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大宅壮一さんには音声入力は要らなかった

思いついたアイディアや構想などは、忘れないうちにメモしなければ消えてしまいます。

それに比べて、頭の中の原稿用紙に文章を書き、その一字一句まで覚えている。大宅壮一さんはこれができたとずいぶん前になにかで読んだことがあります。

大宅壮一全集をめくりながら、そんなことを思い出して調べてみると、ありました。

『中学には毎日1里の道を歩いて通ったのだが、この往復の時間が馬鹿にならない。ぼんやり歩いていてはつまらないと気がついて、そのあいだに何かものを考えるという習慣を作った。そしていつのまにか、頭の中に原稿用紙がちゃんと浮んできて、歩きながらそのマス目に文字を書きこむことができるようになった。将棋をさしながら道中をしたというのと同じだ。
だから学校から帰って机に向うと、あとはただ頭の中の原稿用紙に書いた文章を清書すればいいだけで、時間的には大いに助かった。だから原稿を書き直したりすることは全くなかった。』
(文春アーカイブス: https://bunshun.jp/articles/-/7063)

すごいことが出来るものですね。

教科書や本など、パラパラとめくれば、「見る」だけで写真をとったように画像で記憶できたという知人がいます。同じような才能なんでしょうね。

散歩の途中で、思いついたこと、考えたことを音声入力でメモをとってます。話すことばがそのまま文章になるので、つぎはぎや言い換え、差し替えをすればある程度かたちになります。でも、それだけでは到底note原稿にはなりません。

では、大矢壮一さんが音声入力をつかったらどうなるでしょうか。
「頭の中の原稿を読み返すだけだから、口述筆記と同じじゃないか」

文字起こしには役立つでしょうが、残念ながらそれだけのように思えます。