ママは(僕が車の機械に息を吹いて、パパの車が動くようにしていたことを知ると)肩をすくめて、目をギュッと閉じ、嘆くような声を出した。僕はパパの言うことを訊いただけなのに、行けない事をしたのだろうかと不安になった。
「お酒を飲んだ人は運転してはいけないって知っているわよね。あなたがパパの車を動くようにしたせいで、パパは酔っぱらったままで運転しちゃったの。パパが帰ってきた時もふらふらしていたとか様子が変だったんじゃないの?」
僕は正直に、朝の様子を話した。すると、
「やっぱり、飲んできたのね。きっと、酒場の女か誰かに車を作動させたのよ」
と、ひとりで呟いていた。
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