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DXからご用聞きへ

DX(デジタルトランスフォーメーション)が話題だし、実践していこうという会社が増えている。それに対応できるように社員の「学び直し」に投資する。結構なこととは思いますが、ビジネスの基本は「ご用聞き」だというのを忘れてはいけません。

「ご用聞き」というと、「提案営業」や「ソリューション営業」などと比べて受け身で発展性がないと思われがちです。でも、三河屋サブちゃんは、お客のサザエさんの家のことをきちんと知っています。足しげく通い、気配り、目配りできちんと注文をいただける、これ、基本ですよね。

取引先のメーカーがDXを推進するという方針をだした。商品紹介が代理店のルートセールスだけだったのを変える。聞くと、HPを充実させ、YouTubeもつかって、今まで届かなかった客先へのPRをするという。いいことじゃないですか。

新商品を工業新聞で発表し、使い方や実施例をデジタル化した。予想以上に反響が大きく、問い合わせが殺到した。「すごい!これできまりだ」、「従来の代理店ルートは白紙で考える」、営業部長は目を輝かせて言ったものです。

最初の2-3ケ月はその対応におわれ、サンプル手配もままならない。販売ルートも混乱したまま、担当者は交通整理に追われた。数か月たって聞いてみると、商品の評価が芳しくなく、遅々として実績がでないらしい。

発売前に2年かけて大手ユーザーと共同で評価を重ね、改良もおこなった。競合品より価格は高いが、トータルメリットがでるように設定したのに。

なぜ?

スーパーやコンビニで売っているような日用品とはちがって、工場の製造工程のなかでつかうもの、だから使用法や条件をその工場にあわせこまなければならない。これがふつうだし、避けてとおれないことです。

DXでは個別対応ができないのです。あたりまえですが。それには、「ご用聞き」による現場状況の把握と使い方などの正確な情報伝達、それにメーカーとの情報のキャッチボールがかかせません。つまり、「ご用聞き」はビジネスの基本で不可欠なものなのです。

営業部長さん、DXで現場、現物、現実をどこまで見れているのでしょうか。