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さきほど終わった採用面接

可愛げがないなあ。こんな理屈っぽい人がとなりに座るのはごめんだなあ。これが理由なんだけれど、遠回しに本人が察してくれるような断り方ってむずかしい。さきほど終わった採用面接のことです。

34歳、短いときで6ケ月、2年、2年半といくつか会社をかわり、今のは5年とすこし。履歴書にはそれぞれに辞めた理由を書いてくれてはいる。ちょっと多すぎない?という意見もあったが、せっかくだから会ってみようよということになった。

開発、営業、購買と会社ごとに部門もちがった。化学のバックグランドがある、広く経験したからなんでもできる、それに頭の回転がはやいといわれる、というのが本人の売りだ。一人前にできていれば、貴重な存在、ウチの営業を助けてくれる、将来も担ってくれるかもという期待もあった。

姿勢よく、とうとうと持論をのべ、筋はとおっている。相手をきちんと見ながら話すし、はっきりとしてわかりやすい声だ。

でもね、身振り手振りがあるでなく、表情をかえず、にこりともしない。そう、可愛げがないのです。他の面接者がいろいろ質問していたが、わたしは途中で聞く気がもてなくなった。

どうやって、こちらの思いを知ってもらおうか。最後にこういいました。

「サザエさんにでてくる三河屋サブちゃんって知ってますか?」
「はい」
「あの営業スタイル、御用聞き、どう思いますか?」
「いいと思います。訪問頻度をあげることで、キーマンのサザエさんのデマンドを知り、在庫もつねにチェックする。ときにはマスオさんにも話をきいてウラ情報をかためる。タイミングよく品物をいれることで商売の持続性と付加価値を高め...(すみません、あとは聞いてませんでした)」

「サブちゃんって愛想がよくて、かわいがられるよね。これって営業の基本じゃない?」

すかさず、人事部長が
「長時間ありがとうございました。結果はエージェントをとおしてご連絡します」