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私の作りたい作品の方向性がわかった話【本】
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私はこれまで、書籍を作るにあたって何人かのイラストレーターに表紙の絵を依頼してきた。
自分の作品を世に出す際、その視覚的な第一印象を決定づける表紙は極めて重要だ。
だからこそ、クリエイターと手を取り合い、互いの作品を補完し合う形で新たな本を生み出していきたいと考えていた。
烏滸がましい事を言うと、私が媒介して彼らのアート作品を「売りたい」と考えていた。
アートで生計を立てたいと思うのは自然なことだし、多くの人が望んでいる。しかしこれを実現できている人はごく僅か。
書籍販売の繰り返しにより、私もそれに貢献できるならやりがいがあると考えたのである。
実際、書店に並ぶ本と比較して、私が手がけている本はAmazonに直接置いている。
本のリアルな質感や中身の体裁よりも、表紙の重要性を感じていたし、SNSマーケティングを前提としたこれからの出版ビジネスの根幹に関わる部分と考えた。
文章を書く私と、絵を描く彼ら。それぞれの専門性を活かしながら、読者にとって魅力的な本を作る。
これは、私にとって当然の考え方だった。
しかし、ある無名のアーティストの作品と出会ったことで、その価値観が大きく揺らぐことになった。
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