16億円と16兆円
単純なミスといえばそれだけなんでしょうが、全国紙の一面に載った見出しだとびっくりしますよね。揚げ足をとるつもりではありません。このミス、どれだけの人が気づいたでしょうか。
「台湾全土が沸騰
半導体投資16億円」
一面左上の要約記事。誤字、脱字ではありません。台湾全土が16億円の投資で沸騰するのは、どう考えても、おかしい。
そう、16兆円の間違いです。本文(12ページ)には、「総額16兆円、20工場建設」という見出しになっています。
「へんだ」と気づくのは、ふたとおりあると思います。
ひとつは、文脈からみてのこと。この場合も、流し読みせずきちんと見れば気づくはずです。16億円ぽっちで沸騰はしない。
もうひとつは、投資額のオーダーをあらかじめ知っている場合です。世界最大手の半導体メーカーTSMCは台湾のメーカー。米国と日本にも1兆円規模の新しい投資をする。いくら何でも、16億円は少額すぎる。
かかさず、新聞は読んでます。全部の記事を一字一句を丹念にたどることはしませんが、それでも、ごくたまに
「おかしいんじゃないの」
と思う記事や文に出くわすことがあります。
何人もの目、しかもプロの目をとおってきているはずなのに、それを見つけるとわくわくします。まちがい探しを目的に読んでるわけじゃありませんが。
ひとつのテーマを、追って読む。そしてそれが全体の流れに沿っているのかはずれているのか。「なぜ」「本当?」と疑いをもちながら読むことが「フェイクニュース時代」には大事な訓練ですね。