ゲイルさんは、(ママに褒められて)照れながらママの肩に手を回した。
「それにこれを見てよ」
ママは、彼の筋骨隆々の腕を指した。
「アシェルも、背は高くなったけど、もうちょっと男らしい感じにならないとね。太ったお婆ちゃんと一緒に暮らすのもいいけど、父親代わりの人の背中を見て大人の男にならなきゃね」
僕は、お婆ちゃんを悪く言われたような気がして心が痛んだ。ちらと彼を見ると、人懐こそうな目は、ビールが旨くてたまらないといった様子で緩んでいた。大きな口と、胸元が大きく開いたピンクのシャツは、自分の人生になに一つ間違いがなかったと言わんばかりの自信をのぞかせていた。
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