水深800メートルのシューベルト|第372話
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十二月になり、秋学期が終わって冬休みになった。
僕は、前からパートタイムで働こうと思っていたのだが、メイソンたちから「お前なんて、農作業の手伝いもできねえよ。俺たちについてくれば、小遣いを稼げるからやめておけ」と言われていたので、働くことができずにいた。しかし、メイソンが仕事を紹介してくれることはなく、毎日、オークランドやサンフランシスコに行っては、街をさまよったり、郊外の公園や海辺で彼らがマリファナを吸うのを見守ったりしていた。僕は、時間が経つのを車の外で待ち、警官やパトカーが見えたら、窓を叩いて知らせる役割だった。そうやって知らせたら、彼らは火を消してから僕を乗せて静かに車を発進させるのだ。