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2023年1月7日の乾杯

1月7日の乾杯、コロナが再び広がり始める中、昨年末に罹患してしまったおねえさんの体験談と、その隔離期間におねえさんに対してはなすすべもなく、ただ快癒を祈りながら様々な舞台を観続けていたおじさんの会話です。

👱演劇のおじさんと

👱おねえさんです。こんにちは。

👱こんにちは。

👩あけましておめでとうございます。

👱おめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

👩旧年中は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

👱ところでおねえさんは昨年末からいろいろに大変だったみたいで・・。

👩そうなんですよ。最近またはやりだしたものに罹ってしまいまして。

👱ええ。熱とかはかなり出たのですか?

👩出ましたね。うん。40度近い熱が。

👱うわっ、それは大変。

👩はい。

👱それはすぐに下がったのですか。

👩いえ、全然ひきませんでした。薬が効かないのですよね。

👱うわぁ、お医者さんからの処方薬がということですか?

👩まあ、お医者さんの薬は効くのですけれど。まずお医者さんに行くのがですね、まあ、もう無理だったので救急車を呼んだのですね。もちろん救急相談などにも電話をかけて、こういう状況なのですけれど大丈夫でしょうかと相談したところ、だいぶひどい状況なので気になさらず使ってくださいということをおっしゃっていただけたので救急車を呼んだのですよ。

👱はい。

👩で、いくつかの病院を当たって貰ったのですけれど、まあ、今こういうご時世でもあって、まず病院にも入れないと。疑いがある状態だとね。

👱ああ、そうですよね。発熱のある人はどこでもそうみたいですね

👩はい、どこの場所になるかもわからない。で、コロナウイスルへの罹患が確認された場合、帰りは歩いてくれと。タクシーやバス、電車などの手段は使えませんという話で。

👱ああ、公共交通機関は使えませんという。

👩そう、そういう風に言われて、でも仕方なく病院に行ったんですね。

👱ああ、はい。

👩で、病院の駐車場で、救急車の中に入った状態で。救急車も寒い状態のままで、私40度が待ちまして、うふふ。 

👱うふふふ。いや笑っちゃいけないけれど。

👩まあまあ。で、検査をしまして、陽性と。それで帰る手立てもないので徒歩で帰りましたね、1時間くらいかかって。

👱40度で??

👩うん、そうなんですよ。で、もうなんというか、まず熱が下がらない。

👱はい。

👩40度が3日間くらい。市販の薬も飲んでいたのですけれど、まあ無理で、全然きかなくて、全くといっていいほど効かなくて、少しも熱が下がらない。

👱うん。

👩で、病院で貰った薬を飲んでも当初は全く下がらなくて、それでも2日くらい飲み続けてからやっと少し下がったんですね、39度くらいにまで。でも薬を飲んでいるときには少し下がるけれど、まあ切れれば上がるという状態がずっと続いて。

👱それは辛そうですね。

👩あと、咳が、まあとにかく酷くて。喉は何かを呑んだりするのが痛いとか、普通の風邪の時のようなすごい痛みはあんまり無かったんですけど。とにかく呼吸器。咳がまあひどくて。

👱嚥下はできたのですか。

👩嚥下はできましたね。

👱食欲とかは?

👩あんまりなかったです。熱が高いと。ただ、食べないとなんともならないので。まあとにかくポカリスエットを飲む日々でした。

👱ああ、やっぱりポカリスエットは偉大ですよね。

👩そうですね。あとはもう、とにかく時が過ぎて熱が下がるのを待つばかりでしたね。もうだいぶかかりましたね。年末とかもなかったですね。

👱ああ。

👩それこそ2~3週間くらいですかね。ちなみに、ほんと直近なのですよね。12月の半くらいからだったので、年末年始とかも全然駄目で。

👱ええ。

👩で、やっと。やっとという感じですね。熱も下がりまして、その、あれですよ、とはいえあれですよ、一回こう大丈夫という風にはなったのですけれど、今度はいわゆるコロナ後遺症というやつでしょうか、まあ調子が悪い。元気なのですよ、熱はないし、あれなのですけれど、ちょっと動くと目眩がしたりとか、

👱ああ、そういう話も聞きますよね。

👩だから起きていられる時間がすごく少なくなってますね。まあ徐々に、徐々にだなぁとは思っているのですけれど。

👱そうはいっても少しずつは回復してきているのですか?

👩ほんとうにすこーしずつ、すこーしずつですね。

👱まあ、完全に元に戻るまでには1ヶ月以上くらいかかるとも聞きますしね。

👩うん、

👱でも、とにかく入院とかしないですんで、ましてや人工呼吸器のお世話とかにならないでよかったですよね。

👩それはほんとに、ほんとうに。

👱今中国が大変なことになっているみたいだし、東京というか日本もがっつり増えてきているみたいですからね。

👩うんうん。

👱まあなんか、普通には収まらないですね、コロナは。

👩うん。

👱ちなみに、今回の経験から、万一コロナに罹ったときのために前もって用意するというか備えておいたほうがよいものってありますか。

👩それこそ水、ポカリスエット、ゼリー状のものとか、食べられるもの。とにかく外にでられなくなってしまうので、なにかストックをして置いた方がいいなとは思いましたね。なんにもない状態から一から揃えていくのはだいぶ大変です。

👱まあ、お店にも行けないだろうから、宅配かなにかをしてもらうしかないのですよね。置き配で。

👩そうなんです。私も宅配をすごく頼りにして。それが命綱でしたね。でも、それも大変なのですよ。正直片付けをしなければいけなかったりとか、

👱ああ、なるほど。ごみも出せないですものね。

👩そうです。ストックをとにかくしておくというのは、ほんとうに病気だけではなくてもいいので、元気なうちにストックをしておくというのはほんとにやって置いた方がいいなと思いました、ほんとうに。

👱あの、Uberとか出前館とかはピザの宅配とかはつかえたのですか?

👩うーん、少し元気になってからですよね。あの、下手にできないですよね。

👱ああ、なるほどね。そうか。いやぁ大変でしたね。

👩大変でした。ほんと皆様、罹らないでください、あんな大変なものに。私は運良く入院とかにはならず自宅隔離でなんとかなったという感じですけれど、いやぁ、あんなのをただの風邪だとか大丈夫ですみたいに言うのは無理があります。全然普通の風邪ではないです。あの、インフルエンザとかでも人が亡くなっているじゃないですか。でもインフルエンザは長い期間でワクチンとか特効薬とか戦う手ができたからまだなんとかなっているだけで、

👱ああ、タミフルとかね。

👩でも、命に関わる病気であることには変わりはないし、コロナはまだそういう薬が無い状態、とにかく熱を下げるしかないという。対処療法なのですよ。ほんとうに。痛みを抑える物と解熱効果があるものしかもらえないのですよ。

👱なるほど、あくまでも対処療法なんだ。

👩はい、お薬なんかないです。しかも抗生物質なんかのんじゃいけないらしくて。

👱ええ、そうなんですか。

👩そうなんです。抗生物質を飲んでしまうと体の中で戦ってくれるものまで倒してしまうからと。まあこれは眉唾というか違うのかもしれないけれど、とにかく抗生物質は出されなかったしのんでないんですよね。

👱まあこれまでの経験則的にのんでもきかないのかもしれないですしね。

👩それどころかマイナス、マイナスなのかも知れないですよ。調べてもみましたけれどのむなって書いてありました。

👱まあそれでも、とにかく少しでも元気になって良かったです。

👩うん。いやあと元気な間にコロナの疑いがあったときにすぐ検査をしてくれるところを見つけておくべきです。

👱ああ、なるほど。

👩今ってもう検査をしてもらえないんですよ。ここならこういう風に検査をしてくれるというさえちゃんと確保しておけばよいのですけれど、それがないとほんとにたらい回しですよ。

👱なるほどね。私は先日抗原検査キットと称する物を薬局で買いましたけれどね。

👩ああ、大事です。アルト良いと思います。訊かれますからね、抗原検査キットとか使われましたかとって。

👱ああ、そうか。

👩で、ないですって返事をするしかないわけで。

👱この間、たまたま薬局に目薬を買いにいったときに、在庫がありますという貼り出しに気がついて。買っておいたほうがよいなっていうことで手にいれたのですけれどね。

👩うんうん。

👱まあまあ、おねえさんがそんな中、私はお気楽極楽でお芝居なんかを観ておりまして。

👩いやいや。それはね、観て頂かないと困ります。観ることが出来る方は元気に過ごして頂かないと。

👱ということで、お芝居のお話を少ししますと、動物自殺倶楽部という団体というかユニットがあるのですよ。

👩ほうほう。


新宿 SPACE雑遊

👱鵺的の主宰でもある高木登さんと牡丹茶房の俳優でもある赤猫座ちこさんのユニットなのですけれど。

👩はいはい。おもしろそうな方達ですね。

👱ここが第二回公演として雑遊で『凪の果て』というお芝居を上演したのですけれど、これが滅茶苦茶おもしろかったですね。

👩へぇ、どんなお芝居だったのですか?

👱もう終わっちゃっているから言いますけれど、前半が夫の離婚調停の依頼をうけた弁護士と相手側の弁護士と夫との3人の会話劇なのですが、夫は性格的な弱さをもっているというかどこかストーカー的な部分もありまた別の女性に恋慕もしているということが次第に分かってくるんですね。また、弁護士は男女なのですけれど、その男性弁護士のパワハラ的な部分も感じられてくる。いろんな歪みが膨らむ感じの中場転が一度入って今度は妻と夫が恋慕している相手と夫の弁護士の3人での物語になる。で、最初は違和感を持ちながら観ているのだけれど、ふっとそれが前半のシーンの1週間前であることに気がつくと、前半に観たものの記憶がその後日談として回収され、女性達の夫や男性弁護士への復讐劇であることへと解けていってとんでもなくおもしろくなる。

👩へぇ。

👱とても良い意味で前半に綺麗に騙されたというか、作家や演出家、更には俳優達の掌で転がされまして、終演後には仕掛けの鮮やかさにドーパミンがどくどくと溢れた。ほんとその構造や見せ方はここ何年かで観たストレートプレイの中でも屈指のもので。赤猫座ちこ、ハマカワフミエ、三浦葵という3人の女優達がそれぞれの個性を際立たせることでその利害の接点が見事に交わったし、函波窓、橋本恵一郎の男優陣もある意味女性達の抱く物の質量をしっかりと背負っていたように思う。小松愛美理さんも戯曲を更に研ぐような演出だったし、やっぱり高木さんの作劇はすごいよね。

👩うわぁ、いいなぁ。楽しそう。

👱まあ、個人的にはあれは再演があってもよいなぁと思っていて。すぐにということではなく、少しほとぼりが冷めた頃に。流石に雑遊のキャパではもったいないのでもう少し大きくてなおかつ雑遊の舞台に作られた一部屋の感覚が担保できるような小屋を探して。

👩観てみたい、それは。

👱うん。本当におもろかったですよ。あとね、観たものとしてはポップンマッシュルームチキン野郎という、

👩ああ、はいはい。


王子小劇場

👱吹原幸太さんが亡くなってもう2年くらいになるのかなぁ、確か。主宰が若くして亡くなったじゃないですか。彼はまだ37~8歳ではなかったかなぁ。

👩そうそう、吹原さんですよね。

👱彼の作品を原作に置いて、彼に加えて劇団員の小岩﨑小恵さんとNPO法人さんを「作」に吸えて、演出もNPO法人さんに加えてニシオカ・ド・ニールさんが入って『コチラハコブネ・オウトウセヨ』というタイトルで上演したのね。その短編を病院に見舞いに来ているみんなという態というか物語の中の入れ子みたいにして繋いでいくのだけれど、その一つずつの作品に味わいがあったし。

👩ああ、はい。

👱でね、客席が満席なのですよ。やっぱりポップンマッシュルームチキン野郎ファンが詰めかけている感じがあって。

👩うんうん、そうですよね。

👱で、野口オリジナルさんとかね。俳優がそれぞれの良いところを引き出されたりしてもいて。

👩野口オリジナルさんって本当に良い俳優さんですよね。

👱うん、本当に良い俳優だよね。客演とかでの舞台でも感じていたけれど、今回観て改めて思いました。

👩なんか、どんどん魅力が増している俳優だなってすごく思う。しっかりとこうなんか、なんていうんだろう、立ち止まっていないなって、ずっと。

👱なんだろ、彼がストイックになればなるほど、出てくるものが温度を持ったりその懐が深くなったりするような感じってあるんですよね。

👩うんうん。なんかハチャメチャに売れて欲しいなぁって思います、私。

👱それこそどこかで、まあ彼自身がどう思っているかは全然知りませんけれど、なにかのきっかけでもの凄く売れたときにその状態がちゃんとなにかに支えられているような予感のある、そんな力を持っている俳優ですよね。

👩そうですよね。なんかそれこそ、テレビドラマでの出演なんかをとても観たいなと思える俳優さんなんですよね。もちろん舞台もとても素敵だしこれからも出続けて欲しいのはあたりませなのだけれど。うん、すごく思うのですよね、あの方。

👱最近思ったのだけれど、小劇場に出ている俳優の方って、もちろんテレビに出ている俳優の方たちとは知名度が全然違うこともままあるのだけれど、だからといって力が劣っているわけではなくて。

👩実際ちょこちょこ出てもいらっしゃるしね、小劇場で活躍している方たち。

👱そうそう、年末にアガリスクエンターテイメントの方々が『生ドラ、東京は24時!』という生放送のドラマに大挙ご出演で。主演は鈴木保奈美さんとなにわ男子の藤原丈一郎さんのだけれど、あと近藤芳正さんとか、小手伸也さんとか、中田顕史郎さん、最後に加藤諒さんなんかもご出演だったのだけれど、やっぱり生に慣れているというか鍛えられているということの凄さがあって。

👩うふふふ、あの、対応力がね、まかせろっていう。

👱で、斉藤コータさんなどのアガリスクまわりの俳優も含めて、そのお芝居の精度の高いこと。なにより、その一瞬の生放送に対してぐいぐい空気を立ち上げて演じていくんですよね。

👩うんうん。

👱もちろん実際がどうかっていうのは観る側にわかるべくもないけれど、少なくとも観ている分には一瞬毎の俳優達それぞれの自分の判断がちゃんと身に付いていて、その場その場の空気に合わせてお芝居を作っていく観たいな肌触りがあって。だから、なんだろ、ああやって演じてくれていると、たとえ映像であっても生を観ているみたいな感覚に捉えられてしまって。

👩誰がご出演だったのですか、アガリスクの。

👱けっこうほぼほぼ総出演みたいな感じだったよ。

👩誰だろ。津和野諒さんとかでていらっしゃいました?

👱うん、ご出演でした。なんか副調整室の音効担当を演じていらっしゃいました。

👩へぇ。津和野さん大好きなんですよね。いいですよ。

👱いいですよね。で、津和野さんがちゃんと津和野さんの味わいで演じているのですよ。

👩うんうん。あの、なんともいえないね。ドラマとかさ、刑事とかが出てくる探偵物とかでなんか味のある、あの六角精児さんみたいな感じの。

👱ああ、ただ全力投球のキャラクターとはちょっとひと味違うようなね。

👩なんだろ、絶対だれもが思うようなはまり役というかね、なんかそういうのをやってほしいです彼には彼には。そういう意味では「音効」の役もしっくりきますね。

👱冨坂さんが書いているだけあって、自分のところの俳優たちはそれぞれの一番良い色が出せるところを使っている部分もあって、

👩うふふふ、

👱もちろんしっかりと鈴木保奈美さんが主演なのだけれど、終わってみれば主役に全てを全てを合わせているというよりは,アガリスクエンターテイメントが作る世界にあわせて鈴木保奈美さんや藤原丈一郎さんをうまく入れ込んで映えさせているような感じもして。

👩あはは。でも素晴らしいよね。だって強みのところで戦う方が絶対に良いに決まっているもの。

👱まあ、鈴木保奈美さんもそれなりに良いお年頃かとは思うのですけれど、テレビ局を走り回っていましたものね。

👩あははは。けっこう前だけれど、アガリスクエンターテイメントさんがゴットタンの再現みたいなやつに出ているときに観ていて好きでしたね。

👱まあ、アガリスクエンターテイメントはいろんなことにチャレンジしていくという指向は強いですよね。所属の俳優達もちゃんと売れるようにがんばっているというか

👩しかもさ、劇団ワンセットでけっこういろんな場所ができる人たちがいるから。すごくバランスも良いし、呼びやすいですよね、呼ぶ方もきっと。

👱で、やっぱり俳優達が公演のたびにいろんな役をやって鍛えられていると思うんですよね。

👩うんうん。

👱自分たちの色合いも担保しつつその色合いだけではないものが公演ごとに引き出されているから。それが上手く嵌まると本当に機能するというか。

👩冨坂さんってやっぱりすごい策士なんだな。

👱そう、確かに策士だよね。もしかしたら、裏ではけっこう企み顔や時に悪い顔をして台本を書いているかも知れない。

👩うふふふ。

👱こんなこと言ったら怒られてしまうかもしれないけれど。でもほんと常ならぬくらいいろんなことを考えていると思いますよ。その結果として本当に今回も適材適所感満載で。中田顕史郎さんなんてのびのびとお芝居をされていて、今回をきっかけにしてまた同じ様な役のオファーか来るかも知れないなって思った。そのくらいによかったですよ。だから野口オリジナルさんなんかもそういうところに巻き込まれてもっと認知度が上がれば、その分もっと売れる気はするんですよね。まあ、彼のポリシーとして生の舞台を大切にするとかそういうことがあれば別だけれど。

👩野口オリジナルさんとか津和野諒さんとかは、テレビに出ている告知とか観たことがあるような気もしますしね。

👱うん、実際それなりに出ていらっしゃるのかもしれないですね。私が知らないだけで。

👩でも、メインどころに言って欲しいよね、そういう感じで観たい。

👱主役とまでは言わなくても、タイトルの2番目とか3番目くらいに名を連ねるようなお芝居を観てみたい。

👩それはもうメインじゃん。

👱そういうところに入り込んでくるだけの力ってあると思うのですけれどね。

👩それはあると思う。

👱お芝居の力というか演じて醸される魅力とかね。

👩うん、あるよ。

👱まあ、テレビで使われるというのはそれだけのことではないのだろうし、いろいろと大変なのかもしれないけれど、実績を重ねている小劇場出身の先達もちゃんといらっしゃることだし、なんとかしてチャンスを掴んで欲しいですよね。

👩うんうん。あとさ、アガリスクには、こういう言い方をするとあれだけれど、くずキャラを演じさせたらものすごく上手な方っていらっしゃいますよね。こういう言い方は駄目なのだけれど。

👱あそこの俳優さんはみんな駄目なところを演じさせるとうまいから。

👩ちがうのなんか、あの、この人やばいみたいに想わせてくれる俳優が。なんか、なんだったっけな。だいぶ前に観たんで、今はもうちゃんとまともになっているかも知れないけれど、ちょっと恰幅のいい俳優さん。

👱ああ、はいはい.あの人・・・。

👩なんか洋服がなさ過ぎて、衣装で帰ってしまったとか言う逸話を聞きましたけれどね。だけど、今もこうしてしっかりと活動してくださっているのはありがたいね。新しい団体の方や俳優・スタッフがやめてしまったりとかさ、良く聞くから。

👱うん。

👩私は結局最後を観ることができなかったのですけれど、「幸せ学級崩壊」さんが解散とか伺って愕然としましたけれど。

👱彼らは最後の頃、近代文学やいろんな戯曲作家の短編のリーディングを上演していたんですね。前にもちょっと話した音楽、EDMだよね、俳優が戯曲を乗せる感じで紡いでいく。劇場というよりはイベントスペースやライブハウスみたいなところで上演していたのですけれど、

👩うんうん。

👱あれも、今までに体験したことのない感覚というかね、俳優が読むことにその音楽が重なることで綴られたものが新たに抽出されてくるんですよ。そのリズムや旋律に溶け出して作品が染み出してくるような感じがあって。

👩うん。

👱一度、林揚羽さんのステージではそのバックに映像も加わったことがあって。

👩へぇ、

👱そうするとその映像が更に作品から解けてきた感覚を際立たせてくれるような感じもして。

👩ふんふん。

👱私は全編のCDを買いました、会場で。4枚セットだと7000円だったけれど。

👩うふふ。

👱今もたまに聴くいているけれど、まあ実際にライブを観ているからというのもあるかもしれないけれど、やっぱり聴くたびにそれぞれの作品の違う色に染められるものね。近代文学というか太宰だのなんだのが4作品はいったのが2枚とそれこそ屋代さんとか高木さんとかも書いた現代戯曲のリーディングが2枚なのだけれど。通販はまだしているみたいだけれどね。ただ、それらはCDで聴き返してもやっぱり「ナウい」。だから、もちろん劇団としての事情はいろいろにあったのだろうけれど、観ていた側にとってある意味頓挫したようになっているのはとても勿体なく感じるし残念だよね。

👩ああ、うん。

👱まあ、外部からとやかく言うことではないけれど、にがみひなたさんも疲れてしまったみたいな話を読むなり聞くなりした記憶もあって。

👩ああ、それはね、もう。

👱すこしはまた復活してというか、どういう形であってもかれの創作への期待は尽きないのだけれど、まあ、生身の人間の為すことだからね。

👩そうですね。

👱そうそう、「幸せ学級崩壊」といえば劇団員の林揚羽さんが出られたI’s stageの『クリスマスの朝がくる前に』という舞台を観たんですよ。大岡山劇場っていう初めての場所だったのだけれどね。

👩うんうん。

大岡山劇場

👱作品は俳優が本を持っての舞台で、リーディングの態ではあるのだけれど、ミザンスも作られていて、なんだろ、2.5次元の世界といえなくもなくもないのだけれど・・。それともちょっと違っていて。

👩うふふふ、うん。

👱なんか声優さん達の演劇という感じもあるんだけれど、それもちょっと誓っていて、なんだろ、ちょっと独特の世界なのね。

👩ほう。

👱なんか、観ていると絵本を読んでいるみたいなの。

👩へぇ。

👱シーンが変わるたびに、一ページずつ絵本がめくられて行くみたいに物語が進んでいくの。

👩ふーん。それ面白いね。

👱面白いし、不思議な感覚でしたね。

👩うんうん。

👱ちょっとお伽噺風なところもあってね、女性が狼男に助けられる話なのですけれど。

👩うふふ。

👱でも、なんだろ。絵本ってけっこう観る側に風景とか雰囲気を想像させるじゃないですか。

👩うんうん。

👱まあ、絵本だから絵は当然に描いてあるのだけれど、それが極めて具象というわけでもなくて、時にいろんな空気を想像させたり、背景だって抽象的な物もたくさんあって。そうしてその中に自分の世界を作っていくわけじゃないですか。

👩うんうん、そうですね。

👱なんかそういう要素が観た舞台にもあるのですよ。

👩うん。

👱まあ,時節柄上手と下手にクリスマスツリーが飾ってあったりはしたのだけれど、それから中央奥に段も設えられていたのだけれど、どちらかというとほとんど素舞台に感じで。そこに、物語が呼び込まれてくると言うか、どちらかというと声優としての力を感じる俳優さん達でもあるので、その声の表現に舞台が充ち、キャンバスに物語浮かんでいくような感じもあって。

👩ふーん。

👱それは、もちろん同じ空間なのだけれど、みんな違う自分の引き出しで風景を作って物語を追いかけているような気もして。

👩うんうん。

👱それはなんか、これまであまり感じたことのない感覚でしたね。

👩なるほど。

👱まあ、お値段も5000円と今の小劇場演劇の中でも若干お高目なので、なおかつ若干私的にはなかなか情報が伝わってきにくい劇団なので、

👩ああ。

👱また観にいけるかというと頑張って動機や情報を集めなければなのですけれど、でも今までに感じたことのない世界を体験できたのは面白かったですね。

👩うん。

👱あと、一つ思ったのは、本当に初めて演劇を観る人でも、この団体は馴染みやすいとは思う。ストーリー自体はわかりやすいから。あの、あのいい意味でね。

👩はいはい。

👱その、ストーリーのわかりやすさが舞台の質量の薄っぺらさにはなっていないから。

👩はい。

👱へぇ、こういう世界もあるのだなぁとも思って。

👩うふふ。

👱だから、こういうお芝居を観て、惹かれて、更にっていろんな演劇を,観始める方もいらっしゃるのではないかと思う。

👩うんうん。そうかも。それで広がるかもね、そこから。

👱そうそう。

👩そうであって欲しいとも思うしね。

👱お客さんの入りや客席の空気を見ていても、それなりにけっこう実績のある団体だとも思うしね。

👩うんうん。

👱で、心惹かれる部分があるっていうのも分かるんですよ。

👩はいはい。

👱クリスマスの頃にはそんなものも観たり。あと年末近くになると東京にこにこちゃんの公演もありまして。

👩うーん、はいはい。


下北沢 駅前劇場

👱それがね、これまでどおりによく研がれた笑いがあって面白く感じつつ、それまでに観た2作とは違う新たな切っ先が生まれていてね。

👩うんうん。

👱作り手はただコメディをやりたいだけではなくて、こういうものも作りたいんだなって新たに発見したような気がして。目から鱗がおちましたけれどね。なんかね、ゲラで、でも笑うタイミングが場違いな男の子の小学生のころと成長してからの話なのだけれど、ほら、本来笑うところでないのにひとり笑ってしまって場を壊してしまう人っているじゃないですか。

👩いますねぇ。

👱あの、劇場などでも、えっ、ここでお笑いになりますかと思うことが稀にあるのけれど。

👩いや、自分もあるかもおもって,今、「うーん」ってなってしまった。そういうの、やってしまうときがあるかもしれないなぁって。

👱うふふ。まあそれは、私もまわりをそう思わせていることがきっとあると思うし。でも、それは舞台に対する観客一人ずつの反応としての笑いだから、絶対間違いではないとおもうのだけれどね。でも、劇場に限らない話としてTPOに合わない笑いで雰囲気とか空気が壊れてしまうこともあるわけで。、でもね、そうであっても自分の心に正直というか自分らしくあることならいいんだよということが描かれていくのですよ。

👩うんうん。

👱あの、小学校時代から大人になる間にタイトル映像がはいるのだけれど、それが演劇に恣意的に差し込まれた雑さとは全く違ったびっくりするほど見事なクオリティだったりとか、なんかコメディの側面からは素敵に規格外だったり。でも、だからこそ、惹きつけられていく。あとナカゴーの高畑遊さんがご出演なのだけれど、

👩はい。

👱彼女って観客から観ていても演技のインパクトというか圧が強い女優さんなのね。それが、こういう言い方をするとあれだけれど、うまく手なずけられているというか、作品の広がりになるように舞台に紡ぎ込まれているの。

👩へぇ。

👱彼女をあんな感じで舞台の力に変えられるのは、もちろんナカゴーの横田さんみたいなやり方で彼女が舞台の武器になっている姿は何度もみているのだけれど、またひと味違う作演や共演者の力にも思えて、高畑さんの良さがしっかりと引き出されていて惹かれたのね。なにか映える映える場所は今までのイメージと違うところにもきっとまだまだあるのだろうなぁとも思えて。

👩はい。

👱やっぱり個性の強い俳優の方はどうしても現場を選ぶみたいなところがあるじゃないですか。

👩うんうん。

👱高畑さん自身は良い俳優だと思うけれど、ナカゴー以外の他の俳優だとその色などについていけないこともあるのかもなぁと思っていたので、ああいうお芝居を観ることができたのはとても楽しかったですね。

👩うふふふ。

👱まあ、彼女については東京にこにこちゃんの前回公演でも似たようなことを思ったのだけれどね。

👩うんうん。

👱才ある作り手であっても、単純に技量を駆使して研がれたコメディーをつくるということだけだと、観ているほうもいつかは飽きがくるじゃないですか。

👩はい。

👱でも、同じようにコメディの技量を使っても、その先で今回のようなお芝居の懐を感じさせてもらえると観る方は飽きないですよね。

👩なるほど、そうですね。

👱まあこうして、おねえさんが聞いてびっくりするくらい大変な時に、私は散々に舞台を楽しんでいたわけで、振り返るとちょっと心苦しいですけれど。

👩いえいえ、全然。私はなにも観ることができませんでしたけれど

👱そこに、さらに楽しいお話もきづづないのですけれど、王子落語会も観て参りまして。

👩あら、いいですね。


王子小劇場

👱あのさ、こういう言い方もあれだけど、今回はいつにも増してよかったんですよ。

👩うんうん。

👱『片棒』の立川佐平治師匠、左團次師匠のお弟子さんでこの王子落語会でも何度も高座を拝見していて、初めのころは噺を忠実にしっかりと語る感じがあったのだけれど、聴くうちにその忠実さに厚みが出てきて、今回はそこに生まれた噺の懐のようなものを感じてね。その、型にはまっているからこその面白さがにじみ出て逆にその型に色をつけていくような噺家さんに変わってきているような気がして。本で読んだのだけれど、古今亭志ん朝師匠が若い頃いろいろとうまくいかなくて、噺の中身や落ちに工夫をしてそれでも上手くいかなかったときに、父であり師匠である志ん生師匠が、「焦ることはないよ、大きな薬缶は沸くのが遅いんだ」って諭したという話があって、

👩うふふ。

👱まあ、俳優さんなんかにもそういう感じってあるのかもしれないけれど。なんかその薬缶が少しずつわくというのはこんな感じなのかなぁとも思ったりもしてね。

👩はい。

👱で、そのあとが、瀧川鯉昇師匠の『長屋の富』で、ひとつの噺に仕込まれたメリハリを自在に操っていくのがやっぱりすごくてね。それが左平次師匠の高座の厚みをしなやかに受け手積み重ねているような感じもして。そのあと中入りで王子落語会レギュラーの米朝一門、桂米紫師匠。米紫師匠は『掛け取り』をやったんですけれど、この噺にはハメモノが入ってね。ハメモノというのは噺の中に三味線や鳴り物を取り入れるやり方で上方落語をぐぐっと映えさせるのだけれど、

👩ああ、ありますね。

👱もうね、前の通りから芝居好きの借金取りのおっさんがやってくるところが見事に歌舞伎仕立てになっていて、そこには歌舞伎座の花道を思い出させるような一種の張りがあって、落語でまねをしているのではなくて、芸が乗り移っているような感じもあって。私はわりと昔から彼の高座は観ているのだけれど、まだ桂都んぼとおっしゃっていたころからね。 そのころからパワーはあったのだけれど、佐平治師匠でもそうだけれど、ああ、芸ってこうやって身に付けていきはるんやって別腹で感動したりもして。

👩うふふ。

👱まあ、この間関西に行ったときにも天満天神繁盛亭ですごい『不精床』を聴かせて頂いてなんか凄みがついてきたなぁとはおもっていたのだけれど、改めてその力を再確認しましたね。あと、神田京子先生の講談も入ってそれがとりだったのだけれど、12月といえば義士ということで『南部坂 雪の別れ』を読んで頂いて。まあ、春に神田伯山先生の独演会を三鷹で聴いて講談の面白さは知っていたつもりだったけれど、やっぱり男性の講談師では出せない女流講談師だからこその繊細さがあって、それがすごく生きていて新たに掴まれて、終わってみれば四席全て異なって見応えがあってなんかすごく素敵におなかがいっぱいになった会でしたね。

👩ふふふ。


王子落語会

👱まあなんか繰り返しになりますけれど、おねえさんが大変だった間、たっぷりと楽しませていただいたみたいで心苦しく思っております。

👩いやぁ、とっても楽しそうでうらやましいことでございますよ、ほんとに。

👱おねえさんもはやく体力を回復してお芝居なども観ることができるようになればよいのですけれどね。

👩そうですね、ほんとそうです。

👱今月も青年団の『日本文学盛衰史』とか。TAACの『GOOD BOYS』とかおもしろそうな舞台が目白押しになっていまして。おねえさんもTAACは昔関西でご覧になったのですよね。

👩はい、観ました。

👱そのときにご出演だった西川康太郎さんや、川田希さんとか先日拝見した堀口紗奈さんなどもご出演で。

👩それは東京で上演されるのですか。

👱うん。シアターTOPSで。

👩いつですか。

👱えーとね、1月18日~24日まで。

👩あららら、それは観たいなぁ、体力がそれまでに戻るかにもよるけれど。

👱観ることで元気になるかもしれない。

👩うーん。でもわくわくがいっぱいですね。

👱はい。ということで、改めて旧年中はお世話になりました。改めて、ことしもいっぱいお話が出来ればと思います。

👩そうですね。よろしくお願いいたします。

👱ということで、演劇のおじさんと

👩おねえさんでした。

👱みなさま、お体には十分気をつけて。

👩元気でお過ごしください。


202暮れの東京国立博物館 庭園


(ご参考)

・動物自殺倶楽部『凪の果て』

2022年12月14日~18日@雑遊

作 : 高木登(演劇ユニット鵺的/動物自殺倶楽部)

演出: 小崎愛美理(フロアトポロジー/演劇ユニット鵺的)

出演: 赤猫座ちこ(牡丹茶房/動物自殺倶楽部)、

函波窓(ヒノカサの虜)、橋本恵一郞

ハマカワフミエ、三浦葵(劇団いいのか・・・?)


・ポップンマッシュルームチキン野郎『コチラハコブネ、オウトウセヨ』

原作: 吹原幸太

作: 吹原幸太、小岩崎小恵、NPO法人

演出: NPO法人、ニシオカ・ト・ニール

出演: 野口オリジナル、横尾下下、井上ほたてひも、

渡辺裕太、廣瀬響乃、増田赤カブト、

NPO法人、小岩崎小恵~以上ポップンマッシュルームチキン野郎、

青地洋、今井孝祐、大野清志(X-QUEST)、

笠原紳司、高田淳(X-QUEST)、

辻響平(かわいいコンビニ店員飯田さん)、横見恵(刀屋壱) 


・生放送ドラマ『東京は24時!』第一夜

2022年12月27日24:25~25:25)放映

制作著作: フジテレビジョン

脚本・演出:冨坂友

出演: 鈴木保奈美、藤原丈一郎

近藤芳正、中田顕史郎、加藤諒、

榎並夕起、斉藤コータ、前田友里子

津和野諒、矢吹ジャンプ、伊藤圭太

小手伸也、鹿島ゆきこ

相島一之、岩男海史、円井わん

大和田あずさ、岡田怜志、宮崎大和

佐野瑞樹、山崎夕貴

黒沢かずこ

(カワイバンド)

カワイヒデヒロ、橋本孝太、持山翔子、工藤晶


・I’s Stage『朗読劇 クリスマスの朝が来る前に ~Forest~』

2022年12月21日~25日@大岡山劇場

作: 山本陽将

出演:折原愛、東地宏樹、上原健太

渚志帆、林揚羽、松浦プリシラ亜梨紗

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