無職、山へ行く
俺は人の車じゃねぇと、どこへも行けねぇ!とかクソコラを作ったのか、今日も人の車に便乗させてもらい、山へ行きました。
その日は大学時代の友達が別件で訪ねてきた日で。
用事を済ませて、しばらくいろいろ話していたあと、山に行くから一緒に行かんか?と誘われた。
写真の撮影のために行く予定らしいので、僕は暇なので行くことにした。
半そで、半ズボンのラフな格好で山はダメなので。
長袖の防水パーカーと、適当な長ズボンに着替えた。
友人の自動車に揺られて、だいたい15分くらい。
閑静な住宅街のにある駐車場の裏手から、山へ入っていく。
山の中へ続く道は恐ろしく、まず車一台分のスペースしかない。
道はガタガタしており、すぐ横は崖になっている。
気分はもう絶叫アトラクションだ。
ちょっと、股がヒュンとした。
そんな、怖い道を数分走ると少し開けた場所に到着した。
車での移動はそこまで、撮影場所までは歩きだそうだ。
蚊が飛んでいるので、全身に虫よけスプレーをかけて出発する。
山へ入っていくと、そこは人が住める世界じゃなかった。
見える範囲はすべて竹で覆われている、町の中とは空間の感じ方が違う、すべてが大きく、広く感じる。
人間という存在は自然の中ではちっぽけな存在なんだなというのを突き付けられたようだった。
撮影場所は山の中を2分ほど歩いていく。
撮影場所はおじいちゃんが所有している山で、今歩いているところは、別の人の山なので、そこを通らしてもらっているとか道中友人から教えてもらった。
日本の山にはすべからく所有者がいることは頭に入っているが、自然には境界がない、山を持つとは何だろうか。
山と山の区切りらしい谷のようなところには、おびただしい量の朽ちた竹が横たわっていた。
山の急斜面に生える竹は、成長すればするほど、自身の重さで曲がっていき、最後には根元から折れて谷へと沈んでいくのだろう。
竹の墓場だった。
竹の墓場となっている谷がどうやら、山と山を分ける目安になているようで、道なりに谷を下っていき、竹を並べた簡易的な竹の橋を渡ると目的地だった。
渡ってすぐのところで友達は撮影の作業をはじめた。
谷の底には小さな小川ができており、水はとてもきれいだったが。
蚊がものすごいいた。
どうやら、この小川が蚊の繁殖場所になっているんだろう。
友達の撮影の用事が終わるまで、周りの様子を写真に撮ったりしていた。
非日常の空間だったので、退屈はしなかった。
とにかく静か、視界を埋め尽くすほどの竹。
上も下も無限の竹で覆われている。
住宅街の隣にある山であったとしても遭難したらやばいととおもう。
竹が密すぎて方角がわからない。
ソーシャルディスタンスは自然には存在しない。
20分くらいで撮影を終えて、来た道を帰る。
来たときは下りだったので、今度は登ることになる。
たった2分だけの登山だ、それだけでも息が上がった、たぶん運動不足だろう。
車まで戻って来たら、あの道を帰る。
来た時と違い、今度は助手席側が谷に面している。
たった数分の道であるが、遊園地のアトラクションに乗っているような気分だった。
そのまま、何事もなく家まで送ってもらい今日の冒険はおしまい。
短いながらも山へ行くのは数年ぶりだったのでとても刺激的だった。
何気に、今月だけで海と山両方に行く機会があって充実している。