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樋口一葉「たけくらべ」のマス目のない自筆原稿③
作家の自筆原稿をながめるのに興味があります。先だって新聞で一葉の「たけくらべ」のきれいで流れるような毛筆原稿を見て、あらためて「司馬遼太郎」(司馬遼太郎記念館)を本棚から取り出しました。
しばらく前になりますが、大阪、近鉄奈良線「八戸ノ里駅」から10分程度、住宅地の中にある「記念館」に行ったことがあります。広い敷地の中にある建物は安藤忠雄さんの設計、吹き抜けの大書架や展示室などがあります。直筆原稿をそこで見て感銘し、記念に前述の本を買ってきました。
作家が原稿書きに詰って、ビリビリと破り捨て書き直すというのをテレビで見かけます。司馬さんもそういうことがあったのかもしれませんが、色鉛筆(ダーマトグラフ)をつかって、書いた文書を消し何度も推敲を重ねたことがみてとれます。1ページの半分ほども緑色に塗りつぶされているのもあります。
文の途中に挿入する場合、赤線でその部分を囲んで、入れ子入れ子になっています。書き直しはせず、訂正して思考と記述を先にすすめたのでしょう。失礼ながら、こんなに修正の多い文章がよく読めて、頭に入るものだと感心しました。編集者も大変だったでしょうね。
note原稿を書いてますが、プリントアウトして推敲するのはまれなことです。エディタをつかってるので簡単に修正や挿入ができて便利だからです。でも上書きですので推敲の過程が消えてしまうのが残念ですね。(pdf化した原稿を、ipadペンで手書き推敲することを試行しています)
推敲の課程が残っている原稿は、作家の「ことば」に対する執念とこだわりを感じるので勉強になります。