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2023年12月29日の乾杯

新しい乾杯。
新しい年を迎えてのおじさんとおねえさんのご挨拶。おじさんが年末にみたロデオ☆座☆ヘブンや猿博打の舞台、今年の抱負、さらにはねえさんが注目するIMMERSIVE FORT TOKYOのお話をしています。 

👨演劇のおじさんと
👩おねえさんです。よろしくお願いいたします。
👨実は年末の収録なのですが、アップするときには年が明けているかと想いますので、まずは、あけましておめでとうございます。
👩おめでとうございます。皆様元気で年を越されていらっしゃいますでしょうか。
👨とはいえ、私は去年も年末ぎりぎりまでお芝居を観ていましたからね。
👩あぁ、すごいですね。お芝居納めはいつですか。
👨29日ですね。29日の昼間がお芝居納めでした。ロデオ☆座☆ヘブンの『日本演劇総理大臣賞』という舞台を観てきました。これは再演でね、初演も観ておりましたけれどそこからさらに磨かれていて、非常によい歓迎納めでした。

駅前劇場


👩いいものを観ましたね、ラストに。
👨はい。いろんな作品の要素を思い出したりもするんですよ。たとえば稽古場に掲示が常駐して検閲をしていたりしていて、ちょっと三谷幸喜さんの『笑いの大学』なんかを思い出したり。
👩はいはい、私が好きな舞台です。
👨そうして、その1年後作品が日本演劇総理大臣賞の最終候補となっての審査の中で最初はひとりだけ審査員がその稽古をしていた作品を推して残りは別の作品を推すのだけれど、稽古シーンが審査の過程の中での作品の良さの説明にもなっていて、そこに戦時中の検閲の中で作品を作り出す人々の苦心や苦悩や芝居を続けるありようが交わって、まるで十二人の怒れる男の如くに最後には全員がその作品を推すようになるという仕掛けも凄く面白かったし、
👩へぇ、うんうん。面白い。
👨まあその結果は、最後に不条理にもう一度覆るのだけれど、それも時代をうまく描き出していて。
👩へぇ。
👨気が付けばその過程の先で、紡がれた時代や演劇論や芝居を作ることへの矜持のようなものをずっと見続けていましたね。2時間があっという間だった。特にそうして劇団の人々が作り上げて上演というところで作・演出の人物に赤紙が来て、その中でも稽古をしての完成度に至る姿に思わず涙が溢れたものね。言った通りその審査の過程と演劇を作っていく姿がうまく縒り合わせる面白さがあって、でも一番感動するのは、いろんな人がSNSなどでつぶやいていたけれど、その中に演劇を為す人々の情熱がとてもしっかりと感じられることだと思う。観ていて本当に見応えがありましたけれど。
👩はい。
👨あと、年末にはもう一本印象に残る公演を観ていてね。猿博打という団体なのだけれど。



👩あぁ、聞いたことがありますね。
👨そこは割合と若い団体なのだけれど、コントの短編集を上演していて。実はけっこう人気劇団だったりもするのだけれど、今回はatTHEATREというキャパ20人くらいの会場での講演で。4人の作家に依頼をして、最後に一本劇団員の村上弦さんも書いてということなおだけれど、その作品たちが外れなくことごとくおもしろいの。
👩どういうコントなんですか。タイプというか色というか。どういう雰囲気なのかなぁ。その、コントといってもいろいろあるじゃない。本当に芸人さんがやるやつもあれば、お笑いみたいに。あとシュール系のものもあるし、物語の強いものもあるし。
👨シュール系のものもあるし、学園物もあるし、
👩いろんなものがあってもその中で細かく設定をするような状況物とかもあると思うのですけれど。
👨うーん、薄暗い部屋の中でずっと閉じ込められている男女の話もあったし、学園物もあったし、刑事ものっぽいものもあったし。結局作家がばらばらな色を持った人たちだからね。でもそれを作品ごとの個性として演じ切る猿博打の演出力や演技力があって。男優ふたりと女優ひとりという彼らの構成の中でやっていくわけ。まあ、最後の村上さんの作品は3人とも女学生をやっていたけれどね。
👩へぇ。
👨クラスの男子とかをみんなカードにしてゲームを作って、さらにはチートのルールまで作ってという。そこには観る側を巻き込む力が醸成されてめっちゃ面白かったけれど。で、物語の間には続きものの映像作品なんかも差し入れられてね。その間に衣装を変えたり場転をしたりする。3人ですべてを回しているのだけれど、その構成も上手くて、80分とか85分、全く時間を感じずに、一つ終われば、映像の続きを観てまた新しい作品という感じで。ほんと面白かった。
👩ふーん。
👨そのうえで思ったのだけれど、実は彼らってそういう小さなところでやるには俳優としてひとりずつが上手すぎるのだろうと思う。もう、キレッキレだしね、一度も噛まないしね。
👩それはすごいなぁ。当たり前って思われるかもしれないけれど、噛まないってすごいんだぞ。
👨うふふふ。それは俳優の方がよく言うよね。
👩うん、もちろん噛みたくはないのですけれど。もちろんね。
👨勢いがついたときに噛んでしまう分には観る方もそんなには気にならないしね。
👩うん
👨まあ、そういうしっかりと鍛えられた精度をもって小さな空間で編まれる演劇って観る側が感じる切れや圧が半端じゃないのね。満席だったけれど、それでも20とか30とかのキャパの劇場でやるには本来もったいない舞台なんだろうとも思って。終わってみるととても満足感の高い舞台でね、前回の公演でも猿博打はそうだったけれど。猿博打の人気というのは、村上さんが今回みたいに戯曲を書けるということもあるけれど、やっぱり俳優がそろってよいからだろうなと実感した。もっと大きな箱でやっても多分彼らの演劇の密度は変わらないようにも思う。
👩なるほど。
👨まあ、そんなこんなで今年も観劇収めをしまして、これから大掃除ですけれどね。やる前からチラシの束をみるだけで途方に暮れていますけれど。
👩あははは。はい。
👨ところでおねえさんは、あたらしい年への抱負なんてあります?
👩うーん、そうですね。まあ、気になるなぁみたいなところもあるので、それを観に行きたいとか体験しに行きたいなぁとか。そういう学びの1年にしたいとは思いますね。
👨ああ、なるほどね。
👩うん、吸収と学びの1年にしたいと思っています。
👨確かに環境的にも一時は出来なかったことが出来るようになってきたしね。
👩そうですね。
👨学びの一年っていうのはいいね。私は、こまばアゴラ劇場が無くなってしまうとかいう話もあるので、劇場などがその後どうなるかわからないですけれど、観劇機会も少しは減るかもしれないなぁと思っていて。でもこれも良い機会なので、ただ観劇のスケジュールを押し込むのではなく、一本お芝居を観るごとにゆとりをもって考えられるようにスケジュールを組みたいなとはおもっていますけれどね。
👩あぁ、それは大事なことですね。
👨やたら勢いに任せて観るようになると大変なことになるって昔からわかっていたはずなのに、この11月とか12月とか大変なことになっていましたからね。
👩ふふふ。
👨ある方に教えてもらったのだけれど、予定を入れる時に一度深呼吸をして考えてからというのをやってみようかなって思って。
👩それは大事です。ほんとに大事です。
👨まあ、お芝居も一昔前に比べて高くなったしね。なんだかんだ言いながら。
👩そうですね。
👨昔は3000円平均で観ていたものが、最近は5000円平均じゃないと観ることができなくなっているって感じもするし。
👩そうしないと採算がね。儲けたいわけではなくてもそうせざるを得ないというか。
👨まあ、実際にお芝居を作っている側の方のお話を聞いてみると、確かにそうせざるをえないよなとも思うしね。たとえば小道具一つ作るにも材料費がものすごく上がっているみたいな話もあるし。
👩そうですね、
👨思うように建て込むことができなくなったという話も聞くし。
👩うふふ。
👨きっと大阪万博だけのせいではないものね、資材が上がっているのは。
👩もう、どこもかしこもですよ。
👨スタッフの人件費だってあげていかなければならないのだろうし。
👩そうそう。
👨観る側も作る側も大変な世の中になったなあと。
👩まあ、嫌だけどね。年始からこんな不景気な話。
👨そう。
👩やっぱり景気の良い話をしたいものね。年始なのだから。
👨そうだね、そうして無限に暗くなってしまってはいけないから、一度気分をリセットするのがお正月でもあるからね。
👩うふふ。そうですね。
👨一年の疲れをとって。
👩そうそう。私もちゃんと今年のことは、まあ忘れるわけではないのだけれど、いろいろと洗い流して、1月に、正月に新たにしてね。正直持ち込むこともあるのだけれど、捨て置くのではなく清めて、
👨そう、身を清めてね。
👩そのうえで新しい年に持ち込みたいなぁと。
👨清めるところは私にもたくさんあるからね。全清めでもよいくらいで。
👩あははは。
👨ところで、新しい年の一発目のおすすめなのですが。
👩あぁ、はい。
👨王子小劇場で「見本市2024」をやるんですよ。
👩あらあら、いつですか。
👨1月5日から9日まで。まだ活動最初期にあたる団体を3団体ずつA・B・Cに組み分けて公演を行うという企画なのだけれど。かつてそこから出てきた若手有望団体もけっこうあって。キルハトッテとか南極ゴジラとか紙魚とかはここで知ったりもしたので、今回はどういう団体と出会えるのかとても楽しみ。
👩へぇ。
👨あと、もうひとつは根本宗子さんっていらっしゃるじゃないですか。
👩はいはい。
👨彼女がというか月刊根本宗子が15周年ということで比較的小さなスペースでお芝居をやるという企画があって。昔、彼女って四谷三丁目の小さなスペースでBar公演と称して頻繁にお芝居をしていたことがあって、まあ、彼女が売れすぎてしまったのもあってそういうこともできなくなってしまったのだけれど、節目の年なのでまた俳優に戻ってやってみようということらしくて。
👩うん。
👨根本さんって一度過去にやったことに立ち返って、また次に進むということの繰り返しだから。まあ新国立でもお芝居を打てる方ではあるのだけれど、そんな彼女が原点に戻ることでどのようなものを見せていただけるのか凄く楽しみなので、やっぱり現場を目撃したいなぁとは思うわけですよ。
👩あぁ、そうですね。気になるな。
👨私からはそんなところですかね。
👩素敵。ところであの、わたしもすぐではないけれど気になっていることがあって。
👨はいはい。
👩あの3月オープンなのだけれど、ご存知の方はご存知かもしれないのだけれど、ほら、ビーナスフォートってあったじゃない。お買い物とかが出来た。もう閉館してしまったのだけれど.
👨うん、知ってるよ。
👩そこが、エンタメ施設になるのですよ。
👨へぇ。ビーナスフォートを丸ごと使って?
👩そう、丸ごと使って。ビーナスフォートを改修して。株式会社刀という会社があるのですけれど。あの、西武園遊園地がリニューアルしているのって知ってる?
👨えーと、ハリーポッタかなにかになっているのだっけ
👩あははは。それは違うよ。それは豊島園。
👨あぁ、そうか。
👩西武園遊園地ね。その西武遊園地を昭和な感じにね。株式会社刀って、新しい形にリニューアルさせる能力が群を抜いて凄い、面白いところなんですよ。知っている人は知っている。私もだいぶ前からここは面白いなぁ、わくわくするものを作ってくれるなぁと思っていて大好きなのですけど、ファンなのですけど。今度ね、株式会社刀によって3月にそのビーナスフォートがIMMERSIVE FORT TOKYOってなるのよ。イマーシブシアターがつめこまれた施設になるのですよ。
👨イマーシブシアターコンプレックスみたいな?
👩コンプレックスってなんですか?
👨複合体みたいな意味じゃなかったっけ。ほら、シネコンとかいうじゃないですか。それの劇場版かなって思って。
👩あぁ、なるほど。イマーシブ・フォートってぐぐってみると出てくるのですけれど。多分ね。いっぱい俳優さんが関わって、自分たちも物語の中で体験できるみたいな感じなのですよ。これはね、ぜひこれは行ってこようと思っているのですけれど。
👨それは私も行ってみたい。
👩いやぁ面白そうで。
👨確かに面白そうだよね。
👩是非におすすめ。サイトでちょっとずつ情報解禁になっているので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれないけれど、知らない方がいらしたらぜひ調べてみてください。URLを下にのせておきますので。
👨あぁ、はいはい。
👩私も演者の方でオーディションを受けようと思ったものね。10月締切りくらいにあったのだけれど。いやぁ、おもしろいよ。観たらわかるけれど、マジでわくわくするから是非に観て欲しい。
👨うん。あとそれで俳優の方たちが定期的な収入を得る道が開けるなら素敵だよね。
👩そうよ、本当にそう。まあ、是非に観てみて。シャーロックホームズのBaker街があったり、江戸の花街、遊郭があったり。あとコラボもやるみたいで、 東京リベンジャーズとか、ゲームのやつ、IdentityVの世界があったりもして。
👨あぁ、第五人格が入るのか。
👩JACK THE RIPPERとか。お伽噺の世界とかキャバレーの中とか。これはもうみんな早く行っておくべきだと思うなぁ。チケットも早めにとるべきだと私は思っております。まあ、ずっとあるからいつ行ってもよいのだけれど。
👨こういうのは早めに行ってその後の展開をみるのもきっと楽しいよね。最初はこうだったのだけれど、それがこうなったみたいな。
👩です。です!私のお勧めでございます。体験してください。
👨これは重大情報でしたね。
👩はい。私が今一番楽しみにしていることなので。ぜひに。あと株式会社刀さんのやっていることは滅茶滅茶おもしろいのでこちらにもご注目ください。
👨株式会社刀ってどこかで聞いたことがあるのなぁ。昔、社長がUSJにいて入場者を3割ぐらい引き上げたのではなかったっけ。
👩いうてね、露出も結構増えているような気もするなぁ。西武園遊園地で、私はまだいっていないけれど、イマーシブシアターみたいなものを作っていて、列車のなかで事件が起こってみたいなものに参加することもできるから。これも是非見て欲しい。土日にやっているはず。エンタメの会社の中では刀さんとオバケンさんがめちゃ好きなのだよね.
👨私もね、それを学んで少しは賢くなりたいと思いますので。
👩ぜひぜひ。今回のIMMERSIVE FORT TOKYOは自社のエンターテイメント施設としてだから。
👨企画、制作だけではなく資本を出して運営にも関わるよということでしょ。
👩そう。株式会社刀さんの施設なのよ。
👨ホームグラウンドなのね
👩そう、ホームグラウンドなのよ。もう、楽しみが尽きません。
👨じゃあ、今年はいろんな体験がたくさんできますようにということで。
👩はい。
👨それでは抱負や楽しみを語ることができたところでそろそろ終わりにしましょうか。
👩そうですね。
👨では、演劇のおじさんと
👩おねえさんでした。;
👨今年もよろしくお願いいたします。
👩お願いいたします。

(ご参考)
・ロデオ☆座☆ヘブン『日本演劇総理大臣賞』
2023年12月27日~30日@駅前劇場
脚本・演出:柳井祥緒(十七戦地)
出演:浅井伸治(劇団チョコレートケーキ)、伊藤俊輔(ONEOR8)、
小口ふみか、榊陽介、島口綾(こゆび侍)、
杉山圭一、鈴木朝代、高野絹也、
鶴町憲、百花亜希、森田陽祐(東京E-Domotions.)、
音野暁(ロデオ★座★ヘヴン)、澤口渉(ロデオ★座★ヘヴン/wag.)

・猿博打『ZOOOOOM』
2023年12月28日~30日@at THATRE
―『太陽にほえーる!』作:伊藤智博(LLR)
―『誕生前夜かも』作:藤田恭輔(かるがも団地)
―『トラわれの身』作:伊藤瑠菜(露と枕)
―『報復獏撃』作:宇城悠人(不条理コントユニットMELT)
―『誰よりもまさる』作:村上弦(猿博打)
動物観察バラエティ『ZOOOOOM』
MC:板場充樹/村上弦 観察者;荒波タテオ

(今後のおすすめ)
・『見本市2024』
2024年1月5日~9日@王子小劇場
出演団体
(A)三転倒立、ちょっとはいしゃく、ふわふラプニカ
(B)企画山、演劇ユニットタイダン、ヨルノサンポ団
(C)あくびがうつる、
渋谷/もしくは/私/たち/は/何も知らない、
山口綾子の居る砦

・月刊根本宗子『腑に落とす。』
2024年1月9日~19日@音楽実験室 新世界
脚本・演出:根本宗子
出演:根本宗子、小日向星一

・IMASIVE FORT TOKYO
https://immersivefort.com/


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