大分県IT業界で働く|パラボラ舎 たなかみのるさん
こんにちは、末綱です。今回ご紹介するのは、グラフィックデザイナーのパラボラ舎代表たなかみのるさんです。たなかさんは大分市を拠点にフリーランスとして活躍されています。
最近は、育児のためにお仕事を減業されているそうです。フリーランスとして10年以上働かれて、育児も経験されているたなかさんに、フリーランスで長く働く秘訣や育児との両立など色々聞いてきました。たなかさんの軌跡がたどれます。まずは、たなかさんのお仕事から見ていきましょう。
写真:たなかみのるさん(パラボラ舎/グラフィックデザイナー)
グラフィックデザイナーたなかさんのお仕事
Q.仕事内容はなんですか?
たなかさん
グラフィックデザイナーとして、ロゴ、チラシ、パッケージの制作やWEBサイトのデザインをしています。冬は農家さんと協働して、みかん農園のECサイトの広報・運営をしています。農林水産業や製造業のお客様も多いので、商品の直販をはじめる際にロゴを作ったり、商品に合わせた販売方法や、パッケージのご提案をしています。
Q.デザインだけでなく、クライアントさんのブランディングやコンサル要素の入ったこともされているんですね。
たなかさん
チラシのデザインの相談をいただいて、色々話をしていると、”チラシを作るのが最適かな?”と見直すこともあります。ご本人の思っていた方法と有効な方法が違うことが意外とあるんです。
お客さんから言われたとおりに作るのもいいですが、”作ったけど効果が出ない”とか”どんな人に届いてほしいかが実は定まっていない”こともあります。みなさん、売上の中から捻出してくださる費用なので、なるべく無駄にしてほしくないなと思って、コンサルまではいかないですけど、どんな方法がよいか、ご相談にのることもありますね。
Q.現在、育児のため減業中と聞きました。どのように仕事をセーブしていますか?
たなかさん
仕事内容は減業前と同じですが、今まで1日10時間くらい仕事をしていたのを7時間に収まる程度に減らしています。
出張も多かったのですが、可能なものはオンライン会議にして移動時間を減らしたり、お受けする仕事の量をいつもより減らして調整しています。
フリーランス歴11年以上が伝授、フリーランスとして長く働くには?
Q.フリーランスとして長く働く秘訣はなんですか?
たなかさん
お客さんと一回仕事をして終わりではなくて、なるべく続けて相談したいと思ってもらえるように、ただ言われたとおりにやるのではなくて、相談の上で本当にお客さんに必要なことを考えることが大事だと思います。自分たちのしたいことや思いを共有しているから相談したい、と思ってもらえるように取り組んでいます。
また、お客さんの意見も一回は反映することが大事だと思います。若いときは、良いと思ったらそれしか出さないこともありました。そうするとお客様によっては、”違うなー…自分が想像しているものも見せてほしい”と思われることもあります。僕も何度か失敗をしてわかったことではありますが、頼まれたものを一度形にした上で、こういうことも考えてきました、と押し付けにならないように提案することが、長くお仕事を一緒にする上では大事かなと思います。
Q.今のお客さんはリピーターさんが多いですか?
たなかさん
リピーターさんが多いですね。最近は、新規が3〜4割で、リピーターが6〜7割くらいですね。新規のお客さんは、お客さんの紹介で広がっていくことが多いです。
おすすめしないと断言する、フリーランスまでの道のり
Q.独立した当時はどんな感じでしたか?
たなかさん
全く仕事がなかったです(笑)学生時代は彫刻を勉強しましたが大学卒業後は電機メーカーに勤めました。でも、やりたかった仕事と違ったので、1年半くらいで辞めました。その後、”自分で仕事をしよう!”と、よくわからないマインドになって、当時住んでいた大阪でフリーランスを始めました。これは絶対に真似をしてはいけないです(笑)
仕事がなくてブラブラしている話を大学の先輩や事務の先生が聞きつけて、”ホームページ作って”とか”こういう印刷物あるけど手伝って”と声をかけていただきました。経験も浅いので来た仕事に関する知識を勉強しながら形にしていました。いま考えると危険ですよね(笑)フリーランスになるなら、やはり実務経験を積んでからの方がいいと思います。
未経験からグラフィックデザイナーへ
Q.デザインはどうやって勉強されましたか?
たなかさん
最初は仕事がないのでデザインの基礎などの本を買って読んでは、コンペや展示会に出すものを作って勉強していました。すこし反応が返ってきて、その反応を踏まえてまた制作して、を繰り返していましたね。
転機は、大阪時代に、写植と手書き時代にグラフィックデザイナーをしていた白川よしおさんに出会ったことです。
”お前はデザインがヘタで、俺はMacを使うのがヘタや。お互いが助け合えば仕事ができるやろ”と、ベテランデザイナーさんからデザインのいろはを教えてもらいました。”こういうときは文字の空きはこのくらいがいい”とか”ここは余白をもう2mm広げる”といった具体的なノウハウを一緒に仕事をするなかで教えてもらいました。
フリーランスと育児
Q.育児をされてみて、フリーランスは育児しやすいと思いますか?
たなかさん
これは悩ましいですね(笑)僕は自宅で仕事をしているんですけど、子どもが保育園に入るまでは「赤ちゃんと一緒にいる」状態で仕事をするので、思った以上に大変でした(笑)
妻も出産や授乳でくたくたになっているので、家事や離乳食を作ったり、子どもをだっこして散歩したりしていました。ときどきおんぶしたまま仕事したり(笑)。なんとか一年過ごせて、今は保育園に通っています。
子どもを保育園に送ったら、帰ってくるまでの間に集中して仕事を進めて、あとは、子どもが寝た後に仕事時間をしています。育児をしながらフリーランスで仕事をするのであれば、お子さんがある程度大きくなっていたり、会社員からフリーランスになる方が両立しやすいのかなと思います。
Q.仕事を減らすのに、このまま仕事がこなくなるといった不安はなかったですか?
たなかさん
少しありましたね。でもあまり仕事量に執着すると無理がでるし、しんどいのでちょっと様子みてもいいかな、と思いました。
Q.やはり、関係をしっかり築いてきたからこそ継続して仕事がきますか?
たなかさん
そうだと思いたいです(笑)いざお客様に知らせてみると、お客さんのほうが納期や時間帯など配慮してくださって、ありがたかったですね。
フリーランスのメリット・デメリット
Q.フリーランスになってよかったですか?
たなかさん
良かったですね。”この仕事をしよう”と、ある程度取り組むことを選べるのがいいなと思います。会社員だと、決まったことをやらないといけないし、やる必要あるのかな?って疑問に思ってもやらないといけないときもあるじゃないですか。納得しないまま仕事をするのは、精神衛生上よくないかなと思います(笑)
ただ、若いうちにフリーランスになったデメリットとして思うのは「やる必要あるのかな?」って思いながらもやる経験が少ないことですね。自分の引き出しを増やすためにも全く興味のないことになるべく興味を張っておかないと、世の中との感覚のズレが大きくなってくるし、自分が経験していないことも多いと思います。いま、こんなことが起きているとか、自分の興味の外のものを知るためにも、異なる分野の人とも仕事をしないとダメだなと思います。自分で選べる分、得意なことや好きなものに偏りがちになるので、長い目でみるとそこは注意が必要だな、と思います。
パラボラ舎たなかみのるさんのこれから
Q.今後のキャリアについて教えて下さい。
たなかさん
”こどもボウサイ”という幼稚園から小学生くらいまでの子に、災害が起きたときの対処の仕方を伝えるプロジェクトをフリーランスのデザイナー3人でしているんですが、そういった教育普及の仕事を多めにしていきたいなと思います。デザインされたツールを使って教育や体験をすることに興味があります。本当は魅力があるプログラムでも見せ方によって魅力的に見えないものとか、例えば、”海を掃除しましょう”と言われると労働のような感じがするけど”こういうことに繋がるし、楽しいよ”とパッケージングし直せば、参加する人も増える。入り口や体験のツールを変えていくことをしていきたいです。
身近なところだと「保育園の申し込み書類」とか、すごくわかりずらいものがあってモヤモヤしたので、そういったものをちょっとずつ直していく仕事がしたいなと思います(笑)
Twitter:@houbutsusen
Facebook:@houbutsusen
いかがでしたでしょうか?
今回はグラフィックデザイナーであるパラボラ舎たなかみのるさんをご紹介しました。
デザイナーとしての入り口やフリーランスのきっかけが意外にも突発的で衝撃的でした。突発的な始まりでも10年以上続いているのは、お客様に寄り添って、本当にお客様のためになることをしたいというパラボラ舎さんの想いがあるからなんだなと実感しました。
フリーランスの方が育児しやすいのかなと思いきや、実際は、両立するのは神業なくらい大変なんだということも新しい発見でした。
たなかさん、インタビューのご協力ありがとうございました。
それでは、また次回です^^
最後まで読んでいただきありがとうございました。
記事内の写真はパラボラ舎のWebサイトより引用しています。