水深800メートルのシューベルト|第100話
「それで、ジョーンズは回復したのですよね?」
ママは心配そうに訊ねた。ドューク先生は言いにくそうな顔をした。
「ええ。食道からの大出血でして、内視鏡で出血源をSBチューブで止血しまして、それから並行して輸血と輸液を……」
大人のよくわからないお話にうんざりしたが、ママたちには話しかけてはいけないと思ったので、お婆ちゃんの椅子の前にそっと体を寄せた。
「ねえ、内視鏡って? SBチューブって、なあに?」
オリビアさんは口に人差し指を当て、静かに首を振った。お医者さんは、僕の前では笑顔になって、
「お腹に入れる風船のことだよ」
とだけ言って、再びママと異星人同士の会話に熱中していた。
~~編集後記 読者の皆様へ~~
100話まで続きました。いつも読んで下さってありがとうございます。これからも続けてまいりますので、よろしくお願いします。