しかし、教官はそれを見逃してはくれなかった。
「おい、お前ら、早く立て。やる気はどうした? 目が死んでいるぞ」
列から僕に目を移すと、恐ろしい表情で睨みつけながら、乱暴に僕の脇に手を入れて強引に引っ張り上げてきた。勢いに任せて立ち上がったが、まだ足がフラフラしていた。
「お前がきっかけで、腕立て伏せになったのだから、真っ先に立ち上がらなきゃ始まらんだろう」
「はい、アシェル・スコットは列に戻ります!」
二三歩戻って、すぐにロープを忘れていたことを思い出し、戻ってそれを拾うと、意識してキビキビと手足を動かした。
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