春が待ち遠しい、日の出は日に日に加速して早くなっている?
電車に座れるので、会社に行くときは5時半ころに家を出ます。最近ようやく日の出が早くなってきました。それが「日に日に」加速しているように感じませんか。でも実際はそんなことはないようです。
中学か高校で習ったようには記憶してますが、日の出時刻はサイン(sin)カーブのような軌跡をとります。冬至や夏至の近辺ではほとんど変わらず、春分、秋分あたりでは急激に変化するというイメージです。
調べてみると(文末の付表①をご覧ください)、冬至、夏至付近はそのとおりなんですが、春分(秋分)をはさんだその間では、日ごとの変化量が1分以内なんです。つまり、今の時期は毎日約1分ずつ、同じ時間間隔で日の出が早くなっているということです。これだと、「日に日に」加速しているということにはなりませんね。
詳細には変化量が秒単位で違うとは思いますが、生身の人間にわかるとは思えません。長い冬が終わり、もうすぐ春が来るという期待感が「日に日に加速する」という気持ちを抱かせるのかもしれませんね。
「釣瓶(つるべ)落とし」は秋の季語です。 秋の日(陽)が急速に暮れていくさまを、井戸の底へ落ちていく釣瓶に見立てたわけです。付表②を見ていただくとわかりますが、日の入り時刻の前日との差が1~2分、8月お盆すぎから10月末までつづきます。まさに秋の期間です。
暑い夏がようやくすぎて、やっと過ごしやすい時期がきたと思ったら、たちまち日が短くなっていく。名残惜しい気持ちを釣瓶落としの加速度感に見立てたのでしょうか。
表をよく見ると、その頃は「日の出」が遅くなる変化量よりも「日の入り」が早くなる変化量のほうが大きい。昔の人がこれを実感していたとすると、なんと素晴らしいことかと思いました。
<付表:東京のこよみ(国立天文台)2021年>
https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/dni/dni13.html
①日の出時刻の前日差
12月末~1月半ば ≒0分 日の出は6:51
~2月末 <-1分
~4月初 ≒-1分
~5月末 <-1分
~6月20日 ≒0分 日の出は4:25
~7月20日 <+1分
~10月中 ≒+1分
~12月末 <+1分
②日の入り時刻の前日差
12月中~2月中 <+1分
~5月中 ≒+1分
~6月中 <+1分
~7月初 ≒0分 日の入りは19:01
~8月初 <-1分
~10月末 -1~-2分
~11月末 <-1分
~12月中 ≒0分 日の入りは16:28