水深800メートルのシューベルト|第676話
午前の訓練で、腕が使い物にならないくらい疲れたと思っていたが、ちょっと曲げるくらいなら簡単になっていることに気づいた。教官は、幸いにも、僕意外の列にいる連中を見ているので、彼が振り返りそうな時だけ、深く腕を曲げていればよかった。しかし、それでも最初の十回を超えると、腕が重くて動かなくなり、僕はさっきまでいた艦をちらりと見て気を紛らわせていた。すると、ボラードと模擬艦の間には本当に水が張られていて、そこからの水蒸気と汗がまじり合って、緑や黒の迷彩柄の服に張りつくような感じがして、鬱陶しくなった。
ランニングの息苦しさは、声を出すことで案外整ってきたが、重い腕は早く解放されたくてうずいているようだった。