“食”の領域こそ、最高にエモーショナル。衣食住の中で、食事を軸に暮らしを豊かにすると決めた理由とは?
1日3回。1週間で21回。年間で1000回以上、訪れる”食事”という時間。
食事というと、身体的意味での健康を整えるイメージが強いと思いますが、精神面での健康においても欠かすことのできないものです。
食事とは、単なる栄養補給を超えて、食卓を囲み、美味しいものを共に食べることで、そこに会話が生まれます。それにより、大切な人との関係が深まったり、自分の居場所を感じたりと、心の健康を養う大きな役割を果たしているわけです。
現在、孤独を感じる人が世界的に増えていると言われています。人と人とがSNSでつながり、スマートフォンで常時コンタクトがとれる状況になったにも関わらずです。
アメリカ心理学会は2017年の年次総会にて、「孤独感が肥満よりも深刻な脅威である可能性があり、社会的インパクトは無視できないものになっている」と発表しました。
このように心の健康への関心が高まっている現在、日々の食事にイノベーションを起こすことって、実は、ものすごく重要なことなのかもしれません。
そして、そこに強い想いを持っているのが、Oisix ra daichi(オイシックス・ラ・大地)のこの2人です。
執行役員でもありOisixEC事業本部・本部長の池山 英人さん(写真右)と、OisixのCXO(Chief Experience Officer)兼OisixEC事業本部・副本部長の白石 夏輝さん(写真左)。
家事に時間を割くことが難しいお母さん達でも、料理や食事の時間を楽しんでいただけるサービスの実現に努めてきた2人は言います。
「僕達は、日本全国、いや世界全体における自宅でのご飯を食べる回数を増やしたいんですよ。
家族で囲む食卓って、会話が生まれて、お互いのことを知って、笑いあったり、時には怒られたり、そういうものじゃないですか。食卓が楽しい時間になって、食卓回数が増えれば、家族の身体の健康だけじゃなくて、気持ちも健康になっていくと思うんです。
健康的な食生活を届けるだけでなく、気持ちの上でも豊かになっていっていただく。それが、僕らが目指したい理想の状態です。」
2人が食事を軸としたサービスにここまで入れ込む理由とは?
そして、Oisix ra daichiが目指す食卓の未来とはどういうものなのか…!?
それを聞くために池山さんと白石さんに、Oisix ra daichi 公式note編集員の井手が話を聞いてきました。
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理想とするサービスには、ほど遠い。
井手:今日はよろしくお願いします。いきなりですが、お2人にとって、今の自分たちが提供しているサービスは100点満点中、何点くらいですか?
白石さん:う〜ん…、10点くらいですかね。
池山さん:低いね(笑)。でも、僕も30点くらいの印象です。
井手:お2人ともすごく低い点数だと感じたのですが、そう思われる背景はどういったところなんでしょうか?
白石さん:現在、僕らのサービスは約18万人の方に利用いただいているんですが、まだまだだなぁ…と思っているんですよ。
Oisixをご利用いただいているお客様って、小さなお子さんがいらっしゃるお母さんとか、共働き夫婦のご家庭とか、様々な方がいらっしゃるんですが、お客様全体で共通しているのは、「家族に安心安全で美味しい食事を食べさせてあげたい」という想いを持っていることなんです。
働いていて料理に時間をとるのが難しいとか、そもそも料理自体が得意じゃなかったり、様々な事情があるなかで、それでも何とか良い食事をつくりたいという方々が僕らのサービスを使ってくれています。
ただ、こういう想いを持っている方は、もっと大勢いらっしゃると思うんですよね。
そんな方々に対して、使いやすさを高めたり、価格帯の部分も考慮して、Oisixをもっと多くの方に使っていただけるサービスにしていきたいと考えています。
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楽しい食卓を増やすことで、気持ちも健康にしたい。
井手:池山さんは、30点との答えですが、この理由をお聞かせいただけますか?
池山さん:まずは、白石が答えてくれたように、使いやすさに関する向上の余地が多いのが、この点数の大きな理由です。
そして、使いやすさだけでなく、食事に対するワクワク感もお客様に届けていきたく、その面でも、できることがまだ沢山あると思うんですね。
僕たちは事業部内において『プレミアム時短ファースト戦略』という戦略を掲げています。
『プレミアム』というのは、美味しいとか、野菜が沢山摂れるとか、栄養バランスが良いとか、見た目がすごく素敵だとか、食卓が華やいで会話が起こるとか、そういうワクワクする体験のことを指しています。要は時間を短縮しながら、そういうプレミアムな体験価値も届けていくという戦略なんです。
それでもって、数年後にどういう未来を実現したいかというと、日本全国における自宅でのご飯回数を増やしたいし、家で調理する回数を増やしたいんです。
家族で囲む食卓って、会話が生まれて、お互いのことを知って、笑いあったり、時には怒られたり、そういうものじゃないですか。食卓が楽しい瞬間になって、食卓回数が増えれば、家族の身体の健康だけじゃなくて、気持ちも健康になっていくと思うんです。
共働きなど様々な事情で料理に時間をとることが難しい方々に、僕らのサービスを届けることで、自宅でご飯を食べる回数が増える。それが、僕らが目指したい理想の状態です。
井手:お話を聞いていると、体の健康だけでなく、心の健康もしっかりと届けたいという想いが強いんでしょうか?
白石さん:そうですね。安心安全な食材を届けるとか、身体的な健康に貢献するという想いはもちろんあります。ただ、ワクワクする楽しい瞬間だとか、会話が弾む食卓を作りたいという話の方が社内では多いです。
池山さん:でも、毎日の食卓がエンタメ過ぎても、ちょっと大変じゃないですか。だから、そのバランスが難しいと、いつも社内で議論しています。
井手:なるほど。お客さんの日々の暮らしに深く入り込む食の領域ならではの難しさですね。
池山さん:そうなんですよ。僕らとお客様との関係って、毎日・毎週のお付き合いなので結婚生活に近いと思っています。
「どうすれば、毎日毎日、お客様が飽きずにOisixを使い続けて良かったと思っていただけるか?」
それを常に考えていますね。
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衣食住の中でも、“食”は一番エモーショナル。
井手:Oisxがお客様の暮らしを楽しいものにしたいという想いをもったサービスであることは、よくわかりました。ただ、日々の暮らしを豊かにするという意味では、“衣食住”と様々なサービスの切り口があるじゃないですか。
そのなかで、お2人が“食”の領域のサービスにやりがいを感じる理由は、何なんでしょうか?
池山さん:色々あるんですが、他の領域のサービスと比べて、お客様との距離が圧倒的に近いというのがやりがいとして大きいかもしれません。
今、様々なものがサブスクリプションサービスとして、定期的に商品をお客様に送ったりするじゃないですか。でも、大抵は月1回くらいの頻度なんですよ。一方、僕らは、毎週お客様に商品を提案し、発送し、ご利用いただく。密度がすごく濃いんです(笑)
白石さん:「“食”って、すごい」と思うのは、お客様の生活に深く関わるので、お客様も僕たちを暮らしになくてはならない存在だと感じていただけるようになるんですよ。
例えば、食材をお届ける際に、お客様からOisixへのお声を募集するハガキを同封させていただくんですが、その返信内容にすごく胸を打たれるんです。
池山さん:ありがたい声ばかりなんですが、すごく記憶に残っているのは40代の男性からのお手紙です。お母様がお亡くなりになられた際に、「Oisixだけは辞めずに続けなさい」と、お母様から遺言のように言われたそうなんですね。その手紙を読んだ時は、泣いてしまいました。
白石さん:僕が印象に残っているお手紙の一つが、お父様からのもので、男手ひとつでお子様3人を育てているそうなんですね。そして、子供にまともな料理をなかなかつくれず、苦労されている日々の中でOisixと出会ったそうなんです。
だけど、Oisixを利用したことで、美味しい料理を子供に食べさせられるようになり、また、子供の健康を考えた食事の大切さを痛感するようになりましたという内容のものでした。
池山さん:やばい、もう泣きそうだ(涙)
白石さん:お子さん達を男手ひとつで育てることを、僕らのサービスでサポートができているということが、すごく嬉しい。
池山さん:衣食住の中でも、“食”は一番エモーショナルなのではないかと思いますね。生活の中心になるし、生きる上で一番大事じゃないですか。だから、お客様からの声もすごく生々しいんです。日々仕事をするなかで、心震えることが普通に起こるんですよね。
白石さん:特にOisixの場合、“食”の領域の中でも、誰かが抱えている具体的な課題を解決するためにサービスをつくっているので、課題が解決されたお客様が僕らのサービスを深く愛してくれているというのを実感してます。そこにすごくやりがいを覚えます。
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統合したことで、解くべき“食”の課題が増えた。
井手:お客様からの手紙の内容を読んでも、日々の食事に関わるサービスを発展させることの意義深さを強く感じることができました。
これからサービスをより進化させていくにあたって、「Oisix」、「らでぃっしゅぼーや」、「大地を守る会」の3ブランドが一つの会社に経営統合されましたが、この統合をどのように捉えられていますか?
白石さん:僕は「大地を守る会」と「らでぃっしゅぼーや」と統合する時は、正直、不安でした。
野菜宅配という分野で、お客様を取り合っている間柄だと思っていましたし、平均年齢が若くてエネルギッシュなOisixが、歴史もあって平均年齢の高い会社と一緒になることで、これまでのカルチャーが失われてしまうのではないかと。
でも、一緒になってみて気づいたのが、それぞれのブランドが解決していこうと思っている課題が違うということなんですよね。
例えば、大地を守る会であれば、ご家族やご自身の健康に不安を抱えたことがきっかけとなって、「農薬や化学肥料、添加物などが含まれた食品を食べさせたくない」という想いが強いお客様が多いんです。そして、大地を守る会の社員の皆さんも、農家さんも想いは一緒なんです。
大地を守る会や、らでぃっしゅぼーやのお客様から届いたお手紙を読ませてもらったことがあるんですけど、メッセージの内容は全然違います。でも、そこに書かれている熱量はすごい。
なので、会社として解くべき“食”の課題が増えたという風に捉えています。
3ブランドが1つの会社になることで、お互いの知見を共有し、効率化できるところは効率化する。でも、それぞれが違うテーマを向いて、3ブランドが切磋琢磨していくのが、これからのOisix ra daichiだと思っています。
池山さん:そうですね。白石が言ったことに付け加えて、それぞれのブランドごとに得意・不得意があると感じています。
例えば、生産者さんや産地との深いつながりというところだと、大地を守る会はスゴいです。産地に対する覚悟だとか、農家さんを守るという気概など、尊敬する点が多々あります。でも、Oisixはお客様の理解という点に関しては、自信を持っています。なので、僕らが培ってきた知見を共有し、使えるところは使っていってもらう。
このように3ブランドがお互いで学びあったり、補完しあったりしていけば良いと思っています。ただ、ブランドの色とかエッジとかは、それぞれに尖らせていきたいですね。
井手:Oisix ra daichiとして全体で底上げをしていきながら、それぞれのブランドの抱えているテーマや特徴を活かしながら事業を成長させていくイメージなんですね。
池山さん:そうですね。現在、我々3ブランド合わせても数百億円規模の売上です。社会的なインパクトが大きいかというと、僕たちは大きいとは思ってないんですよ。
それぞれが、それぞれのお客様が抱えている課題を解決する力を伸ばしていって、解決の領域を広げていく。そして、“食”の領域で新しい体験や価値を創る会社として、Oisix ra daichiの存在を社会の中で大きくしていきたいと考えています。
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お客様のことを深く深く考え続ける。
井手:最後にOisix ra daichiが、これから新しい“食体験”を創っていくにあたり、必要となるものを教えてください。
池山さん:僕は、1人のお客様について深く考え続けることだと思います。
Webを活用したマーケティングをしていると、デジタルテクノロジーに意識が向かいがちで、お客様をデータだとか、セグメントとして捉えがちになります。そして、施策が上手くいかない時って、大抵そういう風に考えてしまっている時なんですよ。
逆に、1人のお客様のことを深く理解しようと試みて、その方が何に困っていて、どういう要素が満たされれば解消できるのかを考え、施策のアイディアを練ると上手くいくんですよ。
会社が大きくなって、サービスを提供するお客様の規模が増え、デジタル化が進み、マーケティングが高度になると、どうしても1人ひとりのお客様を見ることが難しくなるのかもしれません。普通にやったら、無理なんだろうと思います。
でも、僕らはあくまで個々のお客様を喜ばせたいし、それぞれのお客様が持っている課題を解決したいと心の底から思っています。そう考え続けていけば、絶対に成果は出ると思いますし、お客様も満足するし、結果的に対価としての売上も増えていく。そう強く信じています。
白石さん:この1人のお客様のことを徹底的に考えるということは、本当に大切ですね。
これはビジネスだけでなくて、友達との関係にしても、なんとなくでプレゼントを渡すのと、相手のことを深く考えて渡すのだと、全然違うじゃないですか。
Webサービスだとお客様の顔が見えづらいので、ついついデータとか数字で考えてしまうんですけど、お客様のことを深く考えることを徹底していくということは、会社としても常に意識する必要がある思います。
井手:なるほど。テクノロジーを活用しながらも、人間臭さみたいなところを大切にすることで、Oisix ra daichiらしい食体験を創っていこうとしていることがわかりました。
白石さん:あと、これから会社の規模が大きくなり、ルールを整える必要があると思うんですけど、その中でも制度に縛られない突破力も大事になってくると思います。
複数の役職者の承認がないと動けないとか、GOがでないと動けないとか、そういった会社にはしたくないです。そうなった瞬間に、お客様の方を向かずに社内の人達に目線が向いてしまうと思うんですね。
だから、お客様のためだと本気で自分が思うのであれば、上司に責任を取らせる覚悟で動いていくことも大事だと思います。
統合し、規模が大きくなっていっても、一人ひとりの社員が、本当に心から良いと思うものを、自由にやっていくという組織風土とか、メンタリズムを持ち続けられる会社にしていきたいです。
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以上、Oisix ra daichiの池山さん、白石さんのインタビューをお届けしました。
「衣食住の中でも、“食”は一番エモーショナル」
この言葉がとても印象に残りましたが、確かに食は生活の中心でもあるし、心身ともに生きる上で欠かせないもの。だから、それを豊かにするためにサービスを発展させていくというのは、確かにやりがいを強く感じさせられるものだと思いました。
食卓をより楽しい瞬間に変えていくために、これからどんな体験をデザインしていくのかが楽しみです。
これからもOisix ra daichi 公式noteでは、これからOisix ra daiciがどんな体験をつくろうとしているのかを様々な社員から聞いていきたいと思います。お楽しみに。
Text & Photo:井手桂司
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Oisix ra daichiでは、一緒に新しい食体験を創っていく仲間を募集しています!
論理的思考で物事をとらえ、お客様のための課題解決に執念を持って結果にコミットする。泥臭いことはもちろん、前例がないことに積極的にチャレンジする。Oisix ra daichiはそんな風土のある会社です。
自分のことより世のため、人のため。サプライズはされるよりもする方が好き。仕事も遊びも全力!そんなメンバーが、日々つら楽しい難しい問題に直面しながら、前向きに、夢中に、がむしゃらに働いています。
そんなチームの仲間を、今日も募集しています!
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