「な、何だよ。俺に言いたい事でもあるのか? 言っとくけど、俺はお前に何もしてねえからな。お前が俺様に絡んできたんだろうが」
その威圧的な声の中に怯懦の震えが混じっているのを聞き逃さなかった。少し愉悦を感じた。強がってはいるが、僕が寝かされているベッドと、ロバートの間に見えない結界のようなものがあって、その内側へ決して踏み込もうとはしないようだった。さっきは僕を締め殺しかねなかったくせに。
汗ばんで広く突き出た彼の額。その下に吊り上がった緑の瞳。あの緑。僕は努めて優しく彼に語りかけた。
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