探しものは、記憶の起点から戻るほうが見つかりやすい
忘れ物をしたときは、現在から記憶の糸をたどりながら手がかりをつかもうとする。だが、うまくいくのは珍しく、探し物は出てこないことが多い。先日も、つづけさまにふたつのことを忘れて、頭が真っ白になった。
長崎へ旅行をした。目的は、JR九州「ふたつ星」に乗ることだった。前日、家人から「ワクチン接種証明を忘れずに」と言われ、ファイルをさがして手持ちした。ところが、ホテルでそれを見せる段になって「ない!」。長崎に着いてからは触ってないし、羽田でも必要なかった。「全国旅行支援」のポイントサービスが飛んでいく。
「ふたつ星」の切符は長崎駅で受け取った。事前予約済みで支払いもすんでいる。往復2枚の切符を手に入れた。行きは長崎から武雄温泉までは問題なかった。翌日帰り、武雄から諫早まで乗ろうとして切符がなかった。満席で買い直せないから、新幹線で追っかけるか?
記憶の糸を順にたどっても、両方とも心あたりがまったくなかった。
記憶の起点から攻めることにした。
接種証明は前日に4つに折りたたんで、ジッパーのある「モノ」に入れた。
2枚の切符は、長崎駅でSuicaパスケースの2つ残っていた「さしこみ」に別々に入れた。間違えて2枚出して落とさないようにと。
両方とも仕舞い方は完璧だ。なのにどこにいったのか。
ファイルや封筒、布袋は横に置いて、ジッパーのある「モノ」にしぼってリュックの中をひっくり返した。100均のジッパーケースが大中小とひとつずつ、リュックについているジッパーポケットが3つ、それに、ショルダーバッグにもひとつ。順に開けていくと、「あった!」
切符はパスケースにしぼればいい。もう一度みると、ケースには切符が1枚ささっていた。「長崎ー武雄温泉」? 使ったやつじゃないか。未使用品を間違えて出札口に置いてきたのか?そういえば「かご」があって、使用済みの切符をいれろと書いてあった。あわてて駅員さんを呼んで、昨日の切符を調べてくれとお願いした。最近は紙のチケットが少ないらしく、片手にトランプほどの枚数が昨日の分だと持ってきてくれ、1枚ずつ繰ると、「あった!」
ホテルにも、駅員さんにもご迷惑をおかけしたが、ヒントが見つかった。記憶の糸をさかのぼるのじゃなく、起点から戻ってくればよい。同じようにみえても、たどり方がちがう。起点からのほうが見当がつけやすい。試しにやってみてはいかがでしょうか。