【開催レポート】ダンテ『神曲』を語る読書会煉獄篇 2023年10月21日(土)
水野ゼミの本屋の書店主、itatana(イタターナ)さまが主催するイタリア文学の課題本型読書会。主催者が背水の陣で臨む連続読書会。地獄篇、煉獄篇、天国篇の3回に分けて行います。
参加者は主催者を含め8名。開催前は「(読むのが難しくて)3人くらいしか来ないのでは」と心配されていたそうですが、そんなことはありませんでした。
まずは、感想を言い合います。
地獄篇はおもしろくない、という感想が多かったですが、煉獄へ来てペースをつかめたという意見が。前提知識が無いと理解できないのは『神曲』全編に共通していますが、慣れてきたのか情景の美しさに目を向ける余裕が生まれた参加者も。その一方で1日3歌をノルマとして読まなければ読了できなかった参加者もいて、難易度の高さが伺えます。
地獄を抜けたダンテとウェルギリウス。煉獄山頂へと向かいながら浄化されるというのが、大まかなストーリー。七つの大罪を犯した亡者と出会いながら煉獄の山頂目指して進みます。
ここでも実在したであろう政敵などが出てきますが、参加者の印象に残ったのはマチルダ夫人。ダンテにやさしくない、暴力的だとギャップを感じたそうです。
煉獄篇一番の見せ場は山頂でのベアトリーチェとの出会い。それは地獄を共にしたウェルギリウスとの別れでもあります。唐突な展開に戸惑いを隠せない方も。
煉獄では、罪を償えば魂が浄化されます。その価値観が理解しきれない参加者一同。地獄での罪の浄化には終わりがなく、煉獄では終わりがあるものの、辛い罰を受け続けなければいけません。現世でミスが許されないのか、と嘆く意見に賛同される方が多くいました。
宗教観の違いは翻訳によっても違うようで、キリスト教に寄った訳、仏教に寄った訳と、印象の違いもおもしろいポイントでした。
次回はいよいよ天国篇。どのような結末を迎えるのでしょうか。読書会が楽しみです。
【次回開催案内】
ダンテ『神曲』を語る読書会 天国篇
2023年12月23日(土) 14時~15時30分
水野ゼミの本屋
【これまでの開催レポート】
2022年8月21日(日) 「ピノッキオ」を語る読書会
2022年10月8日(土) 『クオーレ』を語る読書会
2022年12月17日(土) 『ジャン・ブラスカの日記』を語る読書会
2023年2月18日(土) 『まっぷたつの子爵』を語る読書会
2023年4月15日(土) 『木のぼり男爵』を語る読書会
2023年6月17日(土) 『不在の騎士』を語る読書会
2023年8月19日(土) ダンテ『神曲』を語る読書会地獄篇
文責:青谷夏野
以上
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?