「でも、預金から家賃を払い続けられるとは限らないよ。それをママに貸したら……」(と僕は言った。)
「嫌なの? ママの提案を断るの?」
彼女はそう言うと、睨むようにしてきた。僕は何も言えず下を向いた。すると、ラスウェルさんが口を開いた。
「気が進まないんだな? 無理することはない」
「この件は、あなたには関係ないでしょう?」
ママは苛立ったように言った。
「勿論ですよ」ラスウェルさんは涼しい顔で言った。
「アシェル君からお金を預かって、そこから生活費を渡す。双方が合意しているのならば、何の問題もありません」
朗らかな彼の言い方に、ママは不審の目を向けた。
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