(オリビアさんが食事の準備をしてくれて、僕は)眠くて、何かを食べるより眠っていたかったが、オリビアさんが、家を出た時より頬が窪んで歳をとったように見えるのに、懸命にコーンフレークを掬っていたので、僕も真似するしかなかった。スプーンで白い海を逃げまどうフレークを捕まえるのが面倒で、ボウルを口につけて啜っていたら、玄関のブザーが鳴って、思わず口からミルクがこぼれてしまった。
きっとママだ。玄関を開けに行くお婆さんの後をついて行った。ドアを隔てた向こうには、髪がぼさぼさに乱れて、やつれた女の人が立っていた。
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