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水深800メートルのシューベルト|第650話

「ゲイルの真似でもするつもり? 言っておくけど、私はあの人が海軍に入隊するのは今でも反対よ。でも、いいわ。あなたの人生なんだから、自由にしなさい。ママには関係ないわ」(と、ママは言った。)


 その言葉は、刃になって僕の胸をグサリと刺してきた。決して酷い言葉じゃないのに『自由』が却って僕の重い足かせになって身動き取れないような気になった。
「ぼ、僕、いつか大学へ行きたいんだ。だから、まずは軍に入ってお金を貯めて、それに奨学金も貰えるし……」


「あら、そう。頑張って。そうね、ママや彼にはあなたを学校に行かせる余裕はないから」
 ママは陶器のような横顔を見せて、赤ちゃんをじっと見つめて微笑んでいた。

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