香り立つメール
自分でプログラムは組めない。さりとて、ソフト屋さんにお願いすると目が飛びでるほどの見積書がくる。とっつきやすく、簡単で手軽にできて、親切な指導がついてるnocodeソフト、そんなことを展示会のブースで相談したら翌日メールが来た。「お時間ありますか?」
メールは返さず、すぐ電話をした。
「Webの説明じゃわからないから来てよ」
「はい、おうかがいします」
こちらの都合にあわせて、夕方1時間ほど教えてもらった。
nocode。出来合いのパーツを組み合わせて画面に貼りつければ、エクセルのようなスプレッドシートができる。同時にインプット画面の体裁が自動でできて、簡単な在庫管理ソフトサンプルができた。スマホからも簡単にアクセスできる。
「そんな感じでいい、かな」
「本格的なデータベースにすれば、こんなこともできますよ」
「いらない。これを使いたいのは素人だから、むずかしいのはだめ。わたしさえ理解できれば、あとの人は大丈夫だから」
2日とあけずにメールが届く。「具体的なデータをいただければつくります」「このレイアウトでどうでしょうか」「お試し期間を延長しますから」と熱心なアプローチです。
宛先CCに入っているシステム部門のH課長は、ぞっこんのようなのです。
一昨年導入した経理関係のソフトは、ソフト屋さんの対応が悪い。それは今のじゃできない、時間がかかるとかの常套文句ばかりで、ちっともすすまない。それに比べて、ということらしい。
今朝もメールが来た。「明日の説明会の内容、事前に確認してほしいのですが、お時間とれますか?おうかがいしますので」
Hさんが寄ってきて、
「このメール、いい香りがする。香り立っている」
「わかる?」
「ウチはこれで決まりだ」
「条件を出しておこうか?採用したあとも、担当は彼女じゃないとだめだって」
「当然でしょう」