見出し画像

夏休み、親の自由研究

自由研究、小学生の時はこれが難儀な宿題だった。「自由」だからといって、テーマが湧いてくるわけじゃなし、ちょっとしたことを不思議だと気づいたとしても、それを「研究」にまで発展させるほど小学生は手慣れていない。そこは、親の援助がいるのだ。

覚えているのは、蚕の観察とか、セミの羽化など昆虫の変態の観察だった。そう、あの頃は近所に養蚕している家があった。夏休み明けの「自由研究」展示会は、みんな同じようなものだった。

そんななか、すごいなあと感心したのがひとつあった。近所の友だちの作品で、「お風呂のお湯の温度分布」を調べたものだった。当時のことだから薪で沸かしたのか、ガスのバランス式風呂なのかは覚えてないけれど、風呂桶に水をはって、底、真ん中、上部、端などたくさんの温度計をつかって、時間ごとに温度を測定して、色分けして分布図を描いたものだった。

たぶん、風呂水の上が熱く、下がぬるいという「気づき」をテーマにしたのだろう。でもねえ、小学生がひとりでその方法論を思いつくはずがない。しかも、温度計が10本以上も必要だ。

そう、友だちのお母さんは小学校の先生だった。

わたしの子どものときはどうだったか。たくさん、お手伝いした。だって、娘は自分じゃやらないし、夏休みは終わりそうだし、なんとかしてよと家人にはせっつかれるし。

①ミジンコの発見と観察(庭に放ってあったバケツの中の水に、何かいる!と娘が気づいた。じゃあどこから来たのか、落ち葉、草、土をバケツに入れ、水を足して放置。ミジンコがいるのか、観察とスケッチ)

②地域名産品調べ(お盆に車で関西に帰省するとき、東名、中央道の全サービスエリアで地元おみやげを買って、道路地図帳に包装紙を貼りつけた。お菓子のおまけつきで本人のやる気がでた)

③塩の味見(スーパー、百貨店で手に入る塩を手に入れ、産地地図と塩分構成、それに、舐めてみた塩っ辛さ、うま味のコメントをつける。ただそれだけ、お金で自由研究を買ったようなもの)

④空き缶のリサイクル(缶ビールの空き缶はアルミ製、これをガスバーナーで溶かして、バッジをつくる。発泡スチロールで型をつくって、砂に埋め、これに溶けたアルミを流し込む。アルミ鋳物だ。小学生がひとりで出来るわけがない)

娘がふたり、まあ、いろいろとやったなかのほんの一例。夏休み明けに展示会を見に行くと、当たり前かもしれないけれど、オリジナリティは抜群だった。本人のやる気と、時間との闘いを優先した結果だ。

いいのか悪いのか。
多かれ少なかれ、自由研究は親の手助けはあると思うが、これはかなり深入りしたかもしれない。親の方が熱中したほどだから。