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聞いたような話
会社近くの店、そこのオヤジの独白です。聞けば、覚えのある、そう最近新聞をにぎわせているあの話題に似ているじゃありませんか。
借金して、3人の子供に教育投資して立派に育て上げた。ふたりは独立して起業した。海外だから苦労したようです。苦しいときは、わたしが出資して応援しましたよ。おかげで大借金が残った。今は、子供からの仕送りが自分の収入をはるかに上回って、豪奢な生活をさせてもらっています。店の収入は返済金とのバランスと調整して、赤字にすれば税金は免除される。でもときどき払ってますよ、税金は。
家にいる娘は昔から徒党をくんで行動するのが得意だった。裏では素行が悪いこともあったようですが、警察のご厄介にはなってない。ボランティアで夏祭りや町内美化などには率先して協力し、地域の顔役さんや市議さんには評判がいい。ところが寄付金集めなどは、お年寄りや母子家庭などから半強制的にとりたてて帳尻を合わせていたこともあったらしい。そんなうわさが表に出て、市議さんもおつきあいに逡巡しているようですが。
わたしの節税対策は合法だ。高い金を払って、税理士に考えさせたやり方のどこが悪いのですか。税務署も文句は言えません。けれど世間さまからは、ハイレベルな生活と税額のギャップに違和感があると言われる。地元の新聞にもときどき叩かれる。え?仕送りは子供が税金を払った後ですからね、二度も取られちゃたまりません。そんなに言うなら、法律をかえればいいじゃないですか。それからの話だ。
娘の魂胆はこうだろう。顔役さんや市議さんの人脈を利用して、店の商売を広げようと思っている。娘には後継ぎだといってあることだし、そうに違いない。商売も何事も、世の中ヒト次第、伝手次第。恩を売ること、関係を深めること、貸しをつくること、娘はよくわかっているようです。市議さん、娘は法にふれるようなことはしてませんよ。だから、知らないなんて言わずに、堂々とおつきあいください。