「働かないおじさんがいいたいこと」ーその6:レームダック
「まだ時間はある、俺はレームダックじゃないぞ」というおじさんが集まっての新規開発会議。そこに「参考人」として呼ばれたIさんは、「間に合わない」のひと言でした。
ウチの新規開発部、部長が66歳、リーダーが58歳、メンバーは61と63のシニア組。平均すれば62歳のベテランがそろっている。モノの開発よりも市場開拓とニーズのフィードバックがミッション。だから、人脈と経験がモノをいう。
現場から離されて集められたという面も否めない。でも、そこはそれ、定年までにはまだ時間があるから、ここで「もうひと旗」との気概をもっている。
大手メーカーが次世代をになうとして開発した話題の商品、大きなマーケットは彼らがやるから、ウチはニッチなところをねらうというコンセプトで今回市場調査を始めた。そこで呼ばれたのがIさん。彼の得意先のニーズをさぐりたい、客に当たってくれということだった。
でもねえ、とIさんがぼやく。
興味はあっても、スペックやら法規制やらをクリアするまで半年はかかるし、モノをさわってくれるまでさらに半年。評価がすぐ出ればいいけど、ふつう1年以上はかかる。そうなると、ウチの開発メンバーはその時には卒業か、レームダック状態の秒読みじゃない。これじゃあ迫力ないし、間に合わないかもしれない。相手の開発担当は若いから、どう思うのかなあ」
「働くおじさんたち」は、やる気はあります。経験も人脈もあります。飛び込み営業もいといません。時間がないというなら、70まで延長すればいい。元の現場にいたらレームダックかもしれないけど、ここはそうじゃないぞ、と彼らは思っています。
頼もしい限りではありますが、うまくいって先が見えかけたら後継ぎを呼び込むか、現場に渡しましょう。会社は継続しますから。