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迷惑をかけたのはだれなのか

ビッグモーター社の自動車保険不正請求の報道を見て、違和感を覚えた人も多いだろう。「社員に不合理なノルマを課し、プレッシャーをかけたのは元本部長で、それが不正の原因だ。それを認識しなかったのは私の職務怠慢だ。だから辞任する」と兼重宏行社長は言う。迷惑をかけた相手に対して、会社としての謝罪がないのだ。

迷惑をかけた相手とはだれなのか。

自動車保険を不正請求した損保会社か?
彼らはビッグモーター社に出向社員を派遣している。なかでも損保ジャパンは2011年から今年3月まで37人も出向させていた。なぜか?事故った保険契約者にビッグモーター社での修理を紹介し、逆に、ビッグモーター社は損保ジャパンに顧客をとりつぐ保険代理店だった。また、出向者を通じて不正を知った損保ジャパンも握りつぶしていた。おたがいさま、ウィンウィンなのだ。

事故った保険契約者か?
クルマの損傷が軽度の場合は、靴下につめたゴルフボールで叩いて損傷度を上げる。壊れていない部品をわざと取り替えて写真をとって修理対象にする。売上(修理費用)ノルマ達成のために、信じられないことが現場で起こっていたらしい。修理費用は保険会社持ちでも、契約の割引等級が下がって保険料が高くなる。

ビッグモーター社員か?
いちばんの被害者だろう。ノルマ達成のために不正なことにまで手を出す、そこまで追いつめられる。さらに、社長からこう言われた。
「ゴルフボールで自己の範囲を広げて傷をつくったのは器物損壊にあたる。ゴルフボールを靴下にいれて振り回して水増し請求するのは、ゴルフを愛する人に対する冒とくだ。刑事罰で罪を償ってもらう」

ゴルフを愛する人に対する冒とくだと?兼重宏行社長に対する違和感は、怒りを通り越して「あきれ」にかわった。