時任三郎

時任三郎。

さんを付けづに呼ばせてください、時任三郎。
以前、とんねるずのタカさんは、「トキ・任三郎」とも呼んでいました。

恐らく最近の人達は、時任三郎の演技力のすごさに気づいていないはず。
この前まで月9の『監察医朝顔』で上野樹里演じる朝顔の父親役として出演していました。

上野樹里の演技力も半端なくすごいのですが時任三郎の演技も半端なくすごい。え?何がすごいって? ドラマの内容とはほとんど関係ない何気ない日常会話が自然過ぎてすごいのです。2人の日常会話シーンでは、演技派といわれる風間君も太刀打ちできない。

よく演技のすごさを、狂気の役などで演技力がすごいなどと言われることがある。いわゆる「怪演」という類のやつです。実はそれよりも「朝ごはん食べた?」などどうでもいい演技が一番難しい。

なぜそう思うかって? 20代の頃、テレビ雑誌の記者をやっていた頃、緑山スタジオにしょっちゅう取材に行き、ドラマ収録現場をみていた時に、新人の役者さんが演じる時に一番違和感を感じたのは、この何気ない会話のシーンだったのです。余談ですが、BSの新人ばかりのドラマの現場で、1人だけ「演技うまいなー」と思わせる役者さんがいました。気づけば数年後には売れっ子に。それは大森南朋さんです。

時任三郎に戻すと、彼は『ふぞろいの林檎たち』(1983年~)の頃から日常会話が抜群だった。一文字をセリフを変えてはいけないという脚本家・山田太一のセリフも自然と言っていたのだ。この何気ない会話に違和感が生まれると途端にリアリティが失われる。「作り話」と思ってしまう。それではドラマは成立しない。

『サマーレスキュー〜天空の診療所〜』(2012年)という山荘の診療所という設定のドラマで、厳しい言い方をすると、どうもリアリティがでないシーンが続いていた時に、あの「時任三郎」が登場すると途端にリアリティが増す。「これが本物の役者か」と痛感させられた。

そんなこんなで、どこかで「時任三郎」のことが好きで、気になっていた。
プライベートについて調べてみると、1999年当時3児の父であった時任三郎は、子供をのびのび育てたいということからニュージーランドに移住。役者の仕事はほとんど入れず、家族と触れ合っていたそうだ。2003年帰国。

SNSを調べてみると、Twitterのプロフィール「俳優。自称「夕景マニア」時々「夕陽ハンター」たまに「ムーンハンター」」と書くほど、自然好き。
Twitter:@tokito36
Instagram:https://www.instagram.com/tokitosaburo/

事務所も恐らく個人事務所で公式ウェブサイトも何と1ページというシンプルの極み。https://z108.secure.ne.jp/~z108187/

とにかく芸能界という荒波に流されず、自分のペースで生きている姿にどこか共感していたのかもしれない。

こんな予備知識を頭に入れて、時任三郎の作品を見てはどうでしょうか。
また違った楽しみ方ができるはず。
次回作が今から楽しみだ。

いいなと思ったら応援しよう!