水深800メートルのシューベルト|第380話 4 吉村うにうに 2022年11月30日 19:38 竜の口元から長く伸びた二本のヒゲのうち、男とは反対側にある方に、黒くて短いスカートの女性が立っていた。黒髪で黒目がちの女性で背が高かった。彼女は、ハンドバッグを持っていない方の手で、短くなったタバコを摘まんでいた。その瞳は一瞬僕を捉えたが、相手が自分の探している人間でないとわかったのか、そっぽを向いて、冷たい陶器のような横顔を向けてきた。 女の人にあからさまに無視されて気恥ずかしくなったので、数十メートル後方に残した車に戻ることにした。 第379話へ戻る 第381話へつづく ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #小説 #連載小説 #長編小説 #連載長編小説 #潜水艦 4