英語には誤訳のワナが至る所にある
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中原道喜先生といえば、基礎~問題精講シリーズなど大学受験生のほとんど誰もがなんらかの形で一度はお世話になったことがある英語教育の大家です。一度などは家庭教師の授業先で「開成時代、中原先生に教わったことがある」という保護者の方ともお会いする機会がありました。
その中原先生が大人向けに出していたのが「誤訳~」シリーズです。誤訳の構造、誤訳の典型、誤訳の常識の3冊があるようです。
先日、ブックオフでこのうちの「誤訳の構造」を見つけたので買ってきました。読んでみると、細かい部分ではありますが、うっかりすると間違えて誤読してしまいそうな例文がたくさん登場します。
★at this hour of the day
As he walked down the street towards the palace he was aware that he had drunk more than he had during for years at this hour of the day.
→彼はそのストリートを宮殿の豊に歩き出して、この一時間のうちに、数年分の首領をすごしたことに気づいた。
皆さんは何が「誤訳」なのか分かりますか? 私も初読時はうっかり見過ごしてしまいました。
ここで重要なのはatが指している内容であり、1時間という時間の幅ではないということです。
つまり、このatはat this time of the year (いまの時期に)のatと同じで、「一日のこの時刻に」という意味になります。
もしduring this hourであったなら「この一時間のうちに」が正しい意味になります。duringの後ろには通常、summerやmealなどそれ自体が時間の幅を意味する名詞が入ることが多いですが、数詞を伴う場合は必ず定冠詞を付けなければいけません。
【誤】during three years
【正】for three years
【正】during the three years of his stay in London
【誤】during a few weeks
【正】for a few weeks
【正】during the past few weeks
★afterの意外な用法
"I think I was ripped off this afternoon… Please didn't look this bad when I left. Somebody was after drugs, I guess. What a neighborhood. Nothing but placebos here. Use 'em myself for quick energy sometimes."
「この昼すぎ、物盗りにやられたらしい・・・出かける時にはこんなひどい状態じゃなかった。麻薬をやった挙げ句の仕業、だろう。まったくこの辺はなんという所だ。ここには気休め薬程度のものしか置いておらんのに。まあ時にはわたしも、手っ取り早く元気を回復するのに使うこともあるが」
afterはけっこう曲者で、take after(似ている)、look after(世話をする)、ask after(容態を尋ねる)、など事前に意味を知らないととんでもない誤訳をしでかしてしまう可能性のある熟語がいくつかあります。
この例文のafterは「求めている」「探している」であり、本来は誰かが麻薬を探した(ようだ)ということを言っています。
in so many words は「百万言を費やして」ではない
… when one and all asked with their ravenous eyes and, occasionally, in so many words: "How do you feel?" and "Are you scared?" it made Jane want to laugh, but in fact she couldn't even manage a smile.
一人残らず、むさぼるような目で、そして時には百万言を費やして「いまどんなお気持ちですか?」「こわくないですか}」と問いかけたとき、ジェーンは笑い出したい気持ちになった。しかし実際は微笑に頬を緩めることすらできずにいた。
so manyは文字通り「非常に多くの」という意味になることもありますが、「それと同数の」という意味のイディオムでもあります。
したがって、後者の場合は「はっきりと、率直に」と訳さなければなりません。
今回、「誤訳の構造」から3つのポイントをご紹介しましたが、皆さんは全てご存じでしたか? 中原先生には私が受験生時代に大変お世話になりましたが、大人になってからも学ばされることが大変多いです。まだまだ英語学習に励まないといけないと思いました。
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