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はじめての取引基本契約書

あたらしく取引きをはじめるときは、相手と取引基本契約書をかわすことになっている。営業2年目のHさん、先輩からひきついだ新規案件がやっと実をむすんだ。さあ、というとき悩んでいます。

先輩の意見をいれて、ウチのひな形(案)を相手に送ってチェックしてもらうことにした。返信がきて頭をかかえてしまった。赤い削除線やコメントがやたらと多い。どれから手をつけていいのか。

しょうがないですよね。はじめてのことですから。

ウチの契約書の意図することと、相手のコメントを比較して、ことばの意味と、その変更がおよぼす影響の範囲、これを彼に理解してもらわなければなりません。こういっちゃなんですが、ほぼ半日かかりました。

つぎは、社内法務部門の了解がいります。同席はしますが彼に説明してもらいます。もちろん、事前に法務部長には「訓練ですから、よろしく」と話はとおしてありますが。

今回のひっかかりは、ひとつ。損害賠償額の規定です。あとはそう大したことではないからと言っておいたものの、強弱がまだわからない。たくさんある修正項目を1から順に説明していきます。法務の担当者はきちんときいてくれるし、原案のもつ意味を説明してくれた。

肝心の賠償額については、相手は売る側だから上限をきめたいし、こちらは交渉の余地を残しておきたい。法務担当はゆずらない。どうしようか、黙り込んで膠着状態になった。

リスクを下げること、これは共通の認識。その場合は適用範囲を狭めればよい。「基本契約」じゃなく、「個別」にちかく商品を限定してしまおう。ちょっと彼にはむずかしかったので、おせっかいをだしました。法務もこれでなんとか妥協してくれました。

彼には「よくがんばったね」「多少のことは相手に妥協しても、取引を開始するのが第一だよ」と言っておきました。

そうそう、彼には言わなかったことがあります。

「法務などのコーポレート部門はアドバイスはするが責任はとれない。だから、最終責任は事業部門でとるからと言えば、多少のことならこれで押しとおせる」

彼には、まだ少しはやいですね。