日本は東京オリンピック中止の権限がない
海外からも東京オリンピックは中止すべきだとの論評が散見されるようになりました。5月いっぱいの緊急事態宣言延長を受け、無観客などの開催方法、はたまた中止という選択をせまられる難しい時期になった。でも日本側は残念ながら、中止する権限はありません。
ワシントン・ポストは、コロナ禍でも「金(カネ)」のためにオリンピック開催を強要しているとIOCバッハ会長を非難。かかる費用は「損切り」して中止をすべきと日本政府に促した。また、ニューヨーク・タイムズは最悪のタイミングでの開催に「感染イベント」の可能性を指摘した。(日経新聞)
東京オリンピック開催における「開催都市契約」(2013.9.7)というのがあります。
契約書ですから、当事者と基本事項、解除の項について概略引用すると。
当事者: 国際オリンピック委員会(IOC) ジャック・ロゲ
東京都(開催都市) 猪瀬直樹
日本オリンピック委員会(NOC) 竹田恆和
基本原則:IOCは、開催都市およびNOCに、本大会の計画、組織、資金調達および運営を委任し、開催都市およびNOCはそれを実行する
解除:IOCは以下のいずれかに該当する場合、本契約を解除して、開催都市における本大会を中止する権利を有する
1)戦争状態など安全が確保されないとき
2)政府の開催保証が実行されないとき
3)本大会が2020年中に開催されないとき
以下略
そうなんです。
東京開催を決定したのはIOC、それを受託・実行するのは東京とNOC、日本政府は全面協力する。したがって、中止を決定できるのはIOCであり、日本側ではない、ということなのです。
いくら、二階さんがアドバルーンをあげて道筋をつけようが、また野党が何を言おうが、新聞が世論を引っ張ろうが、IOCがOKしなければ中止できないのです。
中止を選択したときのIOCのリスクは「金儲けの機会損失」といわれます。でも保険をかけているようですし、「たかが」金儲けの話じゃないでしょうか。
この緊急事態宣言下、契約当事者である東京都とNOCは、現場をみて、現物をみて、現実をみて、きちんと判断して決定権者に具申すべきでしょう。
フクシマ原発事故は「もうこりごり」です。
コロナはそうならないためにも。
ご参考:
第32回オリンピック競技大会(2020/東京)「開催都市契約」
https://www.2020games.metro.tokyo.lg.jp/hostcitycontract-JP.pdf