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水深800メートルのシューベルト|第461話

 お婆ちゃんに買ってもらったばかりのスマホを開くと、メリンダからのメッセージが入っていた。


「ベイストリートエメリービルに着いたよ」
 それは、あらかじめ待ち合わせを約束したショッピングビルだった。


 慣れないスマホの地図を片手に、ショッピングビルを探しているうちに、待ち合わせ時間は過ぎてしまった。彼女は、柔らかいブロックが敷き詰められた遊歩道の角にある観葉植物の陰で、所在なさげにして立っていた。僕に気がつくと、笑顔になって嬉しそうに手を振ってきた。


 僕が遅れたことを謝ると、彼女は首を振った。
「いいの。来てくれないかもと思っていたから」
「どうしてそう思ったの?」

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