水深800メートルのシューベルト|第985話
「おい、アシェル、こっちへ来い」
ドビーが注水コンソールの隣にある戦闘システムコンソールの椅子にもたれて、手招きしてきた。椅子には士官が座っていて、押しやられそうになった彼は迷惑そうな表情で見つめていたが何も言わなかった。僕はそっちに行くべきかどうか迷っていたところ、兵曹長はコンソールと僕の間にある台座に広げられた海図を指して言った。
「こっちへ来てこれをよく見ろ。たまには勉強しろ」
近づいてみると、何枚かの海図の中にオーストラリアの地形があった。どうやらこの艦は南太平洋に向かって航行するらしい。じっと見ていると、頭の上が暗くなった。ドビーの頭が覆い被さってきたのだ。
「本艦の位置はわかったか?」