2021年9月11日の乾杯
2021年9月11日の乾杯。やっとコロナが沈静化の兆しを見せて、それでも緊張感を失うことなく観たいくつかの演劇や歌舞伎のことや、イヤホンガイドについての戯れ言、木ノ下歌舞伎の配信への新しい試みのことなどについて話します。
そして今回は、もう一段コロナが落ち着いた中で、いままで培ったコロナ対策を足場にして再び表現に向き合う事への決起会でもあります。
👨演劇のおじさんと
👩おねえさんです。
👨こんばんは
👩こんばんは、よろしくお願いいたします。では、まずは、
👨乾杯!
👩乾杯!・・・うまい!
👨うーん。うまい。
👩美味しいですね。
👨まあ、ここのところ、コロナも少しだけ下火になってきたので。
👩気持ちね。まだ人によるというか、数で言えば下火…といえるのかもだけど…。人による、環境によるという感じがすごくあるなぁと思いますねぇ。数字上ではそうでもねぇ、ちょっと大丈夫かなぁ?って思う。まわりにコロナに罹っている人がけっこういるから。
👨まあ私もね、界隈では聴いたりはするのですけれどね。だけど、もうひとつ、11月くらいになったら、ワクチンパスポートみたいな形でお酒を飲めるようにするみたいな案があるじゃないですか。
👩うんうん。
👨あれでなんか、お酒呑みの皆様が一気に明るくなってくださって。
👩うふふふ。
👨なんか、カウントダウンの日めくりを作ろうかとか言っていたやつもいるし。解禁日が決まれば、あと何日とかいって毎日めくるって。
👩いいなぁ。
👨もうやっぱり、飢えているんだよね、みんな。外でお酒を飲むと言うことに関して。
👩あははは、そうですね。それは感じる。
👨私の従兄が、彼はそんなにお酒を飲む人ではなかったんですよね、昔は。
👩うんうん。
👨それがね、やっぱりずっと家にいると。まあ私より少し年上の人だから、要は無職なんですよ。で、月に何度かはシルバー人材センターというのがあって、そこで仕事をするだけの人なのね。昔働いているときには付き合いで飲むのも嫌がるひとだったのが、家呑みを始めて。ストレスがたまりってきたのだとおもうのね。ついには、自分から呑みにいきたいとか言い出して。
👩へぇ。
👨だけどね。
👩普段しない人がそうなるくらいだからねぇ。みんな人に飢えてる。みんな人に会いたいんだよ。こんなに会えないとは思ってなかったからね。
👨そうそう。本当に初めて自分が呑みたいと思ったときには肝心のお店が開いていないとかいってえらく怒っていましたからね。
👩うふふふ。
👨まあね、ストレスが溜まるよねっていうのはたしかにあって。
👩うんうん。
👨でも、そんな中でもがんばってやってくださっているお芝居があるのは救いで。
👩うん。
👨そういえば、先週の末くらいに、あの北千住にBUoyってあるじゃないですか。
👩あ、はい。
👨そこで松井周さんが文化祭みたいな催しをやっていて。
👩ほう?
👨で施設をほぼ借り切って、お芝居もやるし、いろんな展示とかもあるの。今自分が考えていることをいろんな形で表現するとかね。いや、どれも、それぞれになかなかに新しくて面白かったですけれどね。お芝居の空間では座席にも舞台にも十分なスペースを取るし、展示は展示で何人まで入れますよみたいな感じにするしで、人数をコントロールできる形にはちゃんとしてあったし。
👩うんうん。
👨これからは、ウィズコロナで、いろんな工夫を積み重ねながらいろんなことをやっていくのかなぁって思ったり。
👩ふんふん。
👨まあ、そういう流れの先駆的な試みにも思えたし。
そうそう、みた日の最後には座ってみんなでやる盆踊りっていうプログラムもあって。
👩うふふふ。
👨FUKAIPRODUCE羽衣の新部聖子さんが、みんなで座って踊れる盆踊りを考えました、これだったらみんなでできると思うのでやってくださいねとカジュアルにおっしゃって。
👩うふふふ。
👨で、動きをひとつずつ教えてくださるのだけれど、やってみるとこれが意外にハードで。
盆踊りって普通は炭坑節とか東京音頭とか3~4分の曲を続けて、輪を作り抜けたり入ったりしながら30~40分踊るのだけれど、その曲がラヴェルのボレロなのよ。
👩ボレロ!!
👨で、これを一曲踊りましょうっていわれるんだけれど、その一曲が15分以上あるのよね。
👩ボレロは長いね。
👨で、スケッチブック的なものを使って曲の構成の説明があって、AメロとBメロがこういう振りだからみんなやってみようとか、その繋ぎの振りはこうだからとかいうのを10分くらい練習させられて。
👩凄い、それってもう稽古ですよ。
👨で、そのあと実際にボレロを通して15分踊って、ただでさえついて行けないのに当然にマスクまでしているからもうへろへろで。
👩あはは。
👨私よりはちょっとお若い知り合いがたまたまいらしたので、二人でゼイゼイいいながら北千住の駅まで帰りましたけれど。
👩あははは。でもそういうのは楽しいね。今できないじゃないですか、祭りもないしね。
👨そうなんですよ、しんど楽しいの。
👩あと、体力も単純に落ちているんだろうね、みんな。
👨私はできる限りお散歩もしているし、最近も会社員として通勤などもしているときとそんなに運動量が変わるわけではないとは思っていたのだけれど、テレワークになって以降は上半身を全然動かしていないのね、きっと。
👩うんうん、で、上半身がめちゃ疲れたんですね。
👨そう。というかというか今回の場合、座ってやるから基本的に疲れるのは上半身じゃないですか。
👩ああ、そうか。じゃあ立つことは一切ないの?ずっと座ったままなの?
👨いや、一切ないというわけではないのだけれど、椅子の周りを一周まわるという振り付けがパートのなかに一回あるのよ。
👩まあそれくらいならね。
👨いや、そのそれくらいもね、やばくて。上半身を散々につかってね、そのうえで更に立って椅子のまわりをまわるのって凄くキツいのよ。
👩あはははは。
👨もう、音楽が高揚してくる終盤の三分の一はほとんどどこかに意識がとびながらやっていたものね。
👩うふふふ。
👨その盆踊りの参加者には猫っぽいお面をくれるんですよ。踊っている間はつけてって、でそれはお土産よって。で、帰りにそのおじさんとふたり、もう疲れ果てて、お面をはずす気力もなくて、ふたりでそのまま北千住にむかって途中まで歩いてしまって。
👩かわいい。
👨で、なんか、すれ違った女子高校生くらいの子たちにものすごく奇異なものを見るようような目をされて。でおっさんふたりが互いの姿を見つめ合って、ああこれはちょっとマズいよねって。
👩んふふ
👨なんか、マスクをつけないで歩くよりももっと怯えられていた気がする。
👩あははは。
👨まあ、今の規制や用心の中で、安全に配慮されつつ個性があって魅力的なイベントではありました。でも、こういう風に表現機会や方法を作るノウハウが高まるとともに、11月くらいになって、もしワクチンパスポートみたいな制度ができて、その条件で普通に観てもいいよっていう風になったらと考えたら、少しは希望がわくなっていう気がしましたけれどね。
👩うんうん。だいぶ変わりますよ、それでね。出せることになるからね。ワクチンパスポートを持っている人ならまあ大丈夫ですよっていうことになるから。
👨そうそう。で、まあ、そうは言ってもさすがに終演後の俳優やスタッフとの面会などはやらしてもらえないとおもうのよ。暫くは。
👩それはね、俳優面会は話すことがメインになるから、それが主目的になってしまうとやめてくださいになっちゃうわけだから。
👨で、それをやり始めるとそのうち握手とかをもとめるおじさま達もたくさんいそうだしね。
👩そうそう。
👨だから、そこはあれなんだろうけれど、完全復活までには長い道のりがあるのだろうけれど。でも、そうやって少しでも光が見えてくると、それだけで精神的には違っていて。
👩うん。
👨一時は泥沼の中で更なる暗闇をみるような感じだったから。それに比べて少しだけでも希望があるのはいいなって思って。
👩そうですね。そろそろ希望がないと持たないって思いますしね。
👨希望があるとね、みんないろいろなことをやろうと思いだすみたいだし。
👩あの・、企めるしね、こうしようああしようっていうふうに。
👨そうそう。
👩それもないのはキツかったからなぁ。うん、だいぶ変わりますね。ほんとにね。うんうん。
👨その企みが実際にできなくても、心の中にあるのは全然違うんですよ、きっと。
👩違う、違う。でも、舞台見た後に、わたしとおじさんがこう偶然ご一緒になってということもありますし、じゃあこれをみて乾杯で話しますかというときもありましたけれど、コロナの自粛期間中は、もちろん終わった後にお酒を飲むなどは一切せず、
👨そうそう、そんな危ないことはできないですものね。
👩そうそうそう。観て!帰る!!ですよね。でもそれもね、ワクチンパスポートができれば、じゃあ一杯だけ、というのができるかもしれない。うん。
👨その中でも、以前はそれをやるにしても、観るだけにするにしても、やっぱりワクチン打っていないことでの恐怖感というものはあったけれど、それもお互いにうっていれば少しはなくなるし、更には治療薬も出てくると言うことになればね。やがてタミフルっぽいものが一般的になってきてコロナもインフルエンザ的なものになってくれるかもしれないし。
👩そうだね、インフルエンザ・・。なんかさインフルエンザも大変な病気じゃないですか。治療薬があるとはいえ、いまだにインフルエンザに罹患して命を落とされる方もいらっしゃるからね、毎年。
👨そう、罹ると辛いよね。
👩でもさ、今年少ないって言うのはさ、本当に手洗いうがいって凄いんだなぁって思いません?私も風邪は・・、一回ちょっと検査にいってコロナではなかったのですけれど、ウィルス性の腸炎的なあれだったんですけれど、腸炎というか胃腸炎かな?それで熱出たくらいで。風邪はひいていません、まったく。風邪っていうもの、いわゆる風邪という部類のものたちを!!防げている!!!
👨あははは、それってさ、病原菌にしてみれば、コロナのおかげでそれ以外のインフルエンザとかのウィルスさんが大迷惑みたいなお話じゃない。
👩実際そうらしいよ。めっちゃ少なかったって話をどこかで聞いた。
👨でもね、なんかそうすると今度は人間のインフルエンザに対する免疫が薄くなるから、今年はなんかコロナのほかにインフルエンザのワクチンを打っておかないと大流行になる懸念があるんでしょ?
👩えぇそうなの?そうなの?
👨うん。おねえさんも今年はちゃんと打とうね、インフルエンザも予防接種も。
👩ほんとですね。
👨ええ。あの、半端なく流行るんじゃないかというのを、日本だけではなくアメリカとかヨーロッパでも言っているみたい。
👩そうなんだ。ええ、やだぁ。怖いね。インフルエンザも辛いもの。
👨うん。そうやって考えていくとさ、来年あたりからは子供みたいに2種混合とか3種混合ワクチンが出回ってくるのかもしれないね。
👩あはは、大人も?
👨そう、大人も。犬も子供も大人も、みんな三種混合ワクチンみたいな。
👩うふふふ。
👨でも、こういう冗談が言えるようになったというのは、少しはね、いろんな状況がましにはなったのかも。
👩うんうん。
👨まぁ去年の一時期みたいにお芝居も、全部が全部中止ではなくなってきたしね。
👩うんうん。
👨非常事態宣言が出たり延長されていても、ずいぶんとやるようにはなってきたし。
👩うん。
👨で、なんだろ、一方で配信なんかにもいろんなやりかたやノウハウが増えてきて、ただ単純にお芝居をやるっていうことから、いろんなジャンルや工夫も最近は出てきたしね。
👩うん、そうだね。
👨あのね、昨日からかな、木ノ下歌舞伎ってあるじゃないですか。おねえさんとも一度観に行きましたよね。
👩ありますね。
👨あの、主宰の木ノ下裕一さんって、もちろん歌舞伎の舞台を自分でプロデュースすることも大切なお仕事だと思われているのだろうけれど、それとは別に歌舞伎の楽しさをみんなに知ってもらうということも活動のひとつの目標にしているみたいなのね。
👩なるほど。
👨で、東京芸術劇場とか文化庁とかの後援を得て、お芝居の演目でも若い人たちでも歌舞伎初心者のおじさんでもわかりやすいように、1時間くらいの配信プログラムをつくって1000円+ぴあシステム利用料220円みたいな割と配信にしてもお安めな料金で今やっているの。9月19日までだったかな。
👩そうなんだ、そんなことを。
👨そう、で、私はさっそく観ましたよ。あの、コロナ前は木ノ下歌舞伎の公演の時に一度か二度木ノ下裕一先生のアフタートークの回があって、チケットなどもまずその日から売り切れていたんだけれど。
👩うんうん。
👨で、演目のことを、予定は1時間、でも実際はいつもその1.5倍から2倍の時間をかけて、スタッフの方がオロオロするくらいにたっぷり話してくれるのよ。それがもう、本当におもしろくて。
👩うん。
👨たとえば戯作者のこととか、そのころの時代のいろいろなもののこと、たとえば夜鷹とかどういう職業の人だったかとか、当時の川端っていうか大川の川べりってどんな雰囲気の場所だったかとかね。
👩へー!!
👨要は歌舞伎の中の今の感覚ではわからないところも丁寧に説明しながら作品を解いていってくれるのよ。
👩うん。
👨その中で、たとえば心中ものだったら、その時代に何故心中をしなければならなかったのか。その時代の身分や制度や価値観があって、今だったら「逃げちゃえ」の話がそうできなくてこうしたんですよみたいな話を本当に丁寧に説明してくれるの。
👩ふんふん
👨しかも、いうても彼は京都の大学(京都造形芸術大学)を出ているので、語り口も柔らかくすごくわかりやすいのね。
👩本当に賢い人は、わからない人にもちゃんと説明できると言うやつだ。
👨ということももちろんあるし、関西人独特のぼけと突っ込みの風情もありつつ説明をしてくれるから。
👩へぇ。
👨なんだったらおねえさんも是非に観て、つぎの乾杯の時にでも感想を聞かせてほしいんだけれど。
👩観てみたいなぁ。
👨木ノ下歌舞伎って歌舞伎舞台の完コピを一度やってそれから自分たちの舞台にするじゃない。
👩うん。
👨そのやり方を知っている俳優さんたちが場の良いところを読んだりもしてくれて、その台詞の場面についても説明してくれているから、それだけでもたっぷりと面白い。で、これって配信文化のメジャー化というか、文化庁と芸劇に加えてバックボーンを支えているのがぴあだから。
👩ああ!そうなんだ。
👨しっかりとした大手だからね。配信のクオリティも高いしめちゃくちゃ安定していてストレスがなくて。観ていて、1時間ちょっと、没頭できてあっという間だし。今回は一回目で『三人吉三』なんだけれど、あと二回別な演目についてもやりますよって。
👩『三人吉三』かぁ。いいね。
👨うん。だからね、お嬢吉三の成り立ちなんかも説明してくれるわけですよ。
👩うんうん。そういうことって、歌舞伎でもそうだけれど、知っているからより深まる。知らなくても楽しめるけれど、知っているとより楽しいという、どんどん楽さが深まるものですしね。
👨だからこそのイヤホンガイドだしね。
👩うんうん。…ふふ、あのね。わたし、イヤホンガイドにも合う合わないがあって面白いなとおもっているのだけれど。差し込むタイプのひととか、ずっと喋っている人とかいろいろいるから。場面が終わった後にその説明をするのか。その役者さんの芝居が始まる前に今からこういうシーンです、お楽しみくださいみたいなひともいれば、私はそういう先に言ってくれるタイプの人が好きなのですけれど。いまからこういう場面ですっていって、お芝居中はお芝居を観るっていうタイプの人が好きなのですけれど。でも、中にはずっと喋っている人がいるからね。うふふふ。
👨役者さんが喋り始めても、誰々って役名をいって、役者の名前を添えて屋号をいって、たとえば高麗屋とか成駒屋とか中村屋とかね、そのくらいだったいいのよ。
👩そうそう、そういうのは差し込んで欲しいんですよね。なんかいま出てきたのは誰々みたいに、成田屋みたいなのを付け足してくれるのは、とてもいいんですよ。めっちゃいいんですけれど。うふふ。
👨あの、自分の感想を訥々としゃべり出す人もいるものね。
👩いるいる。いろんな人がいるよね。あれ、おもしろいよ。好みの人だと、ああこのひとだって。何回かいっているとさ、この人また一緒だっていうふうに当たるからさ。ああ、この人ちょっと合わないんだよなぁとか思ったりもして。これは完全に好みだからね。その、どっちが良い悪いではなくて、ほんとに好みとしてっていうね。
👨あの、なんかその、イヤホンガイドのお店が4つぐらいあって、その中からご指名ができるような形で聴けるようになればいいのになぁとかね。
👩それ面白い!けど、できないよね。だって恐らくガイドさんのブースひとつしかないし、それをイヤホンに飛ばすのも混戦して大変なことになってしまうから。
👨でも、これだけマルチに通信ってできるようになったのだから。
👩うーん
👨だから借りにいったときに赤のイヤホンガイドとか黄色のイヤホンガイドとか何種類かがあって、ご案内が違って好きな人が聴けるの。
👩その分電波が飛ぶから混線しちゃうよ、きっと。
👨うふふふ。
👩何倍もかかってもしまうしね、お金が。イヤホンガイドの料金も今の何倍にもなるっていうことでしょう。
👨うん、そうだね。
👩だめだね、それは。
👨イヤホンガイドの料金が2000円とか3000円とかになってしまうからね。
👩3000円くらいになってしまうと、それで他の舞台が見れてしまう。
👨あと、人気のないご案内の方が一発でばれてしまうかも知れないしね。そうすると、きっとその人って落ち込むだろうしね。
👩厳しい世界になってしまう。うふふ。
👨なんか歌舞伎俳優の方よりもシビアな競争があったりして。
👩あはははは。
👨でも、まぁ、ある意味りっぱな芸だからねぇ。イヤホンガイドの語りというのも。歌舞伎も、きっかけがあって少し観だしたころから随分と助けられたし。
そうそう、私は今月運良く観ることが出来て、その出し物のひとつが『お江戸みやげ』だったのですよ。
👩うん。
👨で、それって久しぶりに勘九郎さんなども観ることができて、そのおばさんっぷりが上手いなぁって思ったのだけれど、なんかね、観始めてすぐに、この話は知っていると思って。後で調べてみたら、歌舞伎では観ていないのだけれど、同じ松竹系で松竹新喜劇とかそういうのもあるじゃない。
👩はいはい。
👨そういう中の名作喜劇公演でもやっていた演目なの。で、たまたま私はそれを観ているのよ。主演が勘三郎さんのお姉さん、波乃久里子さんでね。舞台美術とかも、使い回しとはいわないよ、言わないけれど凄く似てるのね。元々歌舞伎も新橋演舞場でやったりもするじゃない。だから同じように演目によっては花道も使ってという感じでね。だからそう考えたときに歌舞伎というのも特殊ななにものかではなく、やっぱり芝居なのだなと改めて思ったりもして。
👩うんうん。
👨だけど、なぜか歌舞伎以外、松竹新喜劇とか名作喜劇公演にはイヤホンガイドがないんだよね。
👩それは、まあ
👨ここから藤原直美がぼけますとか解説されても面白くもなんともないし。
👩あはははは。
👨澄ました声で、ここからが見せ所、藤原直美一世一代のぼけつっこみでございますといわれてもねぇ。
👩そっちで笑っちゃうよ。
👨万に一つでも、駄目な客にあたって受けが悪かった日にはさぁ、先生楽屋で寝込んじゃうかも知れないし。
👩心に傷ができちゃう、出てこれなくなってしまうよ。
👨まあねぇ、そう考えるとイヤホンガイドというのは歌舞伎向きなのでしょうね。
👩うん。
👨まあなんにせよ、歌舞伎が上演されているだけでも救いで。ただ、まだまだお芝居の世界は昔のようには戻っていなくて。30日まではアゴラなどでもスケジュールが埋まりきれないみたいだしね。
👩ふんふん。
👨そういえば、この間アゴラで渡辺源四郎商店うさぎ庵が、宣伝もあまりせぬままに芝居をやっていて。それも、春風舎の予定がアゴラで公演中止の劇団があってそちらに移ったという。
👩へえ、大丈夫だったんですか。
👨キャストが凄かったのよ。まあ、客席が少ないから、しっかりと宣伝でもしたら大変なことになるかもと思ったのだろうし、
👩ああ、そういうことか。
👨そもそも花組芝居の俳優さんって、ひとりでも出るっていったらお客さんがかなり大変じゃない。チケット争奪戦になるし。
👩うん、大変。あそこはご贔屓さんがいっぱいだものね。
👨でね、花組芝居の俳優さんが3名、桂圭一さんと大井靖彦さんと八代進一さん、それとあそこ、あのあそこの西川浩幸さん、紅一点でP/M飛ぶ教室の山藤貴子さん。あそこを、劇団名をど忘れしちゃった、あのこの間活動を休止しちゃった劇団があるじゃない。
👩どこ?
👨あの、あれ、渡邊安理さんとがいらっしゃる劇団。
👩えぇ、あそこ?あそこってなんだっけ。あそこなくなったの?
👨いや、また復活しかけているのだけれど、いちど休止したのよ。
👩へぇ、あそこってあそこですよね。なんだっけ、老舗の、あそこだよね。あはは、あそこになっちゃう。 あはははは。あそこですよね。
👨あははは、うん、あそこ。そう。であそこの古参俳優の西川浩幸さんも加わって。その5人でお芝居をやったのよ。でも観客が20人しかいないの。それでキャパ一杯という座席にしているから。
👩うん。
👨そりゃ安全だけれどさ、なんか凄く贅沢なお芝居だったよ。
👩へぇえ。いやぁ、特別感はあるけれどね。
👨で、あの、青年団に『忠臣蔵』っていう演目があるんですよ。OL編だと普通に会社の制服を着た女性がおもちゃの刀を携えて普通に社食でお昼を食べながら江戸からの殿ご乱心についての連絡を待つみたいなお芝居なのだけれど、その外伝みたいなやつを工藤さんが作ったことがあって、堀部安兵衛の来歴みたいな話をみんなアロハとかのすごくカジュアルな意匠におもちゃの刀を差して演じるんですよ。
👩ほうほう。
👨で、最後にそれをやったのだけれど、そんな衣装だし、けっこう薄っぺらいと言えば薄っぺらい内容なのだけれど、俳優がめちゃくちゃうまいものだから薄っぺらければ薄っぺらいほど俳優たちがものすごく目立つのよ。引き立つのよ。余韻が残るのよ。
👩なんか良いのか悪いのかっていう感じだけれど。
👨作と演出が工藤千夏さんという渡邊源四郎商店/青年団の方なんだけれど、そういうあたりを確信犯的につくっているのがものすごく上手くてね。だから、なんか、なんかすごく贅沢をさせてもらった。
👩うふふ。
👨だけど、そうは言っても公演はじわじわとばれて。別に隠していたわけでもないのだろうけれど、三日前からソールドアウトでどうにもなりませんってお触れがまわったけれどね。当日券もございませんっていう。
👩あははは。
👨で、えらいなんか怒っていた人も知ってるし。あれだけの俳優を集めてやるなら、せめてあうるすぽっとだろうって言って。
👩あはは。
👨まあ、そりゃアゴラとあうるすぽっとだったらキャパが全然違うから、どうにかなった話かもしれないけれど。
👩うんうん。
👨まコロナが終息してみんなが普通に劇場にいけるようになったら、もうなかなかできないお芝居なのだろうなあって思ったりもして。
👩そうですね。今だからできるお芝居っていうのはあるなぁ。
👨まあ、悪い言葉で言えばどさくさに紛れて?
👩あははは、ゆうたるなよー。それは。言ってやるなですよ。
👨でも、多分花組芝居のひとたちもね。あぁ、思い出した!キャラメルボックスの西川さんもね。
👩あははは、これめっちゃ失礼だよ、これはのせられないっ・・・のせようねっ!!!
👨あははは。
👩いや、今もう、キャラメルボックスを忘れたというよりも、劇団名が色々訳わからなくなっているんです。すみません。各方面にすみません。
👨あははは、ほんとうに申し訳ございません。
👩ごめんなさい。
👨いや、もうキャラメルボックスといえば、老舗、名門ですよ。
👩観たことがありますよ、もちろん。そうですよ。忘れるなんてあるわけないじゃありませんか。ど忘れにも程がありますよ。
👨いや昔の階級で言えば、貴族というか子爵とか男爵というくらいの位がある劇団だからね。もう、昔だったら打ち首獄門だよね。
👩うふふふ。ひぃー、ごめんなさい。ごめんなさいって。
👨そうそうそう。ひったてぇー!みたいなことを言われて。市中引き回しにされてしまうという。
👩あははは。
👨でもね、お芝居の話に戻るけれど、やっぱり観る側の肩の力をいい感じに抜いてくれて、でも、しっかりと演じているからそれが観客の中で崩れなくて、あれはやっぱりねぇ、鍛えられた芸というか俳優たちというのは凄いと思いましたけれどねぇ。
👩うん。そうですね。
👨八代さんとかもう、痺れるくらいに上手かったもの。
👩ちょっとそろそろね。暫くいろんな感情がね、こう舞台をやっていらっしゃる方、いろんな方がいらっしゃるとおもうけれど、自分がこうなかなか立てなくなってくると、観るのが辛くなってきたりするんですよね。
👨ああ、はいはい。
👩それがちょっとあって。まあそれだけじゃないしコロナっていう状況もあってなかなか舞台のほうに、こうね、なんていうかいろいろとやっぱり知らず知らずのうちに削られているとはおもうのだけれど、観る気力が涌かないのですよね。観たいけれど、観るってなるまでに、配信があるなら配信で観るかな?みたいな。その、もちろんわかっている。劇場に行って観るものの素晴らしさってやっぱりもうなににも替えられない、替えが効かないから。観たいんだけれど、なかなか気力が湧かなかったんですよ。でも、なんかちょっとずつ最近、ちょっとずつ観たいかなって思うようになってきたので、なんかちょっと観に行きたいですね。その、おじさんといっしょに。おじさんとおねえさんがいっしょに観てきて、なんかその感想を言うという、それをそろそろちゃんとやりたいなぁと私も思ってきて。なかなか私が行けないから、コロナの話だったり、コロナ下における新しいエンタメだったり、企みとか挑戦とかに目を向けることが多かったのですけれど。そろそろね、おねえさんも気力をうんっと出して、うふふふ。
👨やっぱりね、その作る側の人たちもね、ちゃんと死なないで、死なないでというと語弊があるけれど、しっかりと繋いでくれていたからね。ずっとその気力を。
👩いや、ほんとに、すばらしい。
👨だからそれに感謝して、もう是非にいろいろと観にいきたいと思いますけれどね。
👩はい。観に行きましょう。今日はその決起会ではないけれどね、そろそろ観に行きますよと。みんなも劇場に足を運ばないかい?という回ですね。
👨だからこその、最初にビールとハイボールでの乾杯ですものね。
👩そうそう、そうなの。みんな行こう。そろそろ、でももちろんね、無理はしないでください。みんな知らず知らずの間に心が削られていることが絶対にあるから。平常ではないから、今。無理をせず、でももしも、もしもね、ちょっと今日は元気があるなぁっていう時に、舞台に行ってみようかな、足を伸ばしてみようかなって思ったら、コロナのなかでも頑張って続けてくれた、紡いできてくれた人たちがいっぱい劇場にいるので。
👨で、その人たちが、ほんとうにやっぱりやりたがっていらっしゃるという感じがするのでね、お互いに求めている時に交わるのはとても素晴らしいことだから。
👩うんうん。
👨で、劇場は本当にきちんと安全管理がされていて、100%どうかと言われると私も全部の劇場を見たわけではないけれど、少なくともこの何ヶ月か廻った劇場で、私が怖いなと思ったことはひとつもなかったから。
👩はい。
👨ちゃんと配慮もしているし、くれるし、昔みたいなぎゅうぎゅう詰めのところっていうのはひとつもなかったから。むしろ逆に間隔を開けすぎていて、満席になってもスカスカな感じになっているところもあって、それはそれで寂しいなと思うくらいだから。アルコールの消毒もちゃんとするし。制作の方も、それぞれのやり方はあるけれど、来場者の連絡先などをしっかりと把握する仕組みをつくっているし、観客もみんなその情報を残して帰るし。
👩みんなで協力して守ってくださっているから。だから、みんな劇場に行ってみよう。
👨はい。ということで。
👩今日は少しだけ短めですが、良いのではないですか。決起会ですから。行ってきますからね、皆さん楽しみにしていてください。
👨ええ、是非。演劇も、落語も、その他いろんな表現も、コロナに打ち勝つ時を目指して観に行きたいと思いますので。
👩行ってきますので。よろしければ、次もよろしければこの乾杯を覗いてください。
👨はい。よろしくお願いします。ということで・・・演劇のおじさんと
👩おねえさんでした。
👨おやすみなさい。
👩おやすみなさい。
(ご参考)
・「松井周の標本室 <回遊型展示> 標本空間vol.1『無選別標本集』
2021年9月3日~5日@北千住BUoy
【上演】松井周「標本(複写)」
【上演】ayane anzai「私は電信柱~ニンゲンって不思議な生き物!」
【上演(中継)】私道かぴ「身体感覚の共有は可能か?」
【上演(参加型)】瀧口敦子「参加型ベンチパフォーマンス 『出会う』」
【上演 / ワークショップ】渚まな美「ただよい、うつろう」
【上演(参加型)】新部聖子「ボ盆レロ、2021年夏ver」(工事中)
【上演】渡邊まな実「DEEP POOL」
【常設展示】秋谷悠太「舟をつくる」
【常設展示】池澤一廣「欲の深そうな人」
【常設展示】笈川健太「未来と選択」
【常設展示(戯曲)】長壁純「会話の正体」
【上演 / 常設展示】小野彩加「サイクル(ワークインプログレス)」
【常設展示(参加型)】幸村明典「粘菌AIと感情を考えよう」
【常設展示】佐藤桃子「わからない人について考える」
【音響作品】藤家矢麻刀「sound,around」
【常設展示】山本真生「身体会議」
【映像作品】Remi「マスクヲハズスミライノC'est qu'ay」
【常設展示(参加型)】和田華子「『私はトランスです』=???」
【ワークショップ】酒井進吾「物質になる。」
【ワークショップ】辻村優子「パフォーマンスもまれ処」
【常設展示】小池舞「めくるめくめぐる」
【常設展示(参加型)】佐藤鈴奈「やりたいことってどんなこと」
【常設展示】西村由花「人の中身を覗きたい」
・歌舞伎ひらき街めぐり~木ノ下裕一の古典で読み解く江戸⇄東京講座~
第1回 両国と『三人吉三』~魂をしずめる場所~
配信日:2021年9月10日(金)〜9月19日(日)
URL:https://kinoshita-kabuki.org/2021/08/13/8532
配信チケット取り扱い チケットぴあ
https://w.pia.jp/t/kabukihiraki/
・九月大歌舞伎
2021年9月2日(木)~27日(月)@歌舞伎座
第一部
一、お江戸みやげ
芝翫
勘九郎
七之助
中村福之助
歌之助
玉太郎
梅花
莟玉
松江
福助
東蔵
二、須磨の写絵
梅玉
児太郎
魁春
・うさぎ庵 『山中さんと犬と中山くん』
2021年9月2日~8日@こまばアゴラ劇場
脚本・演出 : 工藤千夏
出演 : 桂憲一(花組芝居) 大井靖彦(花組芝居)
八代進一(花組芝居) 西川浩幸(キャラメルボックス)
山藤貴子(PM/飛ぶ教室)
声の出演 : 植本純米(花組芝居)