手書きのハガキの機能
田舎の実家。両親が亡くなって空き家になると、これから先この家をどうしようかと考える。放っておけば朽ちるだけだし、空き家にしておくと税金が高い。古い家なのでこの先住むこともあるまいと、とりあえず家を取り壊して更地にした。相続した家人姉妹が、共同で、別荘の感覚で使えるような小さな家を建てようということになった。
近所の住宅展示場に出かけた。
その日は水曜日で、展示しているメーカーは休みが多かった。数少ない玄関が開いていた展示家に入った。内覧はできるが、営業マンはいなかった。受付の女性に、今週土曜日に面談のアポイントを託して帰った。
折り返し、営業マンから夕方電話があったらしいが出れず、アポOKのショートメールが届いていた。
翌月曜日、郵便受けに1枚のハガキが入っていた。丁寧な営業マンらしい。
「本日は展示場へご来場下さいまして、ありがとうございます。土曜日10:00、展示場でお待ちしております」
手書きのメッセージは、メールとは違って印象に残る。営業マネージャーらしい心配りだ。
と思ったが、何か変だ。面談は土曜日、ハガキはその日が過ぎた月曜日に届いていた。消印をみると、水曜日の12時-18時になっている。木曜、金、土、日曜と中4日もかかったことになる。
日本郵便の約定によると、「お届け日」は3日後。だから、木、金、土曜日が届け日だが、土日は配達がない。月曜日の配達になるから、約定通りだ。
せっかくのハガキが役に立たないのは寂しい限りだ。そもそも、土曜日配達があったとしても、ハガキは面談に間に合ってない。これ、マネージャーは知っているのだろうか。ショートメールがあったので土曜日の面談はすることができたが。
いや、待てよ。ハガキは事務的な役割を担っていないのを承知でマネージャーは送っているに違いない。ハガキに連絡ごとを書いて送るのには相当な余裕日数をみなければならない。そんな伝達手段に期待するのじゃなく、「丁寧」「熱心」「心配り」などを伝えるためのものなのだ。
手書きのハガキ、実務は役に立たなくても、もらえば気持ちは伝わる。切手代は63円、安いものかもしれない。