過去に経験したことのないような記録的豪雨って、わかりますか
九州、中国地方その他大雨の地域で被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。
テレビや新聞はこう言っています。
「過去に経験したことのないような記録的な豪雨になっています。今後も大雨が続くため、さらに広範囲で重大な災害が発生するおそれがあります。直ちに命を守るための行動をとって下さい。」
「これまでに経験したことのない」
「数十年に一度の」
「100年に一度の」
などという「形容詞」を使ってリスクを表現しています。「大変なことだ」といいたいのでしょうが、大きさがあいまいで、よくわかりません。
だって、経験したことがなければ、比較できないし、
数十年前のことなど忘れてしまっていることが多い。
ましてや、100年前など生まれてもない。
なぜ、至近で記憶にある例を示して、危険度と避難の必要性を表現しないのでしょうか。
被害にあわれた方には申し訳ないのですが、昨年7月、同じ九州地区で豪雨があり、死者63人、行方不明16人を出しました。球磨川が氾濫して特別養護老人ホームが水没、14人が死亡したのは記憶に新しいはず。
メディアはこういう事例をあげ、人びとの記憶を呼び戻させるべきです。そして目前のリスクに対して安全行動スイッチを入れる、こんな伝え方ができないものでしょうか。
「天災は忘れたころにやってくる」の寺田寅彦さんはこう言っています。
「こういう災害を防ぐには、人間の寿命を十倍か百倍に延ばすか、ただしは地震津浪の週期を十分の一か百分の一に縮めるかすればよい。そうすれば災害はもはや災害でなく五風十雨の亜類となってしまうであろう。しかしそれが出来ない相談であるとすれば、残る唯一の方法は人間がもう少し過去の記録を忘れないように努力するより外はないであろう」