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法律知識が全くなかった人

東京オリパラが終わって1年半がすぎた。電通を核とする受注調整で電通、博報堂など6社が独禁法違反で起訴された。そのなかにADK(旧アサツーディ・ケイ)はない。

2006年改正独禁法で導入された課徴金減免制度(リーニエンシー)、公正取引委員会の調査が始まる前に最初に不正を自主申告した企業は、課徴金が100%免除され、刑事告発も見送られる。ADKはこの制度を利用して早々に「ゲロ」して起訴を免れた。

そのADKの元社長(植野伸一被告69歳)が大会組織委員会元理事(高橋治之被告79歳)に賄賂を渡したとして贈賄罪に問われた公判で、元社長がこう言った。

「法律の知識が全くなかった」

ADKホールディング、1956年設立、売上3100億円(2017年)、従業員2500人(2021年)、虎ノ門ヒルズに店を構える大会社の元社長ですよ。

「知らない」で社長が勤まるはずがない。「知らな」くても法律のスタッフがいるはず。現に、法律違反を意識すればこそ、トップバッターで不正を当局にゲロし、独禁法の「課徴金減免制度」で起訴を免れているではないか。

100歩譲って、「賄賂が法にふれるとは思わなかった」、いや、そうじゃない、「金を渡してお願い事をするのは賄賂じゃない」というのだろうか。この業界は「金を渡してお願い事をする≠賄賂」が常態化しているということになる。そうでしょうか。