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水深800メートルのシューベルト|第977話

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 ドドド、と水を掻き分けながら潜航すると、通路はたちまち心臓破りの坂に変わる。艦の前部にあるバラストに海水を注水し、大きく傾くからだ。


 もう少し早く持ち場に戻れば良かったと、後悔しながら足を踏ん張っているところに、向こうからジグザグに下り坂を跳ねるようにドビー兵曹長が駆けてきた、脇へ避けなければ、と思う間もなく、彼は誤ってこちらの逃げた方に跳ね、ハッチに段差に躓きながら僕に衝突した。


「馬鹿、ぶつかりそうなら、さっさと脇にある部屋に引っ込めよ」
 彼はそう怒鳴ったが、脇にあるのが主不在とはいえ、艦長室ではそれも躊躇われる。


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