超小型EV車、めざすは軽自動車のマーケット。軽にレクサスを重ねてはいけません
今乗っているクルマは日本製ハイブリッド車です。3年前に購入しましたがその時はまださほどEV車は実用的ではなく、選択肢には入らなかった。航続距離は短いし、充電に時間がかかる、おまけに高い。それが急速にかわりつつあります。
上海で開かれたモーターショー。いまや中国は最大の自動車マーケット、しかもEV志向が明確です。
日本の軽自動車、小さくて手軽で下駄のように使える、しかも安くて、車庫証明もいらないというのが売りだった。それがいつの間にか大きくて居住性がよく、ゴージャスになり、ターボエンジンを積んだ走りは目を見張ります。結果、価格も高くなった。
2020年発表の中国国産小型EV車、 宏光MINI EV(五菱汽車)には「軽自動車」の本来のコンセプトが織り込まれています。小型4人乗り、航続距離120km、そこそこの走り、ベースモデルは約45万円、家庭のコンセントから充電できます。
写真で見るかぎりでは、つくりもシンプルでチープっぽく、オモチャのような感じです。でも「下駄」と割り切って考えればこれで十分でしょう。人気が高いというのもわかります。日本の軽自動車はとってかわられるかもしれません。
小型で安価というコンセプトでマーケットに参入してシェアをとる。これは昔の日本のお家芸でした。世界のマーケットを変えてきたのはホンダやソニーだけではありません。今、日本の企業はこのマーケットでは「受けて立つ」側になってしまい、自らを否定して市場を変える勇気はありません。
「いつかはクラウン」というコマーシャルがありました。何年か毎にグレードアップして買い替える。だからどのクルマも同じようなつくりと志向になってしまいました。
時代は変わりました。軽自動車にレクサスを重ねて見ることはありません。
「軽」という字をよく見直して、再度コンセプトを練り直してほしいものです。