水深800メートルのシューベルト|第648話
「君らのチームは、他校の生徒や売春婦を銃で脅して金を巻き上げてたっていうじゃないか。アシェルもそこに関わっていたんだろう」
そこで、彼は一呼吸おいて僕を見た。僕は彼の顔を見つめ返す勇気がなかった。
「それで二人亡くなっているんですよ。この子が裁判にかけられたのは手紙でお知らせした通りです」
ママは、微かに震えるような声で言った。
「え、ええ何かの間違いでしょう? 実際、無罪になったんでしょう?」
「死体遺棄に関しては、証拠不十分でね。でも、運が良かったといっていい。この幸運が次も続くとは限らないですよ。強盗、窃盗と、この子は叩けば埃が出る身だからね。それでも、この子のものになった預金に手をつけますか? あなたに責任が生じれば、あなたのパートナーとの関係にもひびが入ると思うのですが」
ラスウェルさんは、抑揚のない声に戻っていた。自分の中で生じた小さな怒りをすぐに抑えたんだと思った。ママは、忌々しそうに僕を見た。