しかし、ゲイルさんは考え直したようで、きっぱりと口にした。
「いや、やはり来た方がいい。外出許可は出ているはずだ。これがママとの最後の体面だろう。今はショックで判断力が鈍っていてわからないだろうが。きっと後悔するからお別れを言っておくんだ」
その言葉に余計に戸惑った。彼は罪悪感を僕で埋め合わせをしようという風に思えた。それを解消する手伝いをするのは正しいのかどうかわからなかったが、僕自身、まだ説明されていることに頭が追いついていない。まるで、見知らぬトラブルに巻き込まれているような感覚があった。
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