の中にいることも知っている。

正直、初めての経験をうまくやりたいという悩みに対して、私が思うのは、「うまくできなくてもうまくできてもどっちでもいいじゃないか。その経験を糧に人生が進むだけなのだから」だったのだ。そして、北方謙三氏もそんなことは百も承知の上で自分の価値観に従い大人としてのロールモデルを演じ彼の思う心意気を伝えただけなのだろう。

本を閉じて私は思った。昔はなぜこんなことに悩めたのだろうかと。そして、なぜ質問者の立場を自分に置き換えて北方謙三氏の回答を面白おかしく純粋に読み漁ったのだろうかと。

そして、ほどなくあの頃、北方謙三氏の演じるロールモデルを参考にしたいと思った自分に価値があったのだと理解した。齢40も超えてくると、人は多くのことにさめている。そして、多くの場面で「こなれた」自分がいる。

いつまでも若くいたい、柔軟でいたい、若いころの思いを忘れてくないなど思っているものの、早かれ遅かれ人はおのずとそうなるものなのだろうなと思う。あの頃の自分たちが持っていたまだ見ぬ世界へのあくなき好奇心や多くのチャレンジ精神を伴う情熱と引き換えに我々は知らず知らずのうちに少しづつ大人になりこなれてきているんだと、そして効率的な人生を過ごしているのだと。

だからあの頃の若い世代の自分たちを思うと、どうでもいいと思う一方で羨ましさがある。

タイトルに、ドラゴンボールを7つ集めて童貞を取り戻したいとふざけて書いてみた。半分は冗談で半分は羨望だ。それは、若さゆえの多感さを持つことで自分を成長させれると知っているからだ。

だから私は思う。自分を奮い立たせるドラゴンボールの7つは何なのか探しに行ってみようと。7つのドラゴンボールという仕組みはきっと恒常的に自分を成長させるものなのではないかと。。

現代は人生100年の時代といわれる。定年も伸びてきており、40代はまだまだ若手とみなされてもいいはずだ。だから、あの頃童貞だった自分と同じ世代のみんなにも言いたい「みんなドラゴンボール見つけて40代のセカンド童貞を目指そうぜ!」と冗談でこのノートを締めくくる。

以上、ネタ的なエッセーでした。

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